クリスマスはもうすぐそこ。
ツリーやリース、キャンドルなどで飾り付けをしたり、パーティーのご馳走を準備したりしながら、クリスマスを待ちわびているかたも多いのでは。
神戸港の開港以来、海外からさまざまな文化を取り入れてきた神戸には、クリスマスパーティーにぴったりのパンやスイーツがたくさん。
今回は、神戸で行列の絶えない人気ブランジェリー「サ・マーシュ」の西川功晃シェフに、クリスマスに楽しみたいとっておきのパンをご提案いただきました。
西川シェフは、広島アンデルセンやビゴの店などを経た後、荘司索シェフと神戸で人気の「ブランジェリー コム・シノワ」を立ち上げ、その後、2010年に神戸北野で自身のブランジェリー「サ・マーシュ」をオープンしました。
そんな西川シェフが最初に紹介するのは、クリスマスケーキの定番「ブッシュ・ド・ノエル」のパンバージョン、「パン・ブッシュ・ド・ノエル」。
「クリスマスの薪」という意味を持つ「ブッシュ・ド・ノエル」は、薪、切り株に見立てたロールケーキのまわりにクリームで木肌のような装飾をしたクリスマスケーキです。
この形にはちゃんと意味があり、クリスマスに樫の薪を暖炉で燃やすと来年を無病息災で過ごせると言い伝えられていたり、暖炉にくべる薪を絶やすことなく過ごせるようにという願いが込められていたりします。
キリストの誕生をお祝いして一晩中暖炉で薪を燃やし続けたという話なども。
そんな「ブッシュ・ド・ノエル」のパンバージョンである「パン・ブッシュ・ド・ノエル」は、西川シェフが「ブランジェリー コム・シノワ」時代から作り続けているクリスマスのパンの一つです。
薪に見立てたパンは全粒粉100%のパン・コンプレにブリオッシュを巻き込んで作られています。カットすると全粒粉ならではの茶褐色の生地とブリオッシュが渦巻きになっていて、まるで年輪みたい。
ソフトな食感ながら食べ応えもあるので、クリスマスの料理と一緒に味わいたいですね。
「ブランジェリー コム・シノワ」を共に立ち上げた荘司索シェフが、『このパン(当時はもっと細長かったそう)をテーブルに縦に置いて、カップルが両端から手でちぎりながら食べていって、最後に手を繋いでくれたらいいね』って。そういう演出をしていたんですよ。懐かしいです。」と語る西川シェフ。
なんともロマンチックです!
クリスマスが近づくと、「幸せを呼ぶ」と言われているクリスマスリースが家のドアに飾られはじめます。
リースはクリスマスツリーと同じ常緑樹。輪っかになったグリーンに、赤い姫りんごやリボン、ヒイラギ、ベルなどを飾り付けるのがスタンダード。
「サ・マーシュ」では、パンのリースが販売されています。
今年は、プラントベースのブリオッシュ生地で作られたリースパンです。生地には、バターの代わりに大豆バター、タマゴの代わりにこんにゃくパウダーを使用。
その生地をベースに、クランベリー、ホワイトチョコ、カルダモンやシナモンを練り込み、リング状に成形したリース・ブリオッシュと、トッピングにアーモンドスライスとパウダーシュガーで仕上げたホワイトノエル風の2種類が、クリスマスまで店頭に並びます。
「店頭販売はしていないのだけど」と西川シェフが提案してくれたパーティーにおすすめのパンメニューは、「パン・バーニャ」。
フランス・ニースで食べられている名物料理で、大きなバンズの形に焼きあげたパンにサラダ・ニソワーズをサンドしたものが一般的です。
西川シェフが提案する作り方はこちら。天然酵母を使用したカンパーニュの上部(後で蓋になります)を切り落とし、パンの皮部分から1センチくらい内側にナイフを入れてパンの中身をくり抜きます。
内側にトマトソースやニンニクオイルを塗ったら、オニオンスライス、セロリ、プチトマト、オレンジ、ゆで卵やくりぬいたパンなどの具材を重ねます。
最初に切り落としたパンで蓋をしたら240°Cのオーブンで約20分焼いて出来上がり。
しっかりと小麦の味わいが感じられるパンと素材がよく合います。カンパーニュを買って、家でチャレンジしてみるのもいいですね。
西川シェフのレシピブック「パン・キュイジーヌ」にレシピが詳しく紹介されています。
「サ・マーシュ」には、クリスマスの4週間前から一切れずつ味わう習慣のあるシュトーレンも販売されています。
「サ・マーシュ」で販売される今年の「シュトーレン2023」は、卵の量を増やしてさらにリッチに。黒蜜味のショウガと5種のフルーツが混ぜ込まれています。
西川シェフがおすすめするクリスマスのパン、いかがでしたか?神戸のパンと一緒に、クリスマスを楽しみましょう。
サ・マーシュ
住所 神戸市中央区山本通3丁目1−3
アクセス 各線「三ノ宮(神戸三宮)駅」徒歩約15分
電話番号 078-763-1111
公式SNS https://www.instagram.com/ca_marche_2010/
【取材・文】いなだみほ(ライター・コーディネーター)
赤穂生まれ、赤穂郡上郡育ち、神戸暮らし。人に出会うことが好きです。誰かの大切な思いを文章にして、たくさんの方に伝えるお手伝いをしたいと思っています。お菓子、パンなどを中心に雑誌、ウェブなどで取材執筆。イベント企画などにも携わっています。著書「東京最高のパティスリー」(ぴあ)、MOOK「神戸のおいしいパン屋さん」、「神戸紅茶さんぽ」、「神戸土産の新定番」、「神戸のパン屋さん、やっぱりすごい」(共にグラフィス社)を編集執筆。関西テレビ番組「よーいドン・本日のおすすめ3」にも不定期出演中。
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