大切な家族と向き合う「認知症」の専門外来『しおかぜメモリークリニック』訪問診療に対応する伴走型のクリニック

JR神戸駅から北側に7分ほど歩いたところの路地を入るとこじんまりとしたお店?がありました。湊川神社の少し東、牛丼の「すき家」の東側の通りを入ったところです。

カフェ?美容院?パン屋さん?と思って近づいてみるとそこにあるのは

認知症医療専門/夜間診療対応
しおかぜメモリークリニック

2019年5月に開業し、今年で2年目を迎える認知症を専門としたクリニックです。

白を基調にしたシンプルな外観で、小窓からはたぬきさんが顔を出しなんだかホッコリ。

外観からは病院感が全く感じられないところが、病院特有の心理的ハードルをなくし、通いやすさを後押ししているんだと思います。

「お大事に」は忘れず。

扉をあけると木を使った温かみのある内装で、 しおかぜメモリークリニック  の名前にちなんだブルーがアクセントカラーになっています。

オシャレすぎませんか?こんなオシャレな空間にこだわる先生ってなんかちょっと尖ってたりして。

院長「南 辰也(みなみ たつや)」先生の想い

安心してください。こちらがクリニックの院長をされている 南 辰也(みなみ たつや)先生。

とても穏やかで話しやすい雰囲気が印象的。先生は自然いっぱいの南あわじで生まれ育ち、小さな頃からおじいちゃん・おばあちゃんっ子だったそうです。

さっそく、病院っぽくない外観や内装についてのこだわりをお伺いしました。

南 辰也
「認知症」は患者さん自身が病識を持って、足を運んでいただくのがとても難しい繊細な病気なので、来ていただきやすい雰囲気や安心して過ごしていただける空間づくりを心掛けました

「病識」とは自分がその病気にかかっていると自覚しているかどうかということです。

「あれ?今何言おうとしたっけ?」とか物忘れレベルのことって誰しもありますよね?

初期段階であればあるほど判断が難しいけど、初期段階で行く方が「認知症」治療の効果が出やすいのが現実だそう。自分で認識することはかなり難しいと思うので、やはり家族が気付いてあげられるかどうかが大切。

このみ
どんな患者さんが、クリニックにこられますか?
南 辰也
患者さんの中には なんとなく物忘れが気になる という方から 寝たきりで言葉を発するのが難しい という方まで症状は幅広いです。

若年性型のアルツハイマー病もおられますが、多くの場合は「加齢による認知機能低下」でお悩みの患者さんとその家族です。

 

このみ
クリニックでは、どんなことをしますか?
南 辰也
まずは問診や心理検査をします。

心理検査とは本人だけでなく客観的な意見を家族からも聞いたり、テストのようなものを行って物を覚えてもらったり物の名前を順番に言ってもらったり簡単な算数をしたり一般の人なら難しくないレベルのテストをして総合的に判断をします。

その後、必要に応じて提携病院にて精密検査(血液検査・心電図・CT・MRIなど)を行うという流れです。

しおかぜメモリークリニックは神戸大山病院と連携しているので、細かい検査などもスムーズに対応する仕組みができています。

検査の結果、どのタイプの認知症かきっちり判断してもらったうえで薬の処方などをしてもらうそうです。

より身近な「重度認知症デイケア」を開始

8月からは  重度認知症デイケア  を始めました。

重度認知症デイケアでは 「こういうことが出来たらいいな」と家族や患者さん自身が感じること に重点をおいてリハビリをすることを目的としています。

訪問診療 → 在宅での投薬及び精神療法

デイケア → 通院での認知症における周辺症状の緩和、生活能力の機能維持

とすみ分けると分かりやすいとのこと。

例えば、「1人だとなかなか食欲がわかない」という方にはクリニックでお昼ご飯を提供して一緒に食事をしたりもしているそうです。

「会話不足で言葉が出てこない」という方とは会話の時間を設けたり、リハビリ感覚でクリニックに来て 誰かと楽しい時間を共有する ということはいい刺激になります。

お家に帰ってからも心が落ち着いていて、眠りにつきやすかったなどの声もあるようです。

南 辰也
認知症という病気は現在の医療では、基本的に完治することはありません。だからこそ早めに病院にきていただいて、進行を遅らせるためにお薬を飲んだり・生活習慣を見直すことがとっても大切です。

早めに診断を受けて、家の中に工夫を加えておくとその生活が当たり前になって問題が起こりくかったりもするみたいですが、進行が進んでから家の中を工夫しても、なかなか理解が難しいケースなんかもあるみたいです。

なぜ、認知症専門外来なのか?

