神戸で新型コロナ『抗体医薬』を開発してるので話を聞いてきた。イーベック社、副作用の心配ない「予防」ができるかも

ポーアイに拠点がある「イーベック」という会社が、「兵庫県」と「神戸大学」と共同で新型コロナの「抗体医薬」開発を目指してるので、進み具合などを聞いてきました。


神戸市中央区港島南町5-5-2

新型コロナの「抗体医薬」の開発に携わっているのは、ポートアイランドに拠点がある創薬ベンチャー「イーベック」。

この方が社長の土井 尚人さん。垂水生まれの神戸っ子。自身は、研究者ではなくてバリバリの文系だけど、優れた「抗体」を作る技術と研究者との出会いがあって、「イーベック」を立ち上げた人です。

ベンチャーといっても、ドイツや日本の大手製薬会社に作製した「抗体」を80億円以上でライセンス契約した実績のある会社となっています。

本社は北海道ですが、「神戸医療産業都市」を掲げて「バイオ医学」の企業らが370社も集まり協力しあえる魅力もあり、神戸に拠点を置いたそう。

まず「抗体医薬」って?ですが、これから日本で打ちはじめる予定の「ワクチン」とは別モノ。

「ワクチン」は、無毒化したウイルスを体に入れて「自分の体内で抗体を作る」ためのもので、その過程で熱やアナフィラキシーショックなど副反応が出る場合があります。

「抗体医薬」は、コロナと戦う「抗体」を外で作って入れるもの。抗体として出来上がってるので、副作用の心配がほとんどないそう。

効き目としては、ウイルスが細胞内に入っていくのを邪魔するイメージなので、重症化した人よりは、重症化の恐れのある感染初期の人や「予防薬」としても考えられてます。

この抗体をどうやって作るかというと、「池で釣りをするイメージ」とのこと。

具体的には、コロナ患者が「陰性」になったあと、つまり体内に抗体ができてから「血液」をもらって、そこからコロナと戦いぬいた抗体を見つけ出すというものです。

もちろん、抗体はパッと見つかるわけではなく数ある中から探し出すそうで、熟練の研究員が「これだっ!」と見極めて一本釣りしていくんだそう。この技術力が、大手企業からも頼りにされる他では真似できない強みです。

去年4月から、神戸市立医療センター中央市民病院や国立の医療センターなどの「抗体を持つ血液」を集め始めたイーベック。

同12月からは「兵庫県」がバックアップ体制を取ったことで、公立病院の患者の貴重な「血液」を多く手に入れることができ、「神戸大学」と共同でやることで、より効率的に「釣り」ができる環境に。

わずか約2か月で有効と思われる「抗体」をいくつか取り出せたといいます。

これぞ!という抗体の「型」さえ決まれば、それを元にいくらでも「量産」が可能。

海外でもいろんな方法で「抗体」医薬にとりかかっている大手製薬会社はあり、アメリカではトランプ大統領に投与された「抗体カクテル」など一部「緊急使用許可」という形で使用されはじめてます。

神戸での開発スタートは遅めでしたが、スピーディに「よりよい抗体」を取り出せる技術力で、巻き返しを狙っているところ。今後は抗体の「選定」をし、製薬会社による「治験」を経て、国に「承認」されれば、実用化へという流れです。

通常なら数年単位でかかる道のりですが、こちらにも「コロナだから」というスピードアップが適用されれば「早期実用化」も夢ではない模様。


イーベック神戸ラボが入る「神戸国際ビジネスセンター(KIBC)」

土井さんは、今後「日本に入ってくる恐れのある新たな感染症や再興感染症」にも注目し、早めに患者の血液を集め「抗体をストック」しておくことで「変異種」などに備える体制も考えていました。

もともと神戸が「医療産業都市」を目指したのは震災で6000人もの命を失ったことがきっかけで、6000人以上の命を救えるような事業をと作った街なのだそう。

だから基礎研究というより、医療技術を応用してきちんと使えるよう製品化を研究する会社が多いみたいです。

神戸に拠点を持つ会社の頑張りで、世界を救えるような薬が誕生する日が近いかもしれません。

◆関連リンク
株式会社イーベック – 公式サイト
神戸医療産業都市 – 公式サイト

 

この記事を書いた人

カオル

とりあえず「食パン」を買う人です。

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