兵庫県が『先進不妊治療』の医療費を補助するみたい。回数制限なし、条例化など全国初の取り組みも

兵庫県 不妊治療 支援

兵庫県は、安心して不妊治療が受けられる環境を整備するため、『不妊治療支援』を強化することを発表しました。

基本治療は保険適用も「先進医療」は全額自己負担

兵庫県 不妊治療 支援

不妊治療には、タイミング法・人工授精といった「一般不妊治療」や、体外受精などの「生殖補助医療」があります。

国の審議会で審議され、関係学会のガイドラインなどで有効性・安全性が確認されているため、こうした基本治療は「保険」が適用されます(43歳未満であることなど適用条件あり)。

不妊治療における「先進医療」とは、厚労省が認める高度な医療技術・治療方法のうち、一定基準の有効性・安全性があるものの、まだ保険適用の対象となっていない治療のことです。患者が希望し、医師が必要性を認めると実施できます。

保険が適用されないため、全額自己負担となります。医療費の負担が大きいため、自治体によっては治療費の助成事業を行っています。

1回「3万円」を回数制限なしで助成、通院交通費も対象に

兵庫県が1月に発表した「不妊治療支援の強化」では、主に5つの取り組みを行います。

経済的支援の強化

兵庫県 不妊治療 支援

経済的な負担を軽減するため、保険適用外の先進医療費を助成します。

対象は、国の保険適用条件と同じく「43歳未満」で、県内の医療機関で先進医療を受けていること。

助成額は1回(1クール)あたり3万円で、回数の制限はありません。回数制限がない先進医療費の助成は全国初なんだとか。

県によると1回あたり5万円程度かかるそうで、実質負担はゼロにはならないものの、大きな補助になりそうです。

治療を受ける本人のみが対象となりますが、通院交通費も助成されます。

助成額は、県内市町から神戸市内までの平均往復交通費「5,000円」を控除した額の2分の1以内で、鉄道運賃・特急料金・バス・自家用車・高速道路料金が対象になります。

先進医療費の助成、通院交通費の助成ともに所得制限はありません

このほか、オンライン申請受付サービス「e-ひょうご」を活用して、デジタルでの申請もできるようになるみたい。

不妊治療と仕事の両立のための支援強化

不妊治療と仕事の両立は重要なものとして、兵庫県では、不妊治療にかかる通院などに利用できる特別休暇制度を設けています。2023年からは休暇の付与日数を増やしたり、休暇の取得手続を簡素化したりと拡充しています。

斉藤元彦 兵庫県知事は会見で、県内の民間企業などにも「不妊治療」についてできるだけ理解をしてもらう必要があるとして、休暇制度の創設が難しくても、不妊治療について理解してもらうことが大事だとしています。

具体的には、管理職を含めた企業向け「セミナー」や、健康づくりチャレンジ企業向けの支援を予定しているそうです。

プレコンセプションケアの推進

「プレコンセプションケア」とは、これから結婚や出産を考える女性やカップルが、自分たちの生活や健康づくりに向き合うことです。

兵庫県ではこれを推進するため、高校生、大学生といった若い世代を対象に、妊娠や出産、不妊治療に対する正しい知識を学べる「出前講座」などを実施するそうです。

不妊治療支援にかかる普及啓発

不妊治療支援の普及啓発について、SNS・チラシ・ポスターなどでの情報発信を引き続き取り組んでいくとのこと。

兵庫県 不妊治療 支援

普及啓発の一環として、2024年2月に、妊娠について考えている人向けのサイト「妊活はじめの一歩。」をオープンしました。

妊活や不妊治療について正しい知識を学べる内容になっており、不妊治療を実際に経験した”先輩”の体験談なども掲載されています。

「不妊治療支援特化条例」の創設

不妊治療について、企業や教育現場での理解を促進するために、「不妊治療支援特化条例」を創設するそうです。

不妊治療においては、経済的支援、仕事の両立ができるような環境整備を息長く取り組んでいくことが大事で、その取り組みの枠組みとして条例化するみたい。

条例として制定するのは全国初の取り組みなんだそうです。

予算が成立すれば「2024年春」から開始

斉藤知事は今後のスケジュールとして、新たに検討会を立ち上げ、経済界や支援団体なども入ったうえで時間をかけて議論していくとコメント。

条例化は2025年4月を想定していますが、経済的な支援や取り組みは、予算が成立すれば2024年4月からスタートするそうです。

条例の検討と施行は令和7年4月からですが、経済的な支援や取組は予算が成立すれば、令和6年度4月からスタートします。

予算も約2億円を確保しています。取組を予算に基づく事業として実施しますが、条例化に関しては、事業の裏付けを中長期的に行うことが大事なので、1年かけて議論して、令和7年4月からの施行を目指したいと考えています。


対応する医療機関は神戸・阪神間に集中しているので、遠方から通うには交通費がかさむといった声もあったんだとか。早ければ今年4月から始まるので、不妊治療を受けられている人、検討している人にとってうれしい支援になりそうですね。

◆関連リンク
不妊治療への支援について – 兵庫県
不妊症治療応援サイト「妊活はじめの一歩。」 – 兵庫県

 

この記事を書いた人

あさみ

「今年こそダイエット」が口癖です。

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