画像:王子公園 再整備完成イメージ
2030年ごろまで続く「王子公園」の再整備で、王子公園の解体から施工までを担う事業者が決定しました。新築移転するスタジアムなど、完成イメージ図も公開されています。
神戸市灘区王子町1-2-13
王子公園エリアの再整備では、当初発表した素案に対して市民の反対の声が多く、計画は一度見直しに。
その後2024年3月に基本計画が策定され、プールやスタジアムなどを段階的に解体していき、2030年にかけて順次オープンする予定です。
解体から施工までを一括で担う事業者が募集されていましたが、このほど「りんかい日産・東亜道路・内藤ハウス・梓・パシフィックコンサルタンツ・E-DESIGN特定建設工事共同企業体」に決まったそうです。
各分野における必要な経験や充分な能力、専門性がある企業グループによる実施であることや、王子公園の内外において新たなにぎわい創出をするためのコンセプト設定などが評価されたみたい。
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
王子公園の再整備後は「ウェルカムゾーン」「大学ゾーン」「動物園ゾーン」「スポーツゾーン」とエリア分けして、それぞれを歩行者専用園路や「シンボルプロムナード」がつなぐイメージ。
「公園の魅力を継承し、地域に開かれみんなが憩い楽しく利用できる『THE OJI PARK』を整備し、新たなにぎわいを創出する」ことをコンセプトにした、王子公園再整備の完成イメージ図も公開されていました。
各エリアにつながるオープンな「ウェルカムゾーン」
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
公園の再整備では、公園全体が地域活動を支える基盤となり、市民の日常生活に寄り添った「地域・市民に開かれたオープンな公園」にしていくそう。
駅・大学・動物園と調和する広場空間など、親しみやすい施設をつくることで、日常利用する場所になるだけでなく、災害時には地域の防災拠点として市民の安心できる場所に、というコンセプトなんだとか。
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
阪急 王子公園駅と王子動物園、大学などが隣接する南側に「ウェルカムゾーン」を整備します。
大学ゾーンに面する場所は、学生の歩行者空間と滞留空間を一体的にした広場に。動物園ゾーンにはメインゲートを設けて、にぎわいの相乗効果を生むのだとか。
駅前には公園の玄関口として「緑の広場」を整備。芝生広場や遊具、水と親しめる空間などを設けるそうです。
昼も夜も安心・安全に通れる「園路」
画像:王子公園 再整備完成イメージ
周辺を行き来する歩行者ネットワークでは、主要動線として「シンボルプロムナード」を整備します。
王子公園駅や大学、スタジアム、緑の広場など「すべての場所を結ぶ園路」として、多くの人が通る場所になりそう。
「桜」も植樹するそうで、新たな桜の通り抜けルートになりますね。
人がたまりやすいアプローチ部や園路の交差点には、滞留空間を確保。安全で利用しやすい動線計画になっています。
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
夜にはまた雰囲気が一変。園内を巡る街灯が光の道となって、安心・安全な歩行空間になるみたい。
目的地に続くガイド代わりにもなって、わかりやすく快適に移動できるんだとか。
緑の広場とシンボルプロムナードについては、利用する人の安心・安全に配慮しつつ、一定の照度、暖色系の色合いにすることで、温かみのある夜間景観にするみたい。
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
スタジアムでは、外周部の「フェンス」を最小限に。地域の球技大会やお祭りといったイベント開催時に、公園と一体になって利用できるようなイメージだそうです。
程よい明るさでおしゃれな雰囲気になりそうですね。
誰でも気軽に立ち寄れる「スポーツゾーン」
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
ウェルカムゾーンからシンボルプロムナードを経て北側に行くと「スポーツゾーン」があります。
誰でも気軽に立ち寄ることができる「開放的な広場」という位置付けで、散歩道やランニングコースのほか、アメリカンフットボールや陸上競技ができる「スタジアム」を整備します。
新築移転するスタジアムは、今のスタジアムと同じ規模ぐらいになるみたい。
全国的にも珍しい「登山研修所」は再整備後、屋外にスポーツクライミングの壁を新設するなど移転予定。弓道場も新築移転します。
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
スタジアム西側には「みんなの広場」として、遊具や3人制バスケットボールコートなどが設けられるんだそう。反対の東側にも多目的広場ができるんだとか。
敷地の傾斜を活かして、周辺の居住地や公園と一体感のある建築にするそうで、近くに住んでいる人への圧迫感を低減したり、緑が豊かな景観を守るみたい。
公園全体が「広域防災拠点」に
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
新たな王子公園が地域住民や来園者にとって憩いの場になるだけでなく、災害時に広域防災拠点や救援活動拠点としても活用できるように、いろいろな工夫もされています。
シンボルプロムナードは、災害時に起こる道路断絶や交通制限に順応できるように、南北の2カ所をメイン進入経路に、公園全体で5カ所の車両進入経路を確保。
支援物資の受け入れと供給を確実に行える体制にするみたい。
充分な幅員と視認性の高さから、救急車や消防車などの救急車両も、目的地まで迅速かつ安全に到着できる構想です。
画像:王子公園再整備事業 提案概要書より
新築移転する「スタジアム」も、災害時に救護活動拠点として活躍。臨時のヘリポートや物資の集積場所にもなります。
緊急車両の進入経路は1カ所に集約して、経路が分かりやすいようにするみたい。通路幅も車両同士がすれ違える幅を確保するそうです。
今後のスケジュール予定
2025年度~ 設計・施工
2028年春頃 立体駐車場完成
2029年春頃 緑の広場完成
2030年春頃 新スタジアム・シンボルプロムナード完成
それぞれ完成までまだ数年かかりますが、単に公園がきれいに・新しくなるだけでなく、街との景観・機能の調和、にぎわいづくり、防災拠点など、さまざまな面で考えられた計画という印象です。王子公園エリアがこれからどう変わっていくのか楽しみですね。
解体工事は、2024年秋から「王子プール」と「王子スタジアム」でスタート。「王子動物園」のリニューアル工事も同時期から始まり、休園せずに順次進めて27年夏ごろまで続きます。
◆関連リンク
・王子公園再整備 – 神戸市公式サイト
東遊園地、磯上公園など観光、映えの大人のための公園ではなく子供たちがボール遊び、遊具でのびのび遊べる子供のための公園にして欲しいです。