映画好きなら一度は訪れたい!「神戸映画資料館」  Feel KOBE

12月1日は「映画の日」。実はこの由来に神戸が深く関わっています。

1896年、エジソンが発明した活動写真の装置・キネトスコープが日本に上陸し、神戸・花隈にあった神港倶楽部で、日本で初めて映画が一般公開されました。

この際、11月25日から12月1日の期間公開されたことから、12月1日が「映画の日」として制定されることになりました。

メリケンパークに建つ映画記念碑

今回は、そのような日本映画史のはじまりの地である神戸で、国内外の貴重なフィルムを集め、映画の専門家からも一目置かれるスポット「神戸映画資料館」をご紹介します。

小さくても、大きなフィルムアーカイブ

神戸映画資料館は、映画フィルムをはじめ、書籍、ポスター、機材など映画関連の資料を収集・保存・公開する施設。 「新長田駅」から南へ徒歩5分の場所にあります。

入口すぐには昔の映写機の実物を展示

国内にある民営の機関としては最大規模のフィルムアーカイブで、収蔵しているフィルムは、なんと18,000本以上!

公的な機関では収集の対象となりづらいジャンルの作品や、個人が撮影したホームムービーなども含め、その時代の評価や人気にとらわず収集しています。

そのため、忘れ去られていた作品や、軽視されてきたジャンルの映画も保存されており、過去の作品が再発見・再評価されるきっかけをもたらす場所として、映画の専門家や関係者からも、一目置かれているのだそう。

オープンスペースのモニターでは1930年代の神戸を映したホームムービーなどを常時上映

そのような貴重なフィルムは、オープンスペースのモニターや、これから紹介するシアターでも上映されるほか、資料館の公式YouTubeチャンネルでも一部公開されており、実際にアーカイブの一端を目にすることができます。

▼ 神戸映画資料館 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/KobePlanetFilmArchive

館内の端末でも保管されている映像資料の視聴ができる

レアな上映作品。ここだけの映画体験ができるシアター

館内には38席のミニシアターを併設。

収蔵されているフィルムや、古典映画や現代映画、生演奏や弁士付きの無声映画など、商業的な映画館では取り上げられないような、ジャンルやバラエティ豊かな作品を上映しています。

シネコンのように長期にわたったロードショーは行わず、作品は週末のみなど、単日で上映されることが多いのだそう。 実際の上映スケジュールを見ると、あまり聞いたことがない作品ばかりで、映画好きの方にとっても新鮮に感じられるはず。

ミニシアターながら35mmと16mmの映写機を設置する本格派

上映時には作品についての説明や解説がつくことが多く、前知識が無くても作品を楽しめるよう、工夫がされています。

「映画に詳しくなくても、スケジュールにあるタイトルや解説を見て、面白そうと感じたり、 ピンと来たら気軽に観に来てほしい。とくに生演奏や伴奏付きの作品などは、映画と音楽ライブと一度に楽しめる感覚なので、お得でおすすめですよ。」と、支配人の田中 範子さん。

現状訪れているのはかなりの映画好きの方が多いようですが、少しでも映画に興味があれば、ぜひ気軽に訪れてほしいとのこと。 特に若い人に古い映画やフィルムの魅力にふれてもらいたいとの想いから、お得なユース料金(25歳以下)も設けられています。

神戸映画資料館のホームページにある上映スケジュールを見て、気になる作品がないかチェックしてみて。

▼ 神戸映画資料館 上映スケジュール
https://kobe-eiga.net/schedule/

現状全プログラム予約制となっており、空きがある場合は当日券でも観れるものの、人気の作品は予約が推奨されています。

資料の閲覧や映画談義が楽しめるカフェも併設

その他の見どころとして、館内には映画関連の書籍や、文献、資料などが揃う「閲覧室」もあり。(会員制、非会員の場合ビジター料金100円で利用可)

洋画邦画問わず映画関連の基本書籍がそろい、一般的な図書館と比べてもより専門的なラインナップ。 大学の卒論の時期には、映画を題材に研究をしている学生からの問い合わせもあるのだとか。

映画や監督のことで気になったり、調べたいことがあれば頼りになりそうな場所です。

閲覧室のモニターでは、阪神淡路大震災直後の被災地を撮影したホームムービーなども閲覧できる

また、資料館にはカフェスペースもあり。カフェ利用だけで立ち寄るのはもちろん、コーヒー片手に館内の貴重な展示資料を閲覧するなど、ゆったりと過ごせそう。

映画上映後には同じ作品を観た人同士で、お茶をしながら作品の感想を語り合うという光景もみられるそうで、 同じような趣味志向の映画好きがつどうこの場所ならではの魅力となっています。

映画の配給にも挑戦!作品はなんと100年前のコメディ映画?

ほかのトピックとして、神戸映画資料館では今年初めて映画の配給※に挑戦しています。

※ 映画作品の日本国内での上映興行権を取得し、他の映画館などで作品の上映を行うこと。

配給を行なっているのは、新作の映画ではなくて、なんと100年ほど前のコメディ映画! 1920年代にアメリカで制作された無声映画で、その後一度忘れ去られましたが、1960年代にフランスで偶然フィルムが発見されたことから再評価されたのだそう。

「100年前の無名の新人監督」による映像に、新たに音楽を付けて作品として公開しているのです。

無名の過去の作品を発掘し、アレンジして公開というのは日本では珍しく、 過去の映像作品を再発見し収集する神戸映画資料館らしい取り組みと言えるのではないでしょうか。

2022年12月1日時点で、兵庫や大阪での上映は終了してしまいましたが、京都(11月25日~)や広島(23年1月~)など、各地の劇場で続々上映予定。

作品についての詳細や上映スケジュールなどは、下記URLからご確認いただけます。

▼「NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ 発明中毒篇」
https://kobe-eiga.net/nonobowers/

Information

神戸映画資料館
住所 神戸市長田区腕塚町5丁目5−1
アクセス 「新長田駅」より南へ徒歩5分
電話番号 078-754-8039
営業時間 10:30〜18:00(上映会やイベントのある日は除く)
休館日 水・木曜日
入館料 無料(映画上映などイベントによっては観覧料要)
公式サイト https://kobe-eiga.net/

日本の映画史のはじまりの街・神戸にある神戸映画資料館で、深くて広い映画の世界を覗いてみませんか?

【文・写真】山崎 敬永(神戸観光局 観光部)

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