ニュースなどで取り上げられていますが、近場のニュースとして取り上げたいと思います。
最初に概要ですが、5月6日(日)に行われた関西学院大学と日本大学のアメリカンフットボールの試合で、日本大学側の悪質なファウルがあって、それが結構ひどいという問題です。まずは動画をどうぞ。
最近は動画撮影が一般的で、SNSなどでも多く取り上げておりますが、関学側も後から改めて動画を確認して気付いたという感じだと思います。逆に言うと、それぐらい通常のプレーとは関係がないところで起こった悪質なプレーだったということになります。
※画像はイメージです。
広く取り上げられうようになったのが、こちらの発表くらいからではないでしょうか。また、動画が拡散されたことにより広く知れ渡り、海外でも取り上げられているようです。
5月12日(土)関西学院大学体育会アメリカンフットボール部 発表
日本大学との第51回定期戦における日本大学選手による反則行為について
2018/05/12
5月6日に行われました関西学院大学と日本大学の第51回定期戦において、関西学院大学の選手(以下、関学QB)に対する日本大学の選手(以下、日大DL)による反則行為が発生しました。
試合後にビデオ映像で確認したところ、日大DLは関学QBがボールを投げ終わって約2秒後に背後からタックルをしております。ボールには一切反応せず、QBだけを目掛けて突進し、明らかに力を抜いている状態の選手に背後から突き当たっており、さらに足を捻っており、競技プレーとはまったく関係なく当該選手を傷つけることだけを目的とした意図的で極めて危険かつ悪質な行為でした。
関学QBはこのプレーで負傷退場し、試合後に医師から全治3週間との診断を受けましたが、現在足に痺れが出ており、改めて精密検査を受ける予定です。生命にかかわる重篤な事故につながる可能性がある行為だったと考えます。
また、日大DLはその2プレー後および4プレー後にそれぞれパーソナルファウルの反則を犯し、3回目の反則で資格没収となりましたが、同日試合後の日本大学監督のメディアに対するコメントは、これらの反則行為を容認するとも受け取れる内容でありました。
日大DLの1回目のパーソナルファウルについては、その後関東学生アメリカンフットボール連盟において「ひどいパーソナルファウル」として認定されたことが5月10日付で発表されましたが、弊部として同日の5月10日付で日本大学アメリカンフットボール部に対して部長および監督宛で厳重に抗議する文書を送りました。申し入れた内容の概要については以下の通りです。
・日大DLの関学QBへの1回目のパーソナルファウルに対するチームとしての見解を求めると同時に、関学QBおよび保護者へのチームからの正式な謝罪を求める。
・日本大学監督が試合後にメディアに対して出したコメントの見解と、コメントの撤回および前項の行為が発生したことについての指導者としての正式な謝罪を求める。日本大学からの回答について、弊部として誠意ある内容であると判断できない場合、次年度以降の定期戦は行いません。
加えて、5月11日付で関東学生連盟に対しても要望書を提出いたしました。関東学生連盟では「ひどいパーソナルファウル」について規律委員会を設けて詳細を調査するとのことであり、その調査の過程で弊部へのヒアリングを行うことを強く要望しております。
2018年5月12日
関西学院大学体育会アメリカンフットボール部
「日本大学監督が試合後にメディアに対して出したコメント」とは、「選手も必死。あれくらいやらないと勝てない」という趣旨のコメントをメディア向けにしたそうです。
日本大学アメフト部が所属する「関東学生アメリカンフットボール連盟」が5月10日付で発表した内容はこちら。
5月10日(木)関東学生アメリカンフットボール連盟 発表
日本大学の選手による試合中の重大な反則行為について 2018年5月10日
本年5月6日に行われた日本大学と関西学院大学の定期戦の第1クオーターにおいて、日本大学の選手が3度のパーソナルファウルを犯し、資格没収となる事態が発生しました。本件は、アメリカンフットボールはもとより、あらゆるスポーツにおいて順守されるべきフェアプレー精神やスポーツマンシップ精神を著しく損なうものとして、関東学生アメリカンフットボール連盟として極めて重く受け止めています。
日本大学が加盟している連盟を代表し、また試合の主催者として、本件において負傷されました関西学院大学の選手ならびに対戦相手の関西学院大学の関係者の皆さま、そして国内外のアメリカンフットボールを愛する皆さまに多大なご心配とご迷惑をお掛けしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
弊連盟では、5月9日に開いた理事会で本件について協議し、以下の通り決定しました。
①当該選手の1回目の行為は、その後の検証の結果、試合中に審判クルーが下した「アンネセサリーラフネス(不必要な乱暴行為)」を超えるものである。公式規則第9篇第6章の「ひどいパーソナルファウル」に記載されている、競技団体による追加的な制裁が必要と判断し、競技団体である弊連盟として、追加的な処分の内容が確定するまでは、当該選手の対外試合の出場を禁止する。
