輪島の「地場産品」が集まる『輪島の食祭』が開催されるみたい。阪神梅田本店

ライター:かな

阪神梅田本店で、石川県・輪島市の地場産品が集まるイベントが開催されます。

輪島の食祭

2025年9月10日(水)~15日(月)
阪神梅田本店 1階 食祭テラス


大阪市北区梅田1-13-13

地震や豪雨災害で傷を負いながらも、前を向いて歩み続ける輪島の人々の「今できることをやりたい」「職人が活躍する機会を作りたい」といった様々な思いを受け、”にっぽん食むすび”のテーマに輪島の魅力を発信するイベントです。2回目となる今回は、計10店が登場します。

不撓不屈の精神で漆器の未来を築く「輪島キリモト」

震災と能登半島豪雨、二重の試練を乗り越えた「輪島キリモト」。

工房やみなし仮設住宅が水に浸かる被害に見舞われた当時を振り返り、桐本泰一さんは「さすがに一度、心が折れました」と静かに語ります。

しかし順子さんや仲間の支えを得て、工房は10月半ばに復活。商品点数を半数ほどに絞り漆器の安定供給を図りながら、インテリアとしての御前や高足膳など漆器の新たな活用法を提案。人材確保や新しい仕事を生み出すため、国内外の展示会やイベント、講演などに精力的に参加し、魅力を発信し続けています。

「輪島塗レスキュー&リボーン」と呼ばれる取り組みは、約100年以上~50年前の漆器を現代のライフスタイルに合わせて蘇らせることで、木地に命を吹き込むだけでなく、職人の生業を確保。蒔絵を施さずとも奥行きのある模様が楽しめる“透き溜”の器は、新たな場所で活用される機会を増やし、輪島漆器の価値を再定義しています。

その味で街に明かりを灯し続ける「mebuki-芽吹-」

今回は、能登の食材を使った和洋のメニューを提案する池端さん。自ら育てたジャージー牛を使ったハンバーグは、きめ細やかな挽肉に「上田農園」の野菜を合わせた、肉の旨みが際立つひと品。

また「のと吉」坂口さん考案の海鮮丼は、能登の新鮮な素材はもちろん、震災がつないだ縁から大阪・岸和田で水揚げされた生しらすも具材に。輪島×大阪のコラボ海鮮丼となるようです。

「県外からも能登に魅力を感じ、食でチャレンジする人が来る場所を作りたい」と話す池端さん。今後は自身の店「ラトリエ・ドゥ・ノト」の再建も視野に入れるなど、能登の復興のために走り続けます。

「そ/s/KAWAHIGASHI」中東篤志さん一汁三菜企画

国内外で日本食の様ざまな文化や魅力を発信する“カリナリーディレクター”中東篤志さんによる、食で輪島を感じる期間限定メニューが登場。

輪島の復興を応援する気持ちから、旨みが強い「上田農園」のトマトや、「中小路鮮魚店」から仕入れた旬魚などを素材に使用。「輪島塗 レスキュー&リボーン」の和食膳を使った、特別な輪島の食体験を堪能できます。

今年は「mebuki-芽吹-」と「そ/s/KAWAHIGASHI」が隣接する「輪島イートインブース」も設置。池端さんと中東さん、そこに“にっぽん食むすび”の真造と山口が加わり、アイデアを出し、試食を繰り返しながらメニューを考えました。

池端さんと中東さんのコラボメニューは、輪島と京都の素材を使った「まぜそば」です。日本酒やワインとともに楽しめます。

地道に前向きに。未来を見据える「白藤酒造店」

今年3月に米洗いを開始し、酒造りを再開した「白藤酒造店」。しかし建物は修理が必要。地域全体もまだ復興途上という現実。

白藤喜一さんと妻 暁子さんは言います。「酒造りができても、心から喜ぶわけにはいきません」。ただ2人にとって酒造りの時間は精神的な支えになり、お客さまの声は大きな励みになっています。「まずは足元の酒造りをしっかり行い、土台を固めることに注力したいです」。

