多くの人を魅了してきた三国志は、約1800年前の中国で魏(ぎ)・呉(ご)・の蜀(しょく)の3つの国が争ったお話。映画やアニメ、ゲームなどでも取り上げられることが多く、今も幅広い世代に人気です。
神戸には、そんな三国志にまつわるスポットがあるのをご存じでしょうか。そこで、今回は三国志のロマンを感じられる「関帝廟」と「KOBE鉄人三国志ギャラリー」をご紹介します。
まず紹介する「関帝廟」は、地下鉄県庁前駅から歩いて10分ほどのところにある道教の寺院。日本の伝統的な建築様式に中国風の意匠や様式を取り入れた、きらびやかな「華和(中日)折衷」が特徴です。
正門入口の天井
北京の紫禁城と同じ鮮やかな黄色の瓦を葺いた本堂
こちらには、蜀を建国した劉備、張飛とともに義兄弟の契りを交わした武将・関羽が祀られています。
「関帝」とは、関羽を神格化した名称のこと。道教の神様の一人で、中国では福建省や蘇州を中心に崇められているのだそう。商売繁盛や学業成就のご利益があるとされている神様です。
全国に関羽を祀る寺院はいくつかありますが、神戸の関帝廟は、主神である関羽の他に、大慈大悲観世音菩薩(聖観音)と天后聖母(媽祖)が祀られています。
写真撮影禁止の本堂内に祀られた関羽像の両脇には、関羽の息子・関平と、「三国志演義」に登場する架空の人物・周倉の像が並びます。鑑賞しながら、それぞれの人物に思いを馳せてみましょう。
本堂の扁額(へんがく)「忠義仁勇」
本堂に掲げられている扁額(へんがく)には、「忠義仁勇」などといった、主君である劉備に忠誠を尽くした関羽の生き方や信念を表した言葉が記されているので、そちらにも注目してみてください。
関帝廟は道教の寺院なので、参拝方法は日本の寺社とは異なります。寺務所で販売されている線香を購入し、線香に火をつけたら香炉にお供えするという流れです。
香炉は複数あるので、各香炉に記されている数字の順に参拝しましょう。
また、日本では珍しい中国式のおみくじも体験できるので、気になる方は、運勢を占ってみてはいかがでしょうか。
山門近くには関羽のフォトパネルも
関帝廟
住所 神戸市中央区中山手通7-3-2
アクセス 神戸市営地下鉄「県庁前駅」徒歩約10分
電話番号 078-341-2872
HP http://www.zhonghua-huiguan.com/mausoleum
次に紹介するのは、各線新長田駅から徒歩9分ほどのところにある「KOBE鉄人三国志ギャラリー」。
故 横山光輝さん作の漫画「三国志」の資料をはじめ、フィギュアやカードなど、三国志にまつわる展示物がたくさん並ぶギャラリーです。
「三国志」のほか、「鉄人28号」や「魔法使いサリー」などの人気作を生み出した漫画家 横山さんは、実は神戸市出身。そんな横山さんゆかりの地に、2009年、「KOBE鉄人PROJECT」と題し、町おこしの一環としてオープンしたのが、こちら「KOBE鉄人三国志ギャラリー」なのです。
諸葛孔明の像
三国志第一展示室には、三国志ファンの心をくすぐる展示が目白押し。
名軍師といわれた諸葛孔明の像や、蛇のように刃先がくねくねと曲がった張飛の武器「蛇矛(じゃぼう)」、全長約2.5m、重さ1tある劉備に仕えた武将・趙雲のブロンズ像など、ここでしか見られない展示物も。
関羽の武器「青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)」の重さを体感できる体験コーナーもあるので、体力に自信のある方はぜひチャレンジしてみてください。
そのほか、日本における三国志との関わりを紹介した展示パネルなどもあり、三国志をあまりよく知らない人でも歴史を楽しく学べます。
江戸時代中期の翻訳書「通俗三国志」
江戸時代に歌川国芳が三国志の英雄たちを描いたレアな浮世絵の展示も
三国志第二展示室にはカフェスペースとライブラリーがあり、三国志関連のマンガや書籍をゆっくりと読むこともできます。
店内には三国志関連のグッズも多数揃えられており、ファンにはたまらない空間。日本国内はもちろん、海外から足を運ぶお客さんもいるのだとか。
「自分が子どものころにあったら嬉しいと思う場所にしたい」という館長 岡本さんの思いから、三国志の塗り絵やオリジナルゲームなど、子どもでも楽しめるコンテンツも用意されています。
定期的に開催されているイベントも要チェックです。テーマを決めて三国志について語り合う三国志交流会「桃園の智会(ちかい)」は、「順に一言発言」というルールがある参加型のイベントで好評。
写真提供:KOBE鉄人三国志ギャラリー
2023年11月4日(土)には「三国志祭」も開催予定。今年で17回目を迎えるイベントで、大学教授のシンポジウムや「三国志テスト」などが行われます。ご当地キャラクター「アニマル三国志」も登場しますよ!
写真提供:KOBE鉄人三国志ギャラリー
岡本さんは、「初心者の方でも楽しめるように、あまりマニアックになりすぎないように気をつけています」と話します。イベントの詳細はHPで紹介されているので、興味がある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
KOBE鉄人三国志ギャラリーのある商店街には、三国志等身大石像や、商店街の店主が登場する「三国志なりきり看板」、曹操像が並ぶ「魏武帝廟」など、三国志にまつわるスポットが他にもたくさん。ぜひ周辺散策も楽しんではいかがでしょうか。
KOBE鉄人三国志ギャラリー
住所 神戸市長田区二葉町6丁目1-13 アスタくにづか6番館東棟1
アクセス 各線「新長田駅」より徒歩約9分
電話番号 078-641-3594
HP http://www.kobe-tetsujin.com/gallery/index.html
【取材・文】中田優里奈
神戸在住のライター。関西の観光、グルメを中心に企画・取材・執筆・撮影を担当。書籍『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 京阪神版』では神戸市内13ヶ所の公園を取材。レトロ建築とチーズケーキが好き。地元の魅力を発信したいという思いのもと、日頃から神戸の街歩きをしてネタ探しをしています。
神戸公式観光サイト Feel KOBE
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元記事:神戸で歴史にふれる!三国志ゆかりのスポット – Feel KOBE 神戸公式観光サイト
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