一説では”バレンタインデー発祥の地”とも言われるスイーツの街・神戸。明治時代から現代に至るまで、100年以上の洋菓子の歴史があるこの街に、2015年4月4日誕生したのが『オリジンコウベ』です。
神戸〜芦屋間でパティスリーを経営する有志のオーナーシェフ8人が集まり、「スイーツの街・神戸」のさらなる成長・発展と、神戸発の洋菓子文化の継承を目指して結成されました。
主な活動は、製菓機器・材料関連のトレードショーでのデモンストレーション、地元のフードフェスへの出店等々。また、クリスマスやバレンタインのハイシーズンになると、各店ごとにデパート等に出品することはもちろん、「オリジンコウベ」ブランドとしても商品を出品し、スイーツの街・神戸の魅力を全国に向けてアピールしています。
オリジンコウベでは誕生以来、年2回、一つのテーマのもとに8人が競作でプティガトーを創作して販売する「神戸パティスリー・コレクション」を展開しています。
これまでに発表されたテーマは、「エレガンス」、「ピクニック」、「メール」(海)、「ニュアージュ」(ふわふわ)など、実に多種多様。それぞれのシェフの作品は各店で購入して楽しむことができます。
そんなオリジンコウベのこれまでのコレクションを1冊にまとめた本が2020年末発売されました。『神戸8人のシェフが作るスペシャリテ64』は、これまでの多彩なコレクションから各自がピックアップした秀作64点のシズル感あふれる写真と、そのレシピ詳細を全公開したレシピ付きビジュアルブック。
スイーツ・マニアやお菓子作りが趣味の方はもちろん、パティシエを目指す方々にも必見の1冊です。
『神戸8人のシェフが作るスペシャリテ64』
オリジンコウベの5年間のレシピを1冊に集約。8⼈のシェフ×8レシピ、合計64レシピを掲載。
旭屋出版/ ¥2,500税別
出版元サイトで見る
お店のスタイルやエリア、年齢、経歴も様々な8人のシェフ。そのプロフィールをここで少しだけご紹介します。
メレンゲの魔術師・神戸のムッシュー(親方)
『パティスリー モンプリュ』林周平シェフ
神戸とフランス菓子をこよなく愛する”神戸のムッシュー”こと林シェフ。
「神戸市優秀技能者」の称号をはじめ、多数の受賞歴を持つパティシエとしてのキャリアもさることながら、人を惹きつけるカリスマ性とユーモアあふれる人柄が魅力。チームのまとめ役的存在です。
パティスリーモンプリュ
住所 神戸市中央区海岸通3-1-17
TEL 078-321-1048
営業時間 10:00~18:00(カフェLO: 16:00)
定休日 火曜及び月2回水曜(不定休)
キング・オブ・ジャム、癒しの笑顔
『パティスリー アキト』 田中哲人シェフ
今や神戸みやげの代表格「ミルクジャム」の生みの親として知られる田中シェフ。
パティシエだからこそ作り出すことができる”スイーツのような極上のジャム”を目指して日々新作を研究中。その温厚なキャラクターと癒し系の笑顔で、チームの中では潤滑油な存在です。
パティスリー アキト
住所 神戸市中央区元町通3丁目17-6
TEL 078-332-3620
営業時間 10:30~18:30 (カフェLO: 18:00)
定休日 火曜日(祝日の場合は翌日水曜日)
シンプルなガトーに込められた、右脳的感性
『コンパルティールヴァロール』大西達也シェフ
まるでオブジェのように芸術的な飴細工を得意とする大西シェフは、フランスの伝統ある細工菓子コンテスト「シャルル・プルースト杯」の2014年世界チャンピオン。
シンプルながらも複雑な素材のコラボで構成されたプティガトーには、独自のアーティスティックな感性が光ります。
コンパルティール・ヴァロール
住所 神戸市中央区栄町通4丁目4−8
TEL 078-599-7521
営業時間 12:00〜18:00
定休日 水・木曜
究極のシンプルを追求する、ミニマリスト
『パティスリー エトネ』多田征二シェフ
一口ごとの驚きや発見がありながらも、誰からも愛されるシンプルで上質な味覚を追求。その洗練されたガトーの数々は、今や近隣マダムのお墨付きに。
クールな外見に反して、オリジンコウベで神戸を盛り上げることに対して人一倍の意欲を燃やしています。
パティスリー エトネ
住所 芦屋市大桝町5-21
TEL 0797-62-6316
営業時間 10:00〜18:00
定休日 火曜・水曜(不定休あり)
ショコラの美しさ、味、そのすべての表現者
『ラヴニュー』平井茂雄シェフ
神戸で生まれ育ち、フランス、東京で修業の後、北野に自らの店を開業。
「ワールドチョコレートマスターズ2009」世界覇者としての実力と感性をショコラやガトーに存分に発揮するだけでなく、後輩の育成にも惜しみない力を注いでいます。