②日本大学の指導者は、スポーツマンシップに則り、公式規則を遵守し、重要な規律をプレーヤーに継続して教えねばならないとして、厳重注意とする。
③一連の反則行為につき、調査・報告を行う為に規律委員会を理事会内に設置する。今後は上記③の通り、速やかに規律委員会を設置し、詳細な調査を行った上で最終的な対応を決定する運びです。
学生スポーツの本来の目的である学生の成長とアメリカンフットボールの発展に向けて、弊連盟として再発防止に力を尽くしていく所存です。アメリカンフットボールを愛する皆さまのご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
あらためまして、このたびは多大なご心配とご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした。2018年5月10日
一般社団法人 関東学生アメリカンフットボール連盟
理事長 柿澤 優二
アメフトはコンタクトスポーツであり、進路を(ルールに則って)妨害するためにボールを持っていない選手にでもタックルをしたりします。関西学院大学や関東学生アメリカンフットボール連盟のコメントから読み取れるのですが、1回目のファウルについて取り上げています。
ここで注意したいのは、2・3回目のファウルについてはどうかという点です。テレビなどではすべて一律にひどいプレーだという風潮ですが、2・3回目のファウルは個別に見ると、アメフトの試合ではありえるくらいのプレーではないかと思います。
ですので、個別のプレーとして悪質なのは1回目のファウルなのですが、全体として見た場合、つまり1回目のファウルがあったことを前提に2・3回目のファウルを見た時に、1回目のファウルも含めて何かしらの意図があったのかというところが論点になろうかと思います。
5月15日(火)日本大学から関西学院大学への回答書
平成30年5月15日
関西学院大学体育会アメリカンフットボール部
部長 池埜 聡様
ディレクター 小野 宏様
監督 鳥内秀晃様日本大学保健体育審議会アメリカンフットボール部
部長 加藤直人
監督 内田正人第51回定期戦における弊部選手による反則行為に係る貴部からの申し入れに対する回答について
平成30年5月6日に行われました定期戦において発生した弊部選手の反則行為について、負傷された貴部選手にお見舞い申し上げますとともに心より謝罪いたします。そして、一日も早い回復をお祈り申し上げます。また、ご迷惑をおかけしました貴部関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。
平成30年5月10日付けで送付いただきました貴部からの申し入れに対し、以下のとおり回答いたします。
1 弊部選手の前半第1攻撃シリーズ1プレー目の反則行為に対するチームとしての見解及び行為を受けた貴部選手並びに保護者へのチームからの正式な謝罪について
弊部としましては、アメリカンフットボール公式規則に掲げるフットボール綱領を尊重しており、意図的な乱暴行為を行うこと等を選手へ教えることは全くございません。
弊部の指導方針は、ルールに基づいた「厳しさ」を求めるものでありますが、今回、指導者による指導と選手の受け取り方に乖離が起きていたことが問題の本質と認識しており、指導方法に関し、深く反省しております。
弊部選手による反則行為を受けました貴部選手及び保護者の方に心よりお詫び申し上げます。2 弊部監督が試合終了後にメディアに対して出したコメントに対する見解と同コメントの撤回及び指導者として当該事案が発生したことについての正式な謝罪について
上記1で御説明いたしましたとおり、弊部は規則に基づいた指導を行っております。同コメントは、もとより規則に違反してもよいと意図するものではなく、選手に「厳しさ」を求めていることから発したものでした。
しかし、真意が伝わらず反則行為を容認する発言と受け取られかねないものであり、本意ではありませんため、ここに、試合終了直後にメディアに対して発した弊部監督のコメントは、撤回させていただきます。
当該事案が発生したことについて、ご迷惑をおかけしました関係者の皆様に指導者として謝罪いたします。
また、一部メディアで報道されております、当日のミーティングにおける弊部監督が選手に対して発した発言も、規則に違反し貴部選手を負傷させる意図は全くなく、選手全員に「厳しさ」を求め、士気を上げるために行ったものでした。
繰り返しになりますが、ご迷惑をおかけしました関係者の皆様にお詫びいたします。※「事実」「経緯」等のチームとしての見解について
弊部として把握する事実、当該プレーに至った経緯、それまでの指導内容、試合後の対応等についてですが、速やかな回答が必要なことは十分に認識しておりますが、弊部において現在、確認作業及び再発防止策の策定を行っております。恐縮ですがお時間をいただき、平成30年5月24日(木)を目処に回答させていただければと存じます。何とぞ今しばらく猶予をいただきますようお願い申し上げます。
