画像:西市民病院公式サイトより
1970年に長田区で開院し、地域医療を支えてきた「神戸市立医療センター西市民病院」。新長田エリアへの移転を計画し、2028年度末の新病院開院を目指していましたが、2031年夏ごろまで開院を延期する方針になったようです。
神戸市長田区一番町2-4
狭隘化・老朽化問題を解決するため移転を計画
画像:西市民病院公式サイトより
「西市民病院」は、1970年に現在の長田区一番町で開院。阪神・淡路大震災で本館が全壊したものの再建し、増改築を繰り返しながら地域医療を支えて、今年で54年になります。
今後の医療機能の進歩などに対応するためには、施設が狭いことと、一部の建物は竣工から約30年が経っていることから老朽化も課題に。そこで、新長田駅近くの長田区若松町に移転する計画が進められています。
画像:神戸市資料より
移転後のイメージ図はこちら。若松公園の「鉄人28号」の後ろに立つみたい。
新病院では救急診療体制を強化するほか、感染症や災害に強い体制にして、まちづくりや地域活性化にも取り組み、地域の医療機関と連携して「医療の中核」となる病院にしていく計画です。
AI(人工知能)やICT(情報通信技術)も活用して、DX(デジタルトランスフォーメーション)化で、医療の業務効率化や医療従事者の働き方改革も推進する構想なんだとか。
有識者会議の報告書や市民からの意見をもとに「基本方針案」を策定し、パブリックコメント(意見募集)などを踏まえて、2028年度末での新病院開院を目指していました。
2026年度の工事着工目標
神戸市は延期について9月に発表し、「工事を請ける事業者が見込めないこと」と「止水工事が必要になり工事期間を延長すること」を理由に挙げています。
計画では、2024年度中に工事の入札と着工を予定していましたが、工事事業者に参加意思を尋ねたところ、応札する事業者が見込めず、本年度は断念することになったんだそう。
報道によれば、北海道や熊本県などで大手半導体企業の工場・拠点の建設があるほか、東京都内も建設ラッシュで下請け業者が確保できないという事情もあるみたい。
さらに、建設予定地「若松公園」の現地調査を進めるなかで、地下の水位が高いことがわかり、強固な止水工事が必要になったんだとか。
そのため想定していた工事期間は、3年8カ月から、さらに6カ月ほど延長することになりました。
あわせて、建設費が高騰していることもあり、総事業費は当初予定の約2倍に膨らむ見込みになったことから、事業全体をあらためて精査して、見直しも検討するみたいです。
工事入札の公告・工事開始 | 新病院開院 | |
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当初予定 | 2024年度 | 2028年度 |
見直し後 | 2026年度 | 2031年度夏ごろ |
見直し後のスケジュールでは、2026年度に工事入札の公告と工事を開始し、2031年度夏ごろに新病院を開院する予定。
開院までは、現病院の運営は継続されるそうです。
建設業界では、もともと働き手が高齢化していたことと、建設需要が拡大していることに加えて、今年4月に残業上限規制が始まったこともあり「人手不足」が深刻みたいです。今回の発表では2年半の延期となりましたが、予定通り進められるのでしょうか。
◆関連リンク
・神戸市立医療センター西市民病院の再整備事業 – 神戸市
・神戸市立医療センター西市民病院 – 公式サイト
ややこしい病院ですからね…