始まりはバック・トゥ・ザ・フューチャー!? 今注目の『ケミカルリサイクル技術』を持つ企業に聞く  地域ICT推進協議会(COPLI)

地域へのICT普及・浸透・スマートシティの創造を目指す「地域ICT推進協議会(略称:COPLI/会長:永吉一郎)」が、三宮・センタープラザにあるKOBE Co CREATION CENTERで『みんな参加型の循環型社会へ』をテーマにセミナーを開催しました。

講師は、衣料品やペットボトルのリサイクル事業を手掛ける株式会社JEPLAN(ジェプラン) 取締役 執行役員会長の岩元 美智彦(いわもと みちひこ)さん。

「あらゆるものを循環させる」をミッションに掲げる企業が、独自のPETケミカルリサイクル技術をもとに、どのようにリサイクル文化を社会に浸透させてきたのか。世界から注目されている技術と戦略をお聞きします。

Index

JEPLANとは?
始まりはバック・トゥ・ザ・フューチャー
半永久のリサイクルを実現させた技術力
JEPLANが目指す世界

JEPLANとは?

「大量に捨てられている服を循環させたい」という想いからJEPLANを立ち上げた岩元さん。

雑誌「Forbes JAPAN」の表紙や、日経ビジネスの特集「次代を創る100人」に選ばれるなど、国内外から注目されています。

その理由は、半永久的にリサイクルできる「ケミカルリサイクル」の技術と、みんなで参加するリサイクル文化を浸透させる取り組みです。

服から服を作る「BRING Technology™」を開発し、北九州響灘(ひびきなだ)にある自社工場で回収した服を素材ごとに分類して、そのうちポリエステル繊維を対象に独自技術を使ってリサイクルをして服などの原料に生まれ変わらせています。

また、「BRING」という自社ブランドも展開しており、自社工場でリサイクルした繊維由来100%の再生素材を使用した服を販売。コラボ商品も登場しています。

古着の回収も、全国のアパレルブランドや百貨店などで行われていて、普段立ち寄っているお店で見かけたことがある人もいるんじゃないでしょうか。(全国の回収スポットは公式サイトより)

実は神戸市の「ボトル to ボトルリサイクル」にも、JEPLANとそのグループ会社・ペットリファインテクノロジー株式会社が関わっていますよ。

始まりはバック・トゥ・ザ・フューチャー

国内外から注目される技術開発に取り組んだきっかけは、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(公開年:1985年)」に登場するゴミを燃料として動く車型タイムマシン「デロリアン」。ゴミで車が動くことに感銘を受けたんだそう。

設立から8年後の2015年10月21日(水)。使わなくなった衣料品から作った燃料で「デロリアン」を走らせるイベントも実施しました。

劇中で登場するごみを燃料に走るデロリアンを、BRING™の衣料品回収で日本全国の消費者から集められた使わなくなった衣料品と、綿繊維からバイオ燃料を生産するリサイクル技術で実現したものです。

実は「2015年10月21日(水)」は、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー Part2(公開年:1989年)」でデロリアンが初めて行った未来の日付なんだとか。

映画でデロリアンがタイムスリップした未来の日付に、JEPLANの始まりとも言える「ゴミでデロリアンを走行させるシーン」を実現させるなんて、岩元さんの夢が詰まってますよね。

岩元さんが大事にしていることの1つが「正しいを楽しいに」することなんだそう。

環境問題や世界平和など堅苦しくて壮大な話も、ときどき笑いを交えながら楽しそうに話す岩元さんの話に、セミナー会場にいた人も、みなさん真剣に聞き入っていました。

半永久のリサイクルを実現させた技術力

JEPLANが開発した「BRING Technology™」は、ポリエステルを化学的に分解し不純物を取り除くことで、石油由来の原料と同等品質の原料に再生することができる技術です。

分子レベルで汚れなどを取り除くため、何度でも繰り返しリサイクルできることが特徴。

全国から古着を回収し、ポリエステルをケミカルリサイクルすることで繊維由来100%の「再生PET樹脂」を生成し、そこからポリエステル糸や生地を作って、何度でも循環できる服を作り出しています。

さらに、回収した古着のうちポリエステル繊維以外は、パートナー企業と連携して、フロアカーペットやシートといった自動車内装材などにリサイクル。

PET樹脂はペットボトルの主な原料でもあるので、神奈川県川崎市にあるグループ会社のペットリファインテクノロジーでペットボトルのリサイクルも展開しています。

JEPLANが目指す世界

「社会全体が手を取り合い、あらゆるものを循環させるような、ワクワクする世界」を目指すJEPLAN。

「技術・製品・サービスを通して消費者を巻き込み、グループが携わるサーキュラーエコノミー(循環経済)の経済規模を2030年までに1000億円にする」ことをビジョンに掲げています。

そのうちの戦略として、多くのアパレルショップの店舗などに回収ボックスを置く取り組みや、楽しく参加できるイベントを開催するなど、消費者を巻き込む施策を展開しています。

例えば、2021年には、全国から集めた衣料品からバイオジェット燃料を作って飛行機を飛ばすプロジェクト「10万着で飛ばそう! JALバイオジェット燃料フライト」を実現。

大量のCO2を排出する飛行機が、着なくなった衣料品から作った燃料で動くなんて信じられないですよね。

新型コロナウイルス感染症の影響で子どもたちの搭乗は叶いませんでしたが、日本初となるバイオジェット燃料が開発されて飛行機が飛び立ちました。

そのほか、大手ハンバーガーチェーンのおもちゃリサイクルBOXや、国際的なスポーツ大会のメダルを携帯電話をリサイクルして作るなどの取り組みも。

環境やリサイクルといった「正しいことをすべき」という考えからではなく、身近なものや「楽しそう」が入口になっていることで、誰でも参加しやすい工夫がされています。

最初は夢物語だと思われていた技術を実現させ、その「わくわく・ドキドキ」をイベントを通して広げる仕組みを作ったJEPLAN。

技術力だけでなく、消費者を巻き込む戦略などは、他の業種でも活かせるヒントが得られるセミナーだったんじゃないでしょうか。


地域ICT推進協議会(COPLI)では、定期的に地域のICT(情報通信技術)に関連するセミナーを開催しています。

 

神戸のIT企業同士のつながりや情報交換などができるので、IT企業にお勤めの方や、IT業界に興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

 

学生は「無料」で参加できるので、将来IT企業に就職したい、就活でIT業界について調べているなど気になる方はぜひ。

◆関連リンク
地域ICT推進協議会 – 公式サイト
株式会社JEPLAN – 公式サイト

 

この記事を書いた人

神戸ジャーナル 編集部

ライター一覧

コメントを残す

日本語が含まれないコメントは無視されます。コメントは承認後に表示されます。良識のあるコメントを心がけ、攻撃的な表現や他人が傷つく発言は承認されません。