画像:JR西日本「イノベーションプラットフォーム」より
JR西日本が、鉄道事業の安全を追求して独自開発したAIカメラ「mitococa(ミトコカ)」を使った「実証実験」を行うそうです。
他社技術を活用・自社技術を展開して「課題解決」

JR西日本は、さまざまなパートナーと連携したイノベーション(技術革新)を推進しているそうです。
他社の技術を取り入れてJRの課題解決につなげる「インバウンド型オープンイノベーション」と、自社技術を活用して社会やパートナーの課題解決を目指す「アウトバウンド型オープンイノベーション」の2軸で取り組んでいるのだとか。

例えば他社技術を取り入れるインバウンド型では、大阪ガスの高解像度気象予測技術を活用した「湖西線強風予測システム」を開発しました。
アウトバウンド型では、独自開発した画像解析AIを使ったカメラ「mitococa」があります。
これは、JRの駅構内における安全ではない行動や状況の検知といった、利用者の安全・安心を見守ることを目的に開発された技術なんだとか。
いまはその用途を広げて、製造業や大規模施設などの他業界にも展開しているそうです。

ポイントは、実際の現場で使いやすく高度なソリューションを構築できること。
コスト・時間など低負荷かつ高度な解析ができ、誰でも使いやすいUI設計にしているのが、JR西日本だからこその”こだわりポイント”みたいです。
画像解析で工事状況を確認、人物の分析も
今回取り組むことが発表された「画像解析ソリューションの実証実験」というのは、この独自開発したAIカメラを使った実験なんだそう。

ユースケースの一つは、建設工事などの沿線作業です。
沿線作業は列車運行に支障がないかを確認する作業が必要なのですが、見落としや対応遅れがあると、安全・安定輸送へのリスクがあります。
これまでは、社外の担当者から「線路のそばで工事が作業を行う」と連絡が入ると、JR社員が列車に添乗して現地の状況を確認していたのだそう。
それをAI画像解析を活用して確認作業を補助することで、作業の負担軽減と鉄道運行の安全性アップが期待できるんだとか。

例えば沿線の工事現場を自動で検出して「クレーンや足場が映っているか」と問いかけると、あると判断した場合、その場面を抽出して警告します。
「クレーン」や「足場」という言葉を学習させていなくても、視覚と言語の意味を統合的に理解し、工事に該当するシーンを検出できるのが大きな特徴なんだそうです。

画像解析ソリューションは、マーケティングにも役立ちそうです。
「mitococa」で人を検出すると、その人物の年代や性別、服装を解析。属性ごとに自動で集計・可視化することで、接客や販促の判断材料に活用できるとしています。

現場での活用では、ヘルメットなどの保護具を着用しているかどうかや、製造ラインでの不良品の判定など、鉄道に限らず幅広い分野で活用できると考えているみたい。
2025年度内に試作機を実装して、社内外の現場で実証を重ねながら、より高い実用性と信頼性を備えたシステムに磨き上げていくそうです。
報道によれば、JR西日本の倉坂昇治社長は「高い実用性と信頼性を兼ね備えた解決策を自社以外にも提供できるように取り組みたい」と記者会見でコメントしていたみたい。鉄道以外でも活用できそうな技術ですよね。
なんだか難しそうだし一般の利用者には関係なさそう、と思ってしまいそうですが、沿線作業の安心・安全度がアップすることで、鉄道運行の安定性にもつながります。実証実験を経て精度や実用性がアップすると良いですね。
◆関連リンク
・mitococa – JRW Innovation platform – 公式サイト
あさみ
「今年こそダイエット」が口癖です。
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