『神戸ゆかりの美術館』で“まぼろし”展示を満喫。名前通り、そこは神戸にゆかりを感じる場所だった

出品作品は中之島の大阪市中央公会堂にそっくり?!

透視図が現存しないものはCGで再現されていました。一般人には設計図だけではなかなかイメージできないのでこれはありがたいですね。それにしてもこの「大正期1等」の図面、どこかで見たような…。

と思ったら、大阪・中之島の大阪市中央公会堂にめちゃ似てる! でも、パクリとかいうことではなく、大正期はヨーロッパの影響を受けたモダンなデザインが主流だったよう。いわゆるトレンドですね。

繊細な透視図はいずれも水彩・インクでの手書き作品。作業量を考えただけで気が遠くなりそうな超絶クオリティです。

これらの展示物には低反射のアクリルカバーが使われていて、「よりリアルに見えるように」という美術館側の思いや工夫が伝わってきます。

ここからは大正期の選外佳作・前川 勲氏の作品です。順路通りに進みますが、図面左上に書かれている番号に注目すると、こちらは①。

正面図の番号は④。

横断面図の番号は⑧。

 

 

側面図の番号は⑤。

そして、縦断面図の番号は⑦となっています。これは何かというと、設計図面の順番通りではなく、正面図→横断面図、側面図→縦断面図の順で展示されているということです。

こうした図面は専門的で分かりづらかったりしますが、並びを変えることで一般の人が見ても分かりやすい配置になっていて、美術館らしい配慮を感じました。

図面中の文字も、もちろん手書き。大正期らしく、右書き文字になっていました。慣れてないと一瞬混乱しますが、いま見るとなぜか洒落た感じに思えるから不思議。

場内には展示物に向かってソファが置かれているので、腰を下ろせば誰にも邪魔されずどっぷりと作品の世界に浸れます。

今回は建築設計の図面が並んでいるので、見た目にはややマニアックな感じもしますが、これも神戸の歴史の一部なんだと思うと意外とスッと入ってきました。

展示物は広々とした空間にレイアウトされていて、ゆったり見学できます。実際、来館者の1点に対する鑑賞時間は長いような感じがしました。

 

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