神戸市垂水区にある小さな海辺の町、塩屋。細い路地や坂が多く、どこか懐かしさを感じる町です。
そんな塩屋を知り尽くす、ベテランガイドたけもとすみれさんが案内する「塩屋まちあるき・フードホッピング」ツアーに参加しました。
神戸三宮から電車で約20分。雰囲気のある路地や商店が連なる駅前商店街など、ノスタルジックな雰囲気が漂います。
小さな町ならではの、人のあたたかさも感じられます。最近は、「絵になる町」としても話題。おしゃなカフェやギャラリーなど、新しいお店も増えてきました。
今回のガイドは、国内外の添乗員歴10年、インバウンドガイド歴5年のガイド経験をもつ、たけもとすみれさん。
実際に塩屋に住み、塩屋をこよなく愛す、たけもとさんのガイドだからこそ、町のディープな魅力にも触れることができます。
たけもとさんが大切にするのは、「ローカルファースト」の精神。
「お客さまに楽しんでもらうのはもちろん、訪れたお店の方にも何かしら還元できるように」と語り、町のひとたちのことも大切にしています。
「お客さまからのメッセージは宝物です」と語るたけもとさん
「ガイドブックでは知ることのできない日本を知りたい」という外国人観光客からの申し込みも多く、来日するたびにツアーに参加するリピーターもいるのだそう。
さて、そんなたけもとさんの案内のもと、「塩屋まちあるき・フードホッピング」ツアーへ。
今回はまず漁港へ向かい、お寺や神社、市場、商店、洋館に立ち寄りながら散策します。コロッケやパン、ドリンクなどの食べ歩きもできるので、塩屋の町をたっぷり楽しみたいひとに、おすすめのプランです。
最初に向かったのは塩屋漁港。個人旅行では、まず行かない(というか知らない)だろう場所への案内に、序盤から地元を知り尽くしたガイドさんのすごさをひしひしと感じました。
海側を見れば明石海峡大橋や淡路島が、山側を見れば六甲山と、360度の絶景パノラマが広がります。
漁港には、穏やかな時間が流れ、「神戸って、こんなところもあるんだ」と新たな発見があるはず。心地いい潮風が吹いていて、なんだか穏やかな気持ちになれました。
漁港からの景色を楽しんだあとは、海苔工場へ。実は、兵庫県は海苔づくりが盛ん。生産量は全国トップクラスを誇ります。
塩がまぶしてあり、そのまま食べてもおいしい!
残念ながら、海苔の生産時期は冬から春先なので工場見学はできませんでしたが、生産者さんから直接アウトレット価格で海苔を購入することができます。
次に向かったのは「塩屋若宮神社」と「安養寺」。神社と寺の違いや日本の宗教観に関する解説に耳を傾けながら、あちこち探検していきます。
「食べ歩きを楽しめる」というのもツアーの醍醐味の一つ。コロッケ店や、鮮魚店、豆腐店、喫茶店、ベーカリー、パティスリーなど、いろいろなお店に立ち寄りながら、気になるものを試食したり、購入したりできます。
「鬼平コロッケ 塩屋駅前店」のコロッケ
駅前にある「魚一(うおかず)」は、創業約100年、三代続いている老舗の鮮魚店。垂水漁港で獲れた魚を中心に、その他、お刺身やお寿司、惣菜などの商品も並んでいます。
近くの漁港で獲れた新鮮な魚がずらり!
50年近く続く「田仲とうふ店」は、地元のひともよく利用するという昔ながらの豆腐店。店主の田仲盛秀さんは気さくで親しみやすく、おしゃべりがとても楽しいです。
せっかくの機会なので、地元のひととのコミュニケーションを楽しみながら、ローカルな食文化にも触れてみてください。
細長い形が特徴的な「とうふスティック」を試食
続いて向かった喫茶店「蓮の花」では、ドリンクをいただきながら、ひと休み。
アットホームな雰囲気が漂うこじんまりしたお店で、「ただいま!」と言いたくなるような不思議な安心感があります。
カウンター越しに店主のママとの会話が弾み、「塩屋って本当にいい町だな」としみじみ……。ツアー参加者の中には「塩屋に住みたくなりました」とおっしゃるひとがいるのも納得です。
ツアーで立ち寄るお店は、まだまだあります。
次に訪れたのは「アイヘンバウム」というベーカリー。小麦のいい香りがする店内には、おいしそうなパンがずらりと並んでいて、どれも食べてみたくなるものばかり。明るく、やさしい店主との会話に、心もほっこりと和みます。
スイーツ系から惣菜系のパンまで種類も豊富
こちらの「Patisserie Peline(パティスリー ペリーヌ)」は、40年以上続く洋菓子店。保存料を使用しない安心・安全な生菓子や焼き菓子を販売しているケーキ屋さんです。
おいしく、リーズナブルなケーキが買えると地元でも人気
ツアーの最後は、数々の映画やドラマのロケ地にもなった「旧グッゲンハイム邸」へ。
1908年頃にイギリス人建築家アレクサンダー・ネルソン・ハンセルの設計で建てられたと考えられている屋敷で、異人館らしいコロニアル様式の建物がとても素敵です。
特に、2階のベランダからの景色が美しくフォトスポットとしても人気。
普段は一般公開されていませんが、ツアーの際は、イベントなどがなければ中に入ることも。個人で行く場合は、毎月第3木曜日の12時から17時に開催している無料見学会に足を運んでみてくださいね。
町のひとたちの温かさを感じた今回の塩屋ツアー。約3時間で、塩屋をたっぷりと楽しむことができる大満足の内容でした。
個性豊かな店主との会話を楽しみながらのまち歩きは、観光スポットを巡る旅とはまた違ったおもしろさが見つかるはず。
ローカルな神戸を知りたいひとに、ぜひおすすめしたいツアーです。
face to face Kobe
ツアー申込サイト https://localprime.reforsindo.com/product?id=349ba7c7-9ace-43d3-8f99-462163ee058f&on_req=false&second_dist=undefined
HP https://www.facetofacejp.com
メール takemotosumire@gmail.com
【取材・文】中田優里奈
神戸在住のライター。関西の観光、グルメを中心に企画・取材・執筆・撮影を担当。書籍『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 京阪神版』では神戸市内13ヶ所の公園を取材。地元の魅力を発信したいという思いのもと、日頃から神戸の街歩きをしてネタ探しをしている。
神戸公式観光サイト Feel KOBE
神戸の観光スポットやイベント情報、コラム記事など「神戸旅がもっと楽しくなるコンテンツ」を発信しています。
改めて実家のある塩屋を再認識しました。山も近くて空気が新鮮で鳥のさえずりに穏やかな時を過ごせます。両親は他界しましたが退職後戻るつもりです。頑張って維持していて良かったと。ありがとうございました。