神戸市がドコモなどと共同で行った『防災に役立つ、スパコン富岳を使ったシミュレーション』の成果が発表されてる

神戸市と株式会社NTTドコモなどと協力して行った『都市計画や防災計画に資する、「富岳」を活用したデジタルツインシミュレーション』の成果などが発表されました。

デジタルツインシミュレーションとは、従来のシミュレーション技術と異なり、「物理空間の変化をリアルタイムで仮想空間へ反映できる」んだそう。

これを用いた検証は、神戸市と株式会社NTTドコモ・理化学研究所・計算科学研究センターによって、3年にわたり取り組まれてきたものです。

具体的には、災害が起きた時の三宮駅周辺の混雑状況のシミュレーションなどが行なわれました。今回、その進捗や成果についてまとめて紹介します。

今年度の主な取り組み:神戸駅周辺地域における防災計画の検証


画像:防災情報のページ – 内閣府

今年度は、垂直避難を行った場合の避難者受入れ施設の収容人数や避難にかかる時間などの検証をはじめ、垂直避難と水平避難が混在した複合的なシミュレーションを行いました。

その結果、改善策により最大で、避難時間が70%、混雑緩和が20%低減できる箇所があることがわかりました。

津波災害を想定したシミュレーション条件および結果

津波警報発令時に対象エリアの来訪者が一斉に移動することを想定し、避難者受入れ施設の収容や避難にかかる時間等に着目しました。

実際の建物の入り口や階段、歩道の幅などをデジタル空間に作成し、精緻な街を再現。

また、要援護者を考慮してシミュレーションを実施することで、これまでよりも精度の高いシミュレーション結果に基づいて議論・対策を練ることが可能になりました。

これにより、円滑な避難を行う上で、3つの有効な手段があることがわかりました。また、避難先がさらに増えることにより、スムーズに避難できることが見込まれます。

シミュレーション実施条件
対象エリア
神戸市中央区国道2号以南東エリア(神戸駅周辺地域)
想定災害
津波

シミュレーションにより得られた主な結果
①域内駐車場スロープを歩行者避難に活用、車両進入禁止にすることで、避難時間が最大約70%短縮され、津波到達予想時刻までに域内避難を完了できることがわかった。
②防災計画で規定されていない北側エリアのルートを新たに用いると、避難時間が約60%短縮することがわかった。
③域内のビル1棟を避難先対象として新たに開放すると、周辺道路の混雑が約20%緩和されることがわかった。

防災計画への反映

神戸市危機管理室では地域を巻き込んで行動変容を起こすべく、シミュレーションの結果をハーバーランド協議会のワーキンググループで提示しました。

これにより、協議会関係者に対し垂直避難の実際的な活用を念頭に、データに基づく政策決定(EBPM)を今後すすめられる環境をつくることができました。

これまでの振り返りと今後の展望

神戸市、ドコモ、理研の3者で取り組んできたこの3年間で、1年目は街の実態を把握するため、道路など細部の地図に対して人の動きを落とし込む作業を実施しました。

2年目はその情報をシミュレーション条件として整備し、あらゆるパターンを用いて市内の混雑箇所の特定や一時退避施設の出入口設定など、神戸市の防災計画や帰宅困難者対策への反映を実現。

3年目は、シミュレーション条件として、2年目までに実施した水平避難に加えて、新たに垂直避難の要素を入れた取り組みを推進してきました。

今後はこの知見をもとに神戸市と同じような地理的、人口的特性をもつ他自治体への展開を視野に取り組んでいく予定です。


検証の成果などを知ると、技術を駆使した防災が進んでいることが分かりますね。

南海トラフの問題もあるので、市民としても「神戸市ハザードマップ」をチェックするなど、防災に努めていきましょう。

◆関連リンク
「富岳」について | 理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS) – 公式サイト
防災 – 神戸市

 

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ありさ

スイーツとハロプロのアイドルが好き。

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1 個のコメントコメントを残す
  • 匿名さん

    >津波警報発令時
    津波警報は発令ではなく発表ですね。

    2025年1月25日11:08 AM 返信する