健康寿命の視点から見た認知症診断助成制度『神戸モデル』とは?認知症医療専門の「しおかぜメモリークリニック」に聞いてみた

ライター:このみ

「認知症かも?」と思ったときに、神戸市ではその検査費用を負担してくれる助成金制度があるってご存じですか?

実はこの助成金制度、昨年始まったばかりの新しい制度なんだそうです。

65歳以上の4人に1人がMCI(軽度認知障害)以上を患っていると言われている現代に対応した、全国初の取り組みです。

認知症は完治が難しいとされる病気だからこそ、早めの治療を通して進行をゆるやかにすることがとても大切。そう話してくださるのは、JR神戸駅からすぐのしおかぜメモリークリニックで院長をされている南先生。

南先生
気軽に検査を受けてもらうことで早期発見につながれば、早めの段階から治療ができます。そうすると、認知症の進行を遅らせることにも繋がります。また、認知症だと診断された後のサポートもあるので、神戸市にお住まいの方であれば活用したほうがいいですね。

過去の「しおかぜメモリークリニック」の記事はこちら。
大切な家族と向き合う「認知症」の専門外来『しおかぜメモリークリニック』訪問診療に対応する伴走型のクリニック
重度認知症デイケアを通して、認知症の患者さんやそのご家族の生活に寄り添う『しおかぜメモリークリニック』

健康寿命平均寿命って何が違うの?

日本は長寿大国ともいわれるほど、世界的にみても平均寿命が長く、90歳を超える方もそんなに珍しくない国ですよね。

平均寿命は、生まれてからその人がどれだけ生きられるかということであり、健康寿命とは異なります。

健康寿命は、その名の通り「健康な状態」で生きられる寿命のことを指しており、健康とは「自立した生活が送れる状態」のことを指しています。

例えば、70歳で脳梗塞を患い、身体が不自由になってしまった女性がいたとします。その女性はリハビリをしながら、その後15年にわたって家族や施設の方の介護を受けながら生活ができました。

この場合の健康寿命は70歳になるのです。つまり、いま、日本が抱えている大きな問題は、この15年という時差にあります。

平均寿命が昔よりずっと伸びていることには様々な理由があると考えられます。

例えば、日本の医療制度。ほかの国と比較しても、医療にかかる費用を国が補助してくれる割合が多いため、治療を受けやすい環境にあります。そのほか、日本人の食文化や健康への意識など長生きしやすい環境が整っていると言えるでしょう。

長生きすることは、患者さん自身にとっても、家族にとっても幸せなこと。でも、その時間が健やかで自立した時間にするために、必要な努力があるのかもしれません。

 

助成金制度はどんな人が対象なの?

まず、「神戸モデル」は、神戸市在住の65歳以上の方が無料で検診が受けられる制度です。

そして、実際に受診をしに行く前に忘れてはいけないポイントが2つあります。そのポイントを外すと対象外になってしまうので事前に準備をしてから臨みましょう。

①実施医療機関でのみ対象となります。
すべての医療機関が神戸モデルの対象ではありませんので、事前にこちらからお近くの対象医療機関を調べておきましょう。

②事前に無料で検査をうけるための受診券を発行することを覚えておきましょう。
受診券は、電話、申込書の郵送やFAX、またWEBでも申し込みが可能です。

「神戸モデル」ではどんなサポートをしてもらえるの?

制度は大きく分けて「診断助成制度」「事故救済制度」の2通りあります。

診断助成制度

認知症かどうかを知るための検査費用を補助してくれる制度です。

 

検査の工程は〈第1段階〉〈第2段階〉に分かれており、まず第1段階で認知症の疑いがあるかどうかを調べます。その上で医師が認知症の疑いがあると判断した場合、第2段階である精密検査を行います。

第1段階▶認知機能検診=簡単な暗記問題や数字の計算などの心理検査。
    (費用目安:数千円)
第2段階▶認知機能精密検査=CTやMRIなどの精密検査をして、どのタイプの認知症かまで調べることができる。
    (費用目安:1万円程度)

