【SDGs×IT】神戸の里山が荒れてる!?「森林」を保全・活用するアプリを開発した副市長『黒田慶子』さんに聞いてみた  地域ICT推進協議会(COPLI)

ライター:ゆう

地域へのICT普及・浸透・スマートシティの創造を目指す「地域ICT推進協議会(略称:COPLI/会長:永吉一郎)」が、三宮・センタープラザにあるKOBE Co CREATION CENTERで『神戸の里地里山の保全再生とIT活用』をテーマにセミナーを開催しました。

今回の講師は、国の森林総合研究所や日本森林学会の会長などを経て、神戸大学の名誉教授となり、2024年1月から神戸市副市長としてSDGs・資源循環を担当する「黒田慶子」さんです。

神戸の森林・里山の現状と課題のほか、黒田さんが手掛けた広葉樹を利用し流通させるためのアプリ「MORI TAG システム」について、お聞きします。

Index

神戸の里山が荒れてる!?
「MORI TAG システム」とは
活用事例と今後

神戸の里山が荒れてる!?

黒田さんは、森林保護管理分野を専門に、長年マツ枯れ・ナラ枯れについて研究しながら、予防医学の観点から森林の健康維持の施策考案に取り組んできました。

日本の国土の7割が森林ですが、その多くが広葉樹林(里山)。人が管理し利用してきた森林のため、所有者が独自に管理することが難しくなってきた現在は、その多くが放置されて里山の荒廃が広がってきています。

神戸の里山も例外ではなく、人間の手が入らず管理されなくなったことで、広葉樹が枯れ、どんどん荒れ広がってきているそう。

竹林の拡大や、農地と一続きになっている場所が多く農地に影ができてしまうなど、景観整備ではできないもう少し本格的な整備が必要な状況になっています。

たとえば須磨区にある多井畑の里山は、220年前は田畑・竹林・草地のほか、広葉樹の林、多井畑厄除八幡宮の周りにスギ林・マツ林があり、マダケ・ハチクは工芸品などに使われていましたが、現在は竹林の繁茂が目立つようになっているそうです。


実際に配られた広葉樹のサンプルを触っている様子

ただ、そんな放置里山が増えているということは、資源として「木材の蓄積」が増えているということ。

家具や内装用の木材は輸入に依存している現在、その放置されている国産の広葉樹を資源として家具・内装・フローリングなどに使えるようにできれば、里山を保全・活用できるはず。

そこで、国産広葉樹を妥当な価格で流通させるために開発されたのが「MORI TAG システム」なんだそうです。

「MORI TAG システム」とは

その里山にある広葉樹を保全し、活用するために黒田さんが開発したのが「MORI TAG システム」です。

「MORI TAG システム」とは、木々をデータで管理して資産の見える化を行うことで、伐採前に売買を進めるというコストをなるべく減らしたサプライチェーンを作り、資源として活用することを目的としたアプリのこと。

従来であれば、伐採後、製材し乾燥させる必要があり在庫を抱えることになるほか、伐採した木が要望に沿わず使えない問題がありますが、このアプリを利用すれば伐採前に売り先を決めることができるので、無駄なく資源を利用できるようになります。

そのほか、里山の現状をデジタルデータで把握でき、森林荒廃の問題解決や、輸入材依存のリスク軽減、長期的な管理にも役立つと期待されているそうです。

活用事例と今後

「MORI TAG システム」も利用しながら、神戸の里山にある広葉樹を活用しようと、少しずついろいろな取り組みが行われています。

2021年には森林環境譲与税でカリモク家具株式会社などが購入したり、「こども本の森」や「神戸市役所ロビー」に使われたりと、神戸の広葉樹を活用した事例も。

現在は、より神戸市の広葉樹を流通させるために、住宅地・田畑の周囲から家具材や床材に使えそうな木の調査が行われているそう。

すでに廃止ゴルフ場からの木材を大手2社の希望が届いていて、ほかにも高級レストランなどで需要がある「KOBE備長炭」としての展開方法が模索されています。

「どこに、どんな材が、どの程度あるか」という情報をデータで持続的に管理して広葉樹を流通させ、森林産業として地域の収入を増やし、循環型社会を実現させていきたいそうです。

今回のセミナーイベントでは、神戸の里山の現状と、放置されている里山の再生とIT活用が行われてる一例として、黒田慶子さんが開発した「MORI TAG システム」について学びました。

質疑応答の時間には、時間オーバーになるほど多くの人が質問していて、有意義なイベントになったんじゃないでしょうか。

「MORI TAG システム」は当面無料でID登録することができるそうなので、気になる人は公式サイトをチェックしてみてくださいね。


地域ICT推進協議会(COPLI)では、定期的に地域のICT(情報通信技術)に関連するセミナーを開催しています。

 

神戸のIT企業同士のつながりや情報交換などができるので、IT企業にお勤めの方や、IT業界に興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

 

学生は「無料」で参加できるので、将来IT企業に就職したい、就活でIT業界について調べているなど気になる方はぜひ。

◆関連リンク
地域ICT推進協議会 – 公式サイト
Arboreta|MORI TAG システム – 公式サイト

 

この記事を書いた人

ゆう

神戸で生まれ育った神戸っ子。趣味は、自然に癒やされながらの散歩とサイクリング。プリンが大好物のよく笑う人です。

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