新しいチャレンジもはじまっています。サーマルタンクなど酒造りに必要な設備を新しくし、蔵人の負担を軽減。酒造りに集中できる環境が生まれました。

食祭テラスには、旨みがありながらすっきりとした味わいの代表銘柄「奥能登の白菊 特別純米」に加えて、今年ならではの味わいが表現された少し辛口の「奥能登の白菊 のとのなつやすみ番外編」が登場します。

能登の海の恵みを全国へ「南谷良枝商店」

「輪島には腕のいい作り手がたくさんいます。ただ自分たちで発信ができない。それを何とかしたい」。その想いから南谷良枝さんは行動を起こします。

今年6月、金沢に支店をオープン。お店には自慢の海産物に加え、仲間たちの商品が並びます。

輪島にある本店は加工場が公費解体を待つ状況で、復旧の目途が立っていません。しかし良枝さんは「少しでも仲間たちや輪島の復興に役立つことができれば」との一心で、この大きな一歩を実現させました。

「いまできること」も増え始めています。良枝さんが「ずっと作りたかった」と話す「こんかいわし(いわしのこんか漬け)」。娘の美有さんを中心に大量のいわしを捌き、1年間漬け込みできるひと品。

「作るのが好き」と話す美有さんを見て、良枝さんは「早く輪島で、もの作りを再開する」と改めて決意したそうです。

柚子が香り唐辛子がアクセントの甘エビの醤油漬けや、ふぐの醤油干しなど、販売できる商品はまだ限られています。しかし、これらは親子の情熱が込められたとびきりのおいしさです。

地域に貢献する味わい「輪島朝市横丁」

「復興に燃えるぞ!」という熱い気持ちで名づけられた「もえる肉まん」は、NPO法人“紡ぎ組”の副理事長、坂井美香さんが手掛けたもの。

昨年は連日用意された500個が完売するほど人気で、坂井さんは「普段、肉まんを食べないお子さんが“おいしい”と言ってくれたのが印象に残っています」と話します。

能登豚と玉ねぎ、たけのこを組み合わせた餡と、国産小麦を使ったふっくら食感の皮が特徴で、素材の味をストレートに楽しめるのが魅力です。

この肉まんには、もうひとつ大切な役割があります。それはNPO法人を支えていることです。

肉まんの売上げはNPOの活動資金となり、ボランティアで訪れる方への食事や宿泊場所の提供、被災者の相談受付と専門家への紹介、こどもたちの遊び場作りなど多岐にわたる活動を支えています。

出会いを力に前進する「ラポール デュ パン」

東京のイベントに出店するなど、活動の幅を広げた1年。「様ざまな人との出会いがありました」と鹿島芳朗さん、妻 美江さんは笑顔で話します。

大都市への出店は輪島の“いま”を知っていただき、同時に自分たちの技術や方向性を確認する貴重な機会だったそうです。また震災後、インスタント食品を食べる機会が多かったことから、“体に良いもの”の価値を痛感。支援に訪れたブーランジュリーの方にもヒントをもらい、ヴィーガンメニューも新たに加わりました。

1年ぶりの大阪出店では3つの目玉商品がスタンバイ。「歯形が残るようなモチっと食感」と 芳朗さんが話す「クロワッサン」と、生地にバターと卵をたっぷり使いパンの味が楽しめる「あんぱん」、「白藤酒造店」の酒粕を使ったフルーティな香りと食べ応えのある「ヴィーガンケーキ」です。

「これからも研鑽を重ねて、遠方から人が訪れる店にしたい。それが地域活性化に繋がるはず」と話す芳朗さん。おいしいパンをきっかけにして、また新しい出会いが生まれるかもしれません。

