ローカルCM・地方PR動画を表彰する「ぐろ~かるCM大賞2018」で、「東播磨」をディスった兵庫県の動画が「特別賞」を受賞

テレビCMの戦略立案、コンサルティングを行う「株式会社テムズ(東京都文京区)」が運営する「ぐろ~かるCM研究所」が、2018年のマーケティング戦略において優れたローカルCM・地方PR動画を発表しました。

今年で第4回目を迎えるそうで、今回は、2017年12月~2018年11月の期間に同サイトにノミネートされたCMおよびPR動画128素材のなかから、各賞を決定しています。

明石市長が怒った兵庫県東播磨県民局の制作動画「東播磨のコマーシャルである」シリーズも、見事受賞しています。批判を受けて動画が非公開になるなど紆余曲折がありましたが、それも含めて話題を呼んだのは間違いなさそうです。

それでは、受賞動画をご紹介します。

ぐろ~かるPR動画大賞2018

鹿児島市(鹿児島県)/「維新dancin’鹿児島市 スペシャルムービー」篇

「西郷どんも知らない鹿児島市」の魅力を伝えるべく、ユニークな演技で注目を集める鹿児島実業高校男子新体操部が、「西郷どん」に扮して市内各地で踊る、踊る!アップテンポなオリジナルソングに乗って繰り広げられる圧巻のパフォーマンスに目は釘付け。

西郷どん視点の歌詞「♪自分の銅像にびっくり仰天 本物見ないでつくったの?」「まさか世界遺産になってるなんて」にも思わずクスリ。ハイクオリティなエンターテイメントPR動画です。

授賞理由
本素材は、「西郷どん」「ダンス」といった今年のトレンド要素を効果的にミックスしたインパクトある映像によって、大きな話題性の獲得に成功しています。この映像とともに、テンポ感があり市名のリフレインが印象的なオリジナルソングが、特産物や観光地のわかりやすい訴求に貢献するとともに、記憶への刷り込みにも寄与していると考えられます。また、ネット上での注目度が高く、地元の誇りともいえる「鹿児島実業高校男子新体操部」の起用は「シビックプライド」を刺激する要素として評価されます。

ぐろ~かるCM大賞2018

臼杵市(大分県)/「う♡(すき)プロジェクト」シリーズ

度重なる自然災害により打撃を受けた観光産業を復活させるべく2018年より始動した「う♡(すき)プロジェクト」。その一環として制作されたCMでは、名産「ふぐ」を猛プッシュ。人気冬季競技とのコラボレーションが斬新なシリーズです。

リアルなふぐが氷上を滑る「ふぐーリング」、ふぐとのペア演技が華麗な「ふぐアスケート」、うまさK点越えな「ふぐスキージャンプ」、活きのいいふぐが空を舞う「ふぐーボード」。その「キモかわいい」姿はインパクト十分。ふぐの美味しさを巧みに入れ込んだ競技の実況にも笑わされます。

授賞理由
本素材の大きな特徴は、自治体の広報媒体としてテレビCMが選択されていることです。「拡散の起爆剤」としてのテレビCMの活用と、訴求商品自体をメインタレント化したインパクトの強いクリエイティブによって、大きな話題性の獲得に成功しています。自治体や訴求商品への認知度を高めるという目的に対し、秀逸な広告展開であると高く評価できます。

特別賞 ぐろ~かるPR動画・ふるさと愛dear 賞

長崎県/「『体感、長崎の島。』 青いぜ!長崎ブルーアイランズプロジェクト」篇

日本一多くの島を持つ長崎県、その数はなんと594島。島々の独特な風土・歴史・美しさを伝えるため、長崎出身の有名タレント・福山雅治を起用!

「ドラマでも映画でも、与えられた役を表現するために、その役を身体に入れるのだ」という彼が、島々の魅力を伝えるためにとった驚きの行動は「島になる」!?本人の声で語られるナビゲーションも聴きごたえあり。タレントパワーを観光PRへとしっかり昇華し、訴求すべき観光地や特色に目を向けさせた仕掛けは見事です。

特別賞 ぐろ~かるPR動画・ポジティブ自虐 賞

東播磨県民局(兵庫県)/「東播磨のコマーシャルである」シリーズ

駆け出しのアイドルグループ「HYOGO」。センターを飾るのは「東播磨ちゃん」。しかし、いつもスポットを浴びるのは両サイドの神戸ちゃんと姫路ちゃん。「東播磨ちゃん、ちょっと地味過ぎですかね」と言われ、アピールポイントである明石焼き・かつめしも、神戸の異人館や姫路城に比べて弱いと凹む。

観光地として名高い神戸と姫路の間で隠れがちな東播磨を“売れないアイドル”として擬人化し、ポジティブかつユーモラスに自虐することで、話題性の獲得に成功しています。

特別賞 ぐろ~かるPR動画・継続はチカラなり 賞

福井県/「おいでよ!ふくい」シリーズ

https://www.youtube.com/channel/UCWlL1QEUajjZCwUhHNDkMQQ

福井県内の各地を巡り、グルメ・歴史・伝統文化といったさまざまな魅力をリポートするシリーズ。毎回、企画・出演・撮影・編集の全行程を、なんと広報課職員一人で行っています。2016年より始まったシリーズの動画本数はすでに40本以上!ほぼ毎月動画を制作しつづける「継続力」に脱帽です。

ユーモアを織り交ぜた丁寧なリポートからは、あふれる郷土愛が端々から感じられます。シティプロモーションの基本は“地元愛”であると再認識させられるシリーズです。

特別賞 ぐろ~かるCM・ユーモア賞 ~Theおしりに注目deショウ~

マイクリニック大久保(静岡県)/「あの頃に戻りたい Bタイプ」篇

アンニュイな表情で海を眺める美女。彼女の思いは「あの頃に戻りたい」。昔を懐かしむように目を閉じると、初めての七五三、吹奏楽部だった中学校時代、剣道に打ち込んだ高校時代…と“あの頃”の記憶が鮮やかに蘇ります。

回想とともに、彼女の切実な思いは募るばかり…「そう、せめて、おしりだけでも、あの頃に」!? ラストのオチを見れば納得しつつ、思わず吹き出すこと請け合いです。ポジティブで明るいトーン&マナーにより、インパクトをもってメッセージを伝えることに成功した独創的なクリエイティブです。

特別賞 ぐろ~かるCM・続きが気になるで 賞

コンコルド(静岡県)/コンコルドシリーズ

https://www.youtube.com/channel/UCtAuOe1Ri8W_dz8_hUb6prg

「静岡県民なら誰でも知っている」と言わしめるこちら。過去には、普通の人間と少し違う「コンコルド人間、略して、コンコルゲン」の生態を描くシリーズや、人々の心に溜まった“どす黒いもの”を食べる謎の生物「パヤ」シリーズなど。「パチンコ店らしからぬ」独自の世界観を20年以上にわたって続けています。

トーン&マナーを継承しながら、豊富なバリエーションとストーリーの組み合わせで注目を集め、続篇への期待感を大いに高めるクリエイティブが秀逸です。


それぞれの動画は興味深いものばかりですが、やはり面白さがないと印象に残らないんだなぁと思います。

◆関連リンク
ぐろ~かるCM研究所 – 公式サイト

 

この記事を書いた人

カズマ

神戸ジャーナル 編集長

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