「本人に病識がないので、病院に連れていくことがそもそも難しい」
家族や、周りの人が「認知症かも?」と思った時に、まず直面するのがこの悩み。
認知症の症状である「物忘れ」現象は、「加齢」によってある程度自然に起こることです。だから、それが年相応のものなのか、病気なのかの区別がなかなかつきません。まさか自分が、自分の身近な人が、そんな気持ちが発見を遅らせてしまうケースはよくあります。
認知症と加齢性の物忘れの違いはどこにあるのでしょうか?
年を取るのは脳も同じ。だから、若い頃と比べて「脳」の機能も低下しますが、加齢による物忘れは病気とは違います。とはいえ、一般の方は簡単に判断するのは難しいでしょうし、ご本人が気づくことは不可能に近いのかもしれません。
☑物忘れをしているという自覚がない
☑体験したことそのものを覚えていない
☑ヒントをもらっても思い出せない
☑判断力が低下している
☑衣食住など日常生活に支障がある
この中で思い当たるものはありませんか?
もし、該当するものがあれば、一度受診してみてもよいのかもしれません。加齢による物忘れというのは、たまに「うっかり」忘れてしまうことなので、「あぁそうだった!」と思い出せる程度なら、問題がないのかも。ですが、認知症には完治する治療法や薬が存在していないので、少しでもおかしいかも?と思った時点で、早めに治療や生活の改善をして、進行を遅らせることがとても大切です。
病院に一緒に行くのが難しいという場合、JR神戸駅すぐの認知症医療専門「しおかぜメモリークリニック」では2つの方法を提案しています。
その1▷家族だけでクリニックに来て、最近の症状などを共有する。
その2▷訪問診療を利用して、自宅で問診を受ける。
認知症は自分で異変を感じて病院に足を運ぶケースは少なく、患者さんの周りやご家族が異変に気付いて、検査を受けるケースが大半です。
もちろん、身体や心のことは患者さん自身が一番よく分かっていることだと思うので、最終的には直接、問診や検査を経ての診断になりますが、家族からの情報は大きな判断材料になるようです。
「しおかぜメモリークリニック」では初診の方でも往診の方が多いですし、認知症と診断されてから定期的に治療を受ける方々も含め9割が「自宅にきてもらっての問診や診察」を選択しています。
訪問診療について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
左側の扉を開けると、デイケアの2・3階のフロアへと続く階段があります。
「しおかぜメモリークリニック」では、今年の8月から\重度認知症デイケア/を始めています。クリニックは3階建てで、1階が通常の診察、2階と3階がデイケアとして利用されています。
重度認知症デイケアとは?
主に、認知症の患者さんを対象に、これまでの生活や仕事での経験を活かした個人ワークや集団行動をすることで、認知症における周辺症状の緩和や生活能力を維持することを目的とした薬以外の治療法です。
神戸市は、「神戸モデル」として“全国初の補助金制度”をスタートさせ、認知症の方がより快適に過ごせる街づくりに力を入れています。
2019年から始まったこの制度は、申請をすれば65歳以上の神戸市在住の方は皆さん無料で受診券が受け取れるので、気軽に検査も受けやすくなっています。その制度については次回の記事で詳しくご紹介していきますね。
まず大切なことは、認知症かどうか早めに検査を受けること。その上で、認知症だと診断された場合、その方々の生活環境や状況に合わせて工夫を加えていくことが必要です。その一助として「重度認知症デイケア」を利用してもらえれば、と南先生は話してくれました。
一言で「認知症」といっても、様々な要素が重なっているので治療方法もひとつではありません。
ケースバイケースで患者さんの年齢や性格、生活環境、家族構成、病気のタイプや進行度など、いろんな話を見たり聞いたりしながら、一緒にその時の最適な方法を見極めて、患者さんとその家族を見守り・支えていく、それがしおかぜメモリークリニックが大切にしていることです。
重度認知症デイケアの一日
9:00 ご自宅までお迎え
10:30 午前のワーク
12:00 お昼をみんなで食べましょう
13:30 午後のワーク
15:00 ご自宅までお送り
重度認知症デイケアは、1人の患者さんが平均週2~3回程度の頻度で利用されています。
中には重度認知症デイケアのことを「出勤」と呼んでいる患者さんもいるそうです。「ワシは今日、出勤日や!」と生活に張り合いが出て、イキイキしている姿を見ると、きっとご家族は嬉しい気持ちになりますよね。
では、今回は認知症の方にどんなお悩みが多く、また重度認知症デイケアではどのようなことができるのか