人生100年時代と言われる現代では65歳以上の4人に1人が認知症やMCI(軽度認知障害)であるとも言われているほど、認知症の患者数は増加しています。

南先生自身も大好きだったおばあちゃんが「アルツハイマー型認知症」を患ってしまった時のことがとても辛い経験だったと言います。

患者さん自身からすると、

「できていた」ことが「できなく」なってしまう

家族に迷惑をかけてしまっている

不安やイライラ感が常にある・・・

といった悩みがあるでしょうし、家族からすると

一緒にいる時間を作りたいけど仕事で忙しい

余裕がなくきつく当たってしまう

自分のことが分からなくなってしまうのがつらい・・・

そんな様々な悩みを抱えている人はきっと多いはず。

だからこそ一家族一家族の生活に密着したサポートがしたい、きちんと関係性を築いた上での治療をしたいと考え「専門外来」として開業をしたそうです。

大切なことは  それぞれの専門分野のプロが連携して患者さん家族を支えていくこと  だそうです。

しおかぜメモリークリニックさんは、医療の目線で治療や薬の処方、生活のアドバイスをしてくれますが、その生活の補助のプロである介護士さんとも連携をとるそうです。

例えば、「自分で料理ができなくなってきた」という患者さんに対して介護士さんは代わりに美味しい料理を作ってあげたり、実際に食べてもらう補助はできます。

その患者さんの病気の進行度合いやモチベーションなどに合わせて、先生としての目線で「食器や食材を出すサポートなどをしてもらってください」と介護士さんにお願いするなど、その人、一人一人に合わせて今必要な補助、逆に自分でできてほしいことを、段階的に見極めて適切なサポートをしていく ことが出来ます。

患者さんも、その家族も、心にゆとりを持って病気と付き合っていくことがとても大切です。そのためには周りに気軽に相談ができる場所や、手を貸してくれる人が必要だと先生も自身の経験を通して身をもって感じたと話してくれました。

そんな 生活に密着したサポート ができる場所を作りたい、そんな想いからできたのが  しおかぜメモリークリニック  です。

患者さんの9割が「訪問診療」を選択
南 辰也
当初は通院して診察をする形を想定していたのですが、開業して1年、多くの患者さんからの声を受けて現在は「訪問診療がメイン」になっています。

患者さんの多くは様々な事情を抱えています。

「認知症であるという認識がないのでなかなかクリニックに行きたがらない」

「家族がみんな仕事で忙しく、なかなか連れていくことが難しい」

「足腰が悪いので自宅から出るのが億劫」

少しでも早めに病院にいって進行を遅らせるためにお薬を飲んだり・生活習慣を見直すことが理想ですが、足を運ぶのはそう簡単なことではないようです。

じゃあ僕たちが行きましょう!ってことで訪問診療がメインになっていったわけです。

診療時間は月~土の朝9時から夜10時までですが、緊急時には24時間×365日駆けつけられる体制をとっているそうです。

車は可愛らしいフォルクスワーゲン。

このみ
これが訪問車ですか?ちょっとオシャレすぎません?
南 辰也
一番病院みたいな感じがないかなぁって(笑)

丸みのある車を選びました。いつもこんな感じでたくさんのご家庭を回っています。

最初は家族だけがクリニックに来て、いろんなお悩み相談をするケースもあったり、初診から自宅に先生に来てもらって問診をしてもらうケースもあったり、とにかく患者さんや家族の要望にできるだけ沿う形で柔軟に対応をしてくれるそうです。

訪問診察が可能なのはクリニックから16km圏内にのため、神戸市中央区、神戸市兵庫区、神戸市長田区にお住いの方が中心になりますが、16km圏内であれば、神戸市須磨区や神戸市垂水区、神戸市西区などにもきてくれるそうです。

しおかぜメモリークリニックには南先生のほか、非常勤の先生が5名、看護師さん3名、相談員さん2名で対応しています。

南 辰也
はじめての診察は1時間以上時間をかかることが多いですが、その後は2週間に1回15分くらいの時間で、最近困っていることや、何か変わったことがなかったかなどの近況をお伺いして、必要に応じてアドバイスをしています。

 「認知症」と認めたくない! 

