2024年11月撮影
メリケンパークの東側入り口にある巨大な鯉のオブジェ『フィッシュダンス』の今後のあり方について、神戸市が実施した市民アンケートの結果が発表されました。
神戸市中央区波止場町2
定期的に再塗装も赤さびが目立つ状態に
2024年11月撮影
高さ22mという巨大オブジェ「フィッシュダンス」は、ベーカリーカフェ「TOOTH TOOTH FISH IN THE FOREST」の近くにあります。
躍動感がある鯉のデザインで、神戸ウォーターフロントの人気スポットの一つ。
1987年に「神戸開港120年」を記念して誕生したもので、世界的建築家のフランク・オーウェン・ゲーリーさんが設計、建築家 安藤忠雄さんが監修を担当しました。
2024年11月撮影
鉄の骨組みを金網で覆っている構造でつくられているため、設置以後は数年ごとに塗装の塗り直しをしているものの、海沿いに設置されていることもあって、潮風などで短期間にさびてしまうような状況に。
1987年の設置以降、色の塗り直しはこれまで7回行われました。最後に実施されたのは2014年。現在のオブジェは早くも赤さびが目立つ状況になっています。
このままだとさらに劣化が進み、金網が落下するなど、周囲に危険が及ぶ可能性も考えられます。
そこで神戸市は2024年夏、「神戸市ネットモニター」登録者向けに、フィッシュダンスの今後のあり方についてのアンケートを実施しました。
半数超が「撤去」、約15%は「現状維持」支持
今回のアンケートは、2024年7月24日(水)~8月6日(火)に実施されました。対象モニター数は9,809人で、うち回答者数は4,860人。回答率は49.5%です。
画像:神戸市ネットモニター調査結果より
回答者の属性を見ると、男女比では女性の比率が高く、年代では50歳代が最多でした。
設問は大きく4問で、フィッシュダンスを知っているかどうか、今後どのように維持管理すべきか、将来的に大規模改修が必要になったときにどうするのが良いかを尋ね、自由記述での意見欄も設けられていました。
画像:神戸市ネットモニター調査結果より
「フィッシュダンスを知っていますか」の問いには、75.6%が「知っていて、実際に見たことがある」と回答。
「知っているが、実際に見たことがない」と回答した5.6%とあわせて、認知度は8割を超える結果となりました。
画像:神戸市ネットモニター調査結果より
フィッシュダンスに赤さびが目立つ状況について、美観的な問題があるとして今後のあり方を尋ねた設問では、「撤去する」が最多の53.5%を占めました。
次いで「色を塗り直す」が17.8%、「現状のままとする」が14.6%、「分からない」が14.1%という結果に。
色を塗り直すための修繕費用が「約8,000万円」かかることも提示されていたため、そんなにかかるなら現状維持または撤去を、と選択した人も多そうです。
画像:神戸市ネットモニター調査結果より
将来的な経年劣化で危険性が高まり「大規模改修が必要となった場合にどのようにすればよいか」を尋ねた設問では、「撤去する」が43.7%で最多に。
「大規模改修を実施」するは30.1%、「分からない」が26.2%でした。
大規模改修を実施する場合は、概算改修費用が「約2億4,000万円」かかることも提示されましたが、美観的な問題とはまた異なり、周囲に危険が及ぶような状況であれば改修したほうがよいと考える人が多いようです。
「財源を適切に使って」「美術館などで保管を」意見さまざま
2024年11月撮影
自由記述欄では、全2,249件のさまざまな意見が寄せられたようです。
・今後の維持費を考えれば、修繕より撤去が望ましいと思います。
・有限な財源を適材適所に使用して欲しいと思います。
・BE KOBEのような観光名所になるようなものを新しく作ったほうがいいと思います。
・私の世代ではシンボル的な物で青春時代の懐かしさはありますが、今の若い人にはそこまでの物でも無いと思いますし、外国人観光客にも刺さらないと思うので撤去で良いと思います。
・当時はメリケンパークのシンボルだったのかもしれませんが、もう役目を終えたのではないかと思います。
・フィッシュダンスを目当てに観光に来る人は少ないでしょうし、他の所に費用をかける方が賢明だと思います。
・落下物の危険性があるのなら撤去が望ましいと思います。
・シンボルは簡単に撤去するべきではないと思います。
・多額の費用をかけて原型を維持する必要があるのかは疑問ですが、シンボル的な部分もあるので、ミニチュアの作成や素材を変更してランニングコストが節約できる方法を検討して欲しいと思います。
・フィッシュダンスのない風景は考えられません。予算確保が難しければ、クラウドファウンディングなど企画できないでしょうか。残してほしいと思います。
・プロジェクトを立ち上げてオープンに今後のことを協議したり、一般事業社への売却等を検討したりしてはいかがでしょうか。
・世界的建築家の作品が神戸市の中心地にあることは誇らしいです。
・全てのものには維持費も含めて予算がかかるのは当たり前で、それを無視してただ新しい物を作れば良いとの考えに立つと、故郷への郷愁や伝統を維持できなくなると思います。
神戸市ネットモニター調査結果より一部抜粋
「世界的な建築家の作品が神戸市の中心にあることは誇らしい」「撤去して廃棄するのではなく、博物館や美術館などで保管展示してほしい」といった声も上がったみたい。
一方で、塗り直す場合は約8,000万円、大規模改修をする場合は概算で約2億4,000万円と、決して安くはない経費がかかることも明かされているため「財源を適材適所に使用してほしい」といった意見もありました。
神戸市ネットモニターページの「2024年度アンケート調査結果」では、アンケート結果の詳細が公開されています。ほかにどんな意見が寄せられたか気になる人はチェックしてみてください。
神戸市はアンケート結果に対する総評として「今回のアンケートでいただいたご意見を踏まえ、今後の取り組みに活かしてまいります」と述べています。
神戸市の総評:
全体として、多くの方にフィッシュダンスを認知いただいているものの、高額な維持費がかかることや金網の落下危険性など安全面の点から、撤去した方がよいというご意見を多くいただきました。一方で、素材やサイズ、設置場所を変えるなど、なんらかの形で残してほしいというご意見や、観光資源としての工夫やもっとPRに力を入れるべきというお声もありました。今回のアンケートでいただいたご意見を踏まえ、今後の取組みに活かしてまいります。
アンケートが実施されていることをお伝えした記事には、読者の皆さまからもさまざまな意見をいただきました。フィッシュダンスに思い入れがある人も多いのではないでしょうか。
今回のアンケート結果を踏まえ、神戸市が今後どのような取り組みを進めていくのか。引き続き注視したいと思います。
◆関連リンク
・神戸市ネットモニター – 神戸市サイト
あさみ
「今年こそダイエット」が口癖です。
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