南先生
まず第1段階の検査費は神戸市の制度で無料になるので、「念のため受けてみる」が早期発見につながればいいなと思います。
事故救済制度

認知症だと診断された方が、日々の生活の中で起こしてしまった事故に対して補助をしてくれる制度です。

 

①賠償責任保険の掛け金をを神戸市が負担

②24時間365日対応可能なサポートダイヤル

③GPS安心かけつけサービス

④見舞金(給付金)の支給

このみ
対人・対物すべての事故に対して保証されるのですか?
南先生
対人も、対物も対象のようですが、あくまで認知症が原因で起こった事故だと判断された場合のみ、ですね。それとは別で、市からの見舞金制度もあるので心強いですね。


神戸市公式サイトより

認知症は、長い目で付き合っていくことが大切。だから、使えるサポートを知っているのと知らないのとでは全然違いますよね。

現在、第1段階の検査を受けた方の約7割が認知症ではないという診断だそうで、その大半は届いた受診券をみたり調べたりして、ご自身で受診されている場合だそうです。そういった自分事に置き換えて診察をしてみようと思うことが難しくなってくるのも、認知症の症状の一つなのかもしれません。

だからこそ、ご家族の方が変化に気づいて受診するきっかけづくりをしてあげることが早期発見の第一歩なのかもしれません。

  認知症医療専門/夜間診療対応 
 しおかぜメモリークリニック
 公式サイト

【住所】神戸市中央区多聞通2-1-9
【電話番号】078-335-7570
【診療時間】月~土 9:00~22:00
【休診日】日曜日・祝日

 診察  ご家族も一緒にリラックスして受けてください。病状だけにとどまらず、患者さまの生きてこられた人生を理解するために生まれ故郷の話や学校、職業の話など、ご活躍されていた過去のお話を踏まえて、全人的なアプローチで問題の解決に取り組みます。もちろん、各種心理検査など科学的に有用な客観的評価を用いた、正しい診断を心がけております。患者様一人一人に適した医療をテーラーメイドで提供いたします。

 訪問診療  当院では訪問診療に力を入れています。訪問診療とは、体調が悪いときにだけ医師が診察に伺うものではなく、 お一人で通院が困難な患者様のご自宅や入居されている施設に、医師が定期的に診療にお伺いし、計画的に健康管理や治療を行うものです。 定期訪問に加え、緊急時には365日×24時間体制で対応させていただきます。また、急な体調悪化など、必要に応じて臨時往診や入院先の手配などを行います。当院は在宅療養支援診療所の指定を受けています。近隣の病院様とも連携がございますので、認知症はもちろんのこと、身体疾患に関してもなんなりとご相談ください。

 各種検査(血液検査・心電図・CT・MRI)  当院は近隣の神戸大山病院等と協力し各種画像検査実施した上で、確定診断を行っております。また、血液検査は自院での実施が可能ですので、身体疾患による認知機能低下などは比較的早急な結果の説明が可能です。また、訪問診療の患者様に関しては、血液検査など、簡易な検査であればご自宅で施行させていただきます。※画像検査は連携機関にて実施

 心理検査  認知症患者さまの心理的な側面を各種心理検査にて多角的にとらえていきます。患者さまの訴えでだけでなく、客観的な評価を基に表出がされにくい深層心理からアプローチを行います。(心理検査例:長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE、ADAS、WAIS-Ⅲなど。)
各種の心理臨床検査を医師や臨床心理士が丁寧に行います。

 処方  当院は院外処方になっております。近隣の薬局へ処方箋をお持ちください。訪問診療の方は、薬局様によってはご自宅への配送が可能な場合もございます。なんなりとご相談ください。

◆関連リンク
神戸市 認知症の人にやさしいまち『神戸モデル』|認知症診断助成制度 – 神戸市

このみ
ライター:このみ
花や夕焼け空を眺める時間が好きです。
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