ラヴニュー
住所 神戸市中央区山本通3-7-3 ユートピア・トーア1F
TEL 078-252-0766
営業時間 10:30~18:00(HPカレンダーにて確認を)
定休日 水曜(火曜不定休あり)
繊細かつエレガントな独自のメレンゲ道
『マビッシュ』村田博史シェフ
大阪のホテルや神戸のパティスリーで修業の後、2017年に独立。
繊細かつフェミニンなデザイン性とともに、素材の持ち味を生かした丁寧な仕事が光るスイーツの数々で、雑誌等の媒体でも多く取り上げられています。オリジンコウベではムードメーカー的存在。
マビッシュ
住所 芦屋市大原町20-24テラ芦屋1F
TEL 0797-61-5670
営業時間 10:00〜19:00
定休日 火曜・水曜(不定休あり)
海辺の街のパティスリー・ロカーレ
『パティスリー アグリコール』奥田義勝シェフ
風光明美な海辺の街・垂水に店を構える奥田シェフは、料理人出身というユニークな経歴の持ち主。野菜を用いたオリジナリティあふれるスイーツに定評があります。
オリジンコウベの良さは、「先輩方から多くを学ばせていただける点」と語ります。
パティスリー アグリコール
住所 神戸市垂水区霞ヶ丘5-1-26
TEL 078-754-9055
営業時間 10:00〜19:00
定休日 月・火曜(不定休あり)
少年の感性と、アルテイザンの技と
『ラトリエ・ドゥ・マッサ』上田真嗣シェフ
神戸で洋菓子研究家の母の元に生まれ育ったスイーツ・サラブレッド。フランス等での修業を経て岡本の住宅街に開業。
スイートで夢あふれるお菓子には遊び心が満載。高校生の製菓コンテスト「スイーツ甲子園」の審査員も務めています。
ラトリエ・ドゥ・マッサ
住所 神戸市東灘区岡本4-4-7
TEL 078-413-5567
営業時間 11:00〜19:00(カフェLO: 18:30)
定休日 火曜・水曜(不定休あり)
このレシピ本では、オリジンコウベの誕生ストーリーやそれぞれのパティシエのプロフィールはもちろんのこと、コレクション・ガトー64種のレシピを全公開。正直、初心者にはちょっと難しいけれど、お菓子作りが好きな方ならぜひトライしてみたくなるスペシャルなレシピが満載です。
ケーキの断面イラスト付きで、複雑な構造のケーキもわかりやすく解説されています。
神戸に訪れたら、ぜひオリジン8店舗巡礼をしていただきたいところですが、8店舗を1回の旅ですべて巡るのはなかなかハード。そこで、スイートな旅の記念にぴったりのお土産をご紹介しましょう。
オリジンコウベの8人のシェフたちが、スイーツの街・神戸をイメージして共同制作したその名も、「オリジンコウベ」¥2,300(税別)。大量生産のお菓子にはない、職人の手作りの味わいにこだわって作られたガトーです。
ガトーの素材には、神戸にゆかりの深い「コーヒー」、「チョコレート」、「アーモンド」、「レーズン」などを厳選して採用。カフェブラウニーをベースに、ダックワーズとパータシュクレを被せて焼き上げた、サクッ、ふんわり、しっとりとした食感のハーモニーが魅力。チョコレートとコーヒーの香りがふんわり広がる上質な焼き菓子です。
こちらのガトーは各店舗で購入(※)できるほか、全国発送も可能。それぞれのお店のオンラインショップなどからも手に入ります。ぜひ各店のホームページをチェックしてみてください。
(※)一部店舗では製造していない場合もございますので、あらかじめご確認ください。
【関連情報】オリジンコウベ HP・SNS Store / Facebook / Instagram / note
【写真】©Jun Kozai ©Naoto Ishimaru
【文】中山阿津子(編集者 / クリエイティブディレククター / フードスタディリサーチャー)
六甲山の麓で生まれる。中・高時代を王子公園、大学時代を岡本近辺で過ごし広告制作会社のコピーライターに。独立後、米国サンフランシスコでライターとして活動。帰国後、北野で編集・制作会社を運営。現在はフリー編集者、クリエイティブディレクターとして神戸をテーマとした観光情報誌・食情報誌・レシピブック・動画などの企画・編集を手掛ける。また近年は持続可能な食・文化・社会を研究するフードスタディリサーチャーとしても活動。
神戸公式観光サイト Feel KOBE
神戸の観光スポットやイベント情報、コラム記事など「神戸旅がもっと楽しくなるコンテンツ」を発信しています。
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