らしくない、から生まれたおいしさ「谷川醸造」

昨年と異なる風景が広がる「谷川醸造」。倒壊した醤油蔵は今年3月にやっと更地になり、来年夏に完成予定で新しい蔵が建てられます。

谷川貴昭さんと妻 千穂さんのアイデアで蔵にはイベントスペースを併設。「人が出会うことで、様ざまなきっかけが生まれれば」と期待を寄せています。

これまでもオリジナルグッズの制作・販売など、醤油を軸にクリエーティブな活動を続けてきた谷川さん夫妻。そこに新しく加わったアイテムが「クラフトビール」です。もともとビールに興味を持っていた貴昭さんと千穂さん。その後、震災が起き、「今こそ人々が楽しめるツールが必要だ」とビール醸造に乗り出します。

富山県にある「NAT.BREW(ナットブリュー)」に協力を依頼。「谷川醸造」の麹を使った土着のクラフトビールが誕生しました。大阪には主力の「サクラ醤油」とともに登場予定です。

貴昭さんは自らを「らしくない醤油屋」と言います。新しい取り組みで、活路を開き続ける「谷川醸造」。次の挑戦も楽しみでなりません。

この地のテロワールをもう一度「ハイディワイナリー」

日本の生産では先駆けとなったアルバリーニョ種を含め約8,000本あったぶどうの木。そのうち約2,000本が被害に遭い、1年半をかけて植え替えられました。

併設のレストランも全壊判定となり解体することに。しかし高作正樹さんは諦めません。

「復旧に協力くださるボランティアの方や、ワインを買って楽しんでくれる方。みなさんの支援は今も励みです」。手間のかかる土壌改良や自然農法をあえて採用し、品質のよいワインを届けたい。その想いはさらに強いものになっています。

今回の出店では多彩な銘柄をラインアップ。中でもスパークリングワイン「アルム」は2021年に収穫のアルバリーニョを使用。震災を耐え抜き、36カ月長期熟成された“奇跡の1本”です。

また「千里」は震災後、ボランティアの協力で醸造できたという思い入れがあります。レストランは2026年春の再オープンを目指しています。高作さんは言いました。「少しでも早く輪島を訪れてもらい、くつろいでいただく。それがみなさんへの恩返しだと思っています」。

輪島を訪れるきっかけに「zawa coffee」「Hosibosi coffee」

留学中に震災が起きた四十沢(あいざわ)そらさん。急きょ帰国し、故郷の風景を見て思います。「こういう時こそ、リラックスできる場が必要だ」。

そこから急ピッチでキッチンカーなどを用意し、「zawa coffee」をオープン。自慢のエスプレッソで被災した方の心を癒してきました。

その後イベント出店の話が舞い込み、豆の焙煎から手掛ける「Hosibosi coffee」山崎里香さんに相談。それぞれの強みのエスプレッソとクッキー、ドリップコーヒーを生かしたコラボレーションが実現しました。

目玉のチャンククッキーは、四十沢さんがオーストラリアのカフェで作り方を覚えた本格的なおいしさ。しっとりした口当たりとミルクチョコレートのやさしい甘みで、海塩がアクセントになっています。

山崎さんのコーヒーは輪島で好まれている深煎りが基本。ペルー産、インド産などオーガニック栽培された豆を用意しました。

「イベントを通じて輪島のおいしいものを紹介して、実際に足を運んでもらえれば」と話す四十沢さんと山崎さん。癒しの味と香りをこの機会にどうぞ。

“にっぽん食むすび”とは
毎回テーマを設け、日本の食文化の魅力を伝えるイベントです。
「そ/s/KAWAHIGASHI」 中東篤志さんが手掛ける料理や、リカー売場バイヤー・山口がセレクトした日本各地のお酒、ナビゲーター・真造の食にまつわるトークなどをもとに、食の持つ奥深さに迫ります。食べて・飲んで・触れて、そして現地に想いを馳せる。そんな新しい食の楽しさをご提案しています。


様々な困難に直面しながらも、前を向いて歩み続ける輪島の人々の想いに胸を打たれます。「食」を通して輪島の魅力を体験してみてはいかがでしょうか。

◆関連リンク
阪神梅田本店 – 公式サイト

 

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かな

観葉植物ペペロミアホープの日々の成長を見て癒されています。

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