ご家族が異変に気付いたとき、本人にどうやって伝えればいいのか?どうすれば診察を受けてくれるのか?とても難しい問題ですし、実際にご家族からの相談も多いようです。

先生は時に白衣を脱いでおうちに行き、患者さんとフラットな形で生活や家族など日常のお話をして、きちんと関係性を築いてから問診をするようにしています。

認知症の方の特徴として、その日起こったことや具体的なエピソードは思い出せないけれど その時の感情は覚えている ことがよくあるそうです。

南先生は次また会ったときに僕の顔をみて 楽しい気持ち を少しでも思い出してもらえるようにコミュニケーションはとても大切にしています。長い時には問診の前に1時間ほど雑談をして、患者さんの故郷の話や昔していた仕事の話などを聞くそうです。

患者さんが医者を信頼して、納得した上で薬を飲むのと、ただ何となく飲むのとでは効果も違うかもしれません。

そして薬を飲むだけでは治せないことがたくさんあるからこそ、患者さんや家族の人生そのものを見直すお手伝いがしたいと南先生。

少しでも不安に感じたり、気になる症状があれば、あまり抱え込んで悩まず、まずは一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

身構えてしまうかもしれませんが、一度気軽にお話を聞いてもらうくらいの心持ちで。病気であってもなくっても、心が軽くなるかもしれません。

認知症医療専門/夜間診療対応
しおかぜメモリークリニック

【住所】神戸市中央区多聞通2-1-9
【電話番号】078-335-7570
【診療時間】月~土 9:00~22:00
【休診日】日曜日・祝日

 診察  ご家族も一緒にリラックスして受けてください。病状だけにとどまらず、患者さまの生きてこられた人生を理解するために生まれ故郷の話や学校、職業の話など、ご活躍されていた過去のお話を踏まえて、全人的なアプローチで問題の解決に取り組みます。もちろん、各種心理検査など科学的に有用な客観的評価を用いた、正しい診断を心がけております。患者様一人一人に適した医療をテーラーメイドで提供いたします。

 訪問診療  当院では訪問診療に力を入れています。訪問診療とは、体調が悪いときにだけ医師が診察に伺うものではなく、 お一人で通院が困難な患者様のご自宅や入居されている施設に、医師が定期的に診療にお伺いし、計画的に健康管理や治療を行うものです。 定期訪問に加え、緊急時には365日×24時間体制で対応させていただきます。また、急な体調悪化など、必要に応じて臨時往診や入院先の手配などを行います。当院は在宅療養支援診療所の指定を受けています。近隣の病院様とも連携がございますので、認知症はもちろんのこと、身体疾患に関してもなんなりとご相談ください。

 各種検査(血液検査・心電図・CT・MRI)  当院は近隣の神戸大山病院等と協力し各種画像検査実施した上で、確定診断を行っております。また、血液検査は自院での実施が可能ですので、身体疾患による認知機能低下などは比較的早急な結果の説明が可能です。また、訪問診療の患者様に関しては、血液検査など、簡易な検査であればご自宅で施行させていただきます。※画像検査は連携機関にて実施

 心理検査  認知症患者さまの心理的な側面を各種心理検査にて多角的にとらえていきます。患者さまの訴えでだけでなく、客観的な評価を基に表出がされにくい深層心理からアプローチを行います。(心理検査例:長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE、ADAS、WAIS-Ⅲなど。)
各種の心理臨床検査を医師や臨床心理士が丁寧に行います。

 処方  当院は院外処方になっております。近隣の薬局へ処方箋をお持ちください。訪問診療の方は、薬局様によってはご自宅への配送が可能な場合もございます。なんなりとご相談ください、


最後にアクセスについてです。駐車場はありませんので、基本的に電車を利用するか近くのコインパーキングを利用してください。

初めて行くときは注意してください。クリニック感がないので、見逃します!

JR神戸駅中央改札(プリコがある側)を出て北へあがると、正面に湊川神社が見えてきます。

大通りを北側に渡って「すき家」のある東側の角を入っていくと、すぐに右側にあります。

「しおかぜメモリークリニック」前からJR神戸駅の方を見た様子。

施設名しおかぜメモリークリニック
ジャンル医院、クリニック
住所神戸市中央区多聞通2-1-9
電話番号078-335-7570
診療時間月~土 9:00~22:00
休診日日曜日・祝日
リンク公式サイト
駐車場なし

紹介した情報は、記事執筆時点の情報です。また、神戸市内の開店・閉店情報、イベント、街の変化など、情報を求めています。ぜひ情報提供をお願いします。※自分のお店でもOKです。

 

この記事を書いた人

このみ

花や夕焼け空を眺める時間が好きです。

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