小さなマッチ箱にロマンが詰まったマイワールド全開の『たるみ燐寸博物館』に行ってきた

メインとなるのは地元にまつわるマッチ

知っている店やホテルのものを見つけると妙に嬉しくなったりします。時代を感じると言えばそれまでですが、今でも全然いけそうな絵柄のものが少なくありません。一周回って新しくも感じます。

いかにお店の個性を表現するか。そのためのアイデアがこのサイズの中に詰まっています。パソコンがない時代に手作業でデザインしていたわけですから、ある意味ではかなり贅沢なモノ。

「喫茶 思いつき」のマッチもアートを感じさせるデザイン。3つ並べるとこんな絵になります。本の表紙が背表紙や裏表紙までつながっている感じでしょうか。

はじめは小野さん自身が手に入れたものだけでしたが、「他の人が持っていたものが集まってくるうちにこんな遊びもできるようになった」とのこと。

マッチ箱を開くとこんな感じ。小野さんにとって「喫茶 思いつき」は思い入れのあるお店だったそうで、ほかにも絵柄違いでいろんなタイプのマッチを所有されてました。

当時の小野さんはまだ高校生でしたが、これらのマッチがどうしても欲しくて、入手するために何度もお店に通ったのだとか。

とはいえタバコを吸えない年齢ですし、タイミングを見計って「マッチください」と言うのにも苦労したり。このあたりのエピソードは「マッチ収集あるある」みたいです。

壁沿いのディスプレイはこんな感じ。色で分けたり、個性的なものをひとつずつフレームに入れたりしていて、見せ方へのこだわりも感じられます。

こちらは宝塚少女歌劇の広告マッチ。希少性があるだけでなく、デザイン的な要素でも人気があるようです。もちろん宝塚ファンにとってはたまらないはず。

神戸発祥の「ダイエー」にまつわるマッチがまとめられてました。薬局らしきものや「スーパー食堂」なるものもありましたが、いずれも昭和感たっぷりの絵柄です。

地元の老舗菓子メーカー「神戸風月堂」のマッチも。真ん中は銘菓「ゴーフル」のパッケージを思わせるデザインで、一番下はマロングラッセの宣伝用みたいです。

キッコーマンのマッチには、かつての社名だった「野田醤油株式会社」と書かれています。

その下にあるのは神戸「安原醤油舗」のもの。同業かつデザイン激似で心配になりますが、この時代は案外大丈夫だったのかもしれません。

お気に入りのマッチを尋ねると、迷いながらも「バカボン」のマッチを出してくれました。こちらも今ならネーミングと絵柄の組み合わせがアウトな感じです。

このお店は車でないと行きづらい場所にあり、お父さんと何度か行った記憶があるそうですが、小野さんはこんなマッチがあるとは知りませんでした。

それから数十年後、このマッチが博物館に送られてきて、昔の記憶とつながったのだそう。こうした出会いもマッチ収集の魅力のひとつなのかもしれません。

 

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