神戸には兵庫県内で一番大きい前方後円墳があります。それは、神戸市垂水区にある「五色塚古墳」。
2022年には五色塚古墳をテーマにしたアニメミュージックビデオが制作されたことをきっかけに注目が集まり、最近は若い人が訪れることも増えてきたそう。
今回は、そんな五色塚古墳の見どころをご紹介します!
【取材・文】中田優里奈
神戸在住のライター。関西の観光、グルメを中心に企画・取材・執筆・撮影を担当。書籍『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 京阪神版』では神戸市内13ヶ所の公園を取材。地元の魅力を発信したいという思いのもと、日頃から神戸の街歩きをしてネタ探しをしている。
山陽電鉄霞ヶ丘駅から5分ほど歩いた住宅街に、兵庫県内で一番大きい全長194mの前方後円墳「五色塚古墳」があります。
神戸に対して港町や中華街、スイーツ、酒蔵といったイメージはあるかもしれませんが、そんな大きな古墳があるのは知らなかったという方もいるのではないでしょうか?
実を申しますと、神戸在住の私もそんな一人でした。古墳は教科書で見たことはありましたが、まさかこんな身近なところに古墳があるとはつゆ知らず……。
電車内から見える謎の置き物に、何の施設なんだろうと思っていたのが五色塚古墳でした。
駅からは案内板があるので分かりやすい
そんな五色塚古墳のことについて、神戸市文化スポーツ局文化財課学芸員の安田さんにお話を伺いました。
五色塚古墳がつくられたのは、4世紀後半の古墳時代だと考えられています。当時は周辺に人が住んでいたような形跡や田畑などもなく、この大きな古墳だけが建っていたのだそう。
一説によると、五色塚古墳は周辺を治める豪族が周囲に権力を見せつけるためにつくったという話もありますが、この古墳の埋葬者はまだ分かっておらず、ミステリアスな古墳としても知られています。
古墳の南にある明石海峡を渡る船からも、よく見える場所に造ることによって墓の所有者の権力を見せつけるためだったという説もあるようです。
五色塚古墳を上空から見た様子
明石市の魚住の幣塚(ぬさづか)古墳からは、五色塚古墳と同じ土を使ってつくられた埴輪が出土していることから、五色塚古墳をつくった人物は勢力範囲が広く、力のある豪族だったのではないかと推測されています。
古墳というと森や堀に囲まれていて、なかなかその全貌を目にできる機会はありませんが、五色塚古墳は見晴らしの良い場所に建てられており、なんと古墳の上に登ることもできるんです!
古墳の上から明石海峡大橋や淡路島が見渡せる眺望のよさも、五色塚古墳の見どころの一つ。天気の良い日には、大阪湾や紀淡海峡も見ることができます。
ちなみに、階段を挟んだ古墳の斜面に敷き詰められている葺石をよく見てみると、色が違うのが分かるでしょうか?
実は右側の黒い石は発掘調査のときに出土した石で、分析の結果、「日本書紀」に書かれている通り淡路島から運ばれたものだと分かっています。
使用された石の総数は223万個、総重量は2,784トン。そんな量の石を海を渡って運ぶことができたことからも、この墓をつくった人物のすごさが伝わってきますね。
古墳の上からは隣にある「小壺古墳」も見える
なお、古墳の周りをぐるりと囲むように並べられているのは、「鰭付円筒埴輪」と「鰭付朝顔形埴輪」のレプリカ。発掘調査の結果、およそ2200本の埴輪が並べられていたのではと推測されています。
埴輪のヒレ状の突出部分が重なっているのは、古墳の中に邪悪なものを寄せ付けない結界のような役割をしていたのではと考えられているなど、聞けば聞くほど興味深い話が出てくる五色塚古墳。
管理事務所内には、実際に出土した埴輪が展示されているので、ぜひ見学してみてくださいね。
五色塚古墳
住所 神戸市垂水区五色山4
アクセス 山陽電鉄霞ヶ丘駅より徒歩5分、JR・山陽電鉄垂水駅より徒歩10分
電話番号 078-707-3131
営業時間 ︎9:00~17:00
定休日 ︎12月~3月は月曜(祝日の場合は翌日))、4月~11月は無休、年末年始
入場料 ︎無料
公式サイト https://goshikiduka.org/
五色塚古墳を訪れるなら、ぜひチェックしてほしいのが五色塚古墳をテーマにしたアニメミュージックビデオです。
葺石にインスピレーションを受けて作ったという“不思議な石”を巡るストーリーは、ワクワクとした気持ちになり、五色塚古墳のことをもっと知ってみたくなるはずです。
『ワンダリズム きみを呼ぶ声』~神戸・五色塚古墳アニメ MV プロジェクト~
原案・コンセプトデザイン しの
アニメーション グレンズそう
企画プロデュース 武井克弘(東宝)
音楽 ︎HOWL BE QUIET 「Wonderism」(APARTMENT)
作詞・作曲 竹縄航太/編曲 HOWL BE QUIET
公式サイト https://www.wonderism-kobeproject.com/
神戸公式観光サイト Feel KOBE
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