重ねてではございますが、このたびの反則行為により負傷された貴部選手並びに保護者の方に対し、心より謝罪いたします。また、ご迷惑をおかけしました貴部関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。
今後、二度とこのような行為が行われないよう、ルール及びスポーツマンシップ教育・指導の徹底を図ってまいりますことをお誓い申し上げます。
以上
日本大学からの回答では、原因究明までは踏み込めていないのが正直なところです。
日本大学からの回答を受けて、関西学院大学の発表はこちら。5月17日(木)には、関西学院大学側が記者会見も開いています。
日本大学からの回答および今後の対応について
2018/05/17
日本大学アメリカンフットボール部(以下、「日本大学」といいます。)からの5月15日付回答書(以下、「本件回答書」といいます。)に対する弊部としての現時点での見解は、以下のとおりです。
・まず、現在に至るまで日本大学の責任ある立場の方より、本件で被害に遭った選手およびその保護者に対し、直接の謝罪の申入れがなかったことにつき、遺憾の意を表します。5月24日迄に追加の回答をいただく際には、日本大学の部長および監督から弊部の被害選手・保護者へ直接謝罪していただくことを要望いたします。
・試合後1週間以上も経過しているにもかかわらず、本件回答書には本件に関する具体的な事実・経緯などチームとしての見解が記されていません。日本大学には、5月24日までに改めて1プレー目の反則行為に関して貴部が把握する事実、当該プレーに至った経緯、それまでの指導内容、試合後の対応等を具体的に回答していただきたく存じます。
弊部が特に疑問を抱いているのは、なぜ昨年の甲子園ボウルや今春の試合ではルールの範囲内でプレーをしていた選手が、突然このような意図的で危険かつ悪質な行為に及んだのかという点です。どのような指示・指導があり、本人がどのように理解・判断してこのような行為に至ったのか、本件回答書が「問題の本質」とする、指導者による指導と選手の受け取り方との間の乖離について真摯な調査に基づいた具体的な説明をいただきたく存じます。・日本大学の指導者はルールに基づいた「厳しさ」を求めていたとのことですが、①極めて悪質な1プレー目が反則(アンネセサリーラフネス)とされた時点で、指導者が当該選手の交代を指示し、当該選手を厳しく注意・指導しなかったこと、②2回目の反則行為の時点でも同様に指導者が当該選手の交代を指示し、当該選手を厳しく注意・指導しなかったこと、③3回目の反則行為により当該選手が資格没収となってチームエリアに戻るに至っても、指導者が当該選手を厳しく注意・指導する様子がうかがえないこと、④試合後に内田監督が「あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」(日刊スポーツ 5/6配信)とコメントしていること等を勘案すると、ルールを逸脱した行為を監督・コーチが容認していたと疑念を抱かざるを得ません。
・「監督に『責任はおれが取る』と言われていた」(MBS)「(日本大学)関係者は反則が内田正人監督の指示だったとも明かした」(日刊スポーツ)「『試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい』と指示した」(ハドルマガジン)など多数のメディアで日本大学の指導者が反則行為を指示したと思われる報道が相次いでなされています。仮にこれらの報道が事実とすると、本件回答書にある「規則に違反し貴部選手を負傷させる意図は全くなく,選手全員に『厳しさ』を求め,士気を上げるために行ったもの」という範疇を逸脱していると考えます。この点についても改めて真摯に事実確認を行っていただき、結果について5月24日の回答書において説明をしていただきますようお願いいたします。
以上のとおり、本件回答書によって、弊部の抱える疑問、疑念を解消できておらず、現時点では誠意のある回答とは判断しかねると考えております。
今後につきましては、本件回答書および5月24日までに届く回答書を踏まえ、対応を検討いたします。
なお、近日中に行われる関東学生アメリカンフットボール連盟規律委員会による弊部へのヒアリングにつきましては、当該選手および保護者とともにチームとして全面的に協力する所存です。
2018年5月17日
関西学院大学体育会アメリカンフットボール部
この後、5月19日(土)に内田監督が関西学院大学側に謝罪をしています。空港での会見の様子がこちら。
関西学院大学のことを、正しくは「かんせいがくいん」ですが、何度も「かんさいがくいん」と言い間違えたり、ネクタイがピンクだったことが「どうなんだ」とその後メディアに取り上がられています。
内田監督は、「私の責任」ということでまとめた感じがありますが、原因究明はしっかりやらないといけません。5月24日に改めて日本大学の回答があるので、今後の展開はそれ以降になりそうです。
ただ内田監督自身が、日本大学の実質ナンバー2らしいので、内田監督が原因究明に積極的に関与しないのであれば、原因究明も難しいかもしれません。
カズマ
神戸ジャーナル 編集長
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