
兵庫県議会は12日、全国初となる『不妊治療支援に特化した条例』を可決、成立し、7月から施行されることが決まりました。
安心して不妊治療が受けられる体制に
兵庫県「不妊症等に関する支援促進条例案」より
画像:兵庫県サイトより
この条例は、不妊治療と仕事を両立し、安心して治療が受けられる環境をつくることなどを目的としています。
条例制定の目的としては主に3つ。当事者に寄り添った環境を整備するための「県の基本姿勢の見える化」と、行政・医療関係者・事業者・県民などそれぞれの役割を整理する「基本意識の醸成」、条例として明文化することで継続的・体系的な取り組みを推し進める「施策の実効性の担保」です。
専門部会からの「兵庫県で安心して不妊治療を受けられる体制整備を継続的に推進するための枠組みを講じること」という提言を受け、2023年度から条例の策定を目指してきたんだそう。
兵庫県「不妊症等に関する支援促進条例案」より
画像:兵庫県サイトより
条例では、自治体や医療関係者らが「定期健診」を推進し、相談体制を強化していきます。
事業者に対しては、職場における不妊治療への理解を促してもらい、「柔軟な働き方」を推進するよう求めていくそうです。
条例の施行日は2025年7月1日です。
県は条例に先駆けて2024年から、不妊治療の医療費を補助したり、不妊治療のための休暇制度化を促進したりといった不妊治療支援を行っています。
不妊治療受診者の7割「仕事との両立、経済的負担」に不安
県の調査によると、不妊治療を受ける人の7割が、仕事との両立や経済的負担に困難を抱えていることが明らかになっています。
画像:兵庫県 不妊治療支援検討会最終報告書より
仕事との両立が難しい要因に「通院日と仕事の日程調整の難しさ」や「心身への負担」などが挙げられます。
そして不妊治療が「長期間にわたる」ことも、治療を断念したりすることにつながるんだそう。
一般的に不妊治療では、排卵周期に合わせた通院が必要になるため、前もって治療予定を決めることが難しい仕組みです。
体外受精や顕微授精を行う場合は採卵なども必要になるので、特に女性は頻繁に通院する必要があります。
そうして仕事と両立できたとしても、経済的にも身体的にも負担が大きい治療になります。
兵庫県「不妊治療支援実態調査」より
画像:兵庫県 不妊治療支援検討会最終報告書より
県が不妊治療受診者、医療機関、県内各市町を対象に実施した調査では、不妊治療における困りごとや課題について「治療と仕事の両立」「経済的負担」の回答が、ともに7割を超える結果となっていました。
こうしたアンケートなども念頭に、県の専門部会で、不妊治療における課題を明確にして、子どもを持ちたいと望む人が安心して適切な時期に不妊治療を受けることができる体制整備を協議してきたそうです。
全国初となる不妊治療支援に特化した条例により、仕事と治療の両立がしやすい環境づくりが進みそうですね。条例なので違反しても罰則はありませんが、条例化することで不妊治療を安心して受けられる体制づくりを継続的に進めるという狙いがあるようです。斎藤元彦 兵庫県知事は記者会見で「企業へのインセンティブや取り組んでいただける仕掛けづくりを考えていきたい」と述べていました。
◆関連リンク
・不妊症治療応援サイト「妊活はじめの一歩。」 – 兵庫県サイト
あさみ
「今年こそダイエット」が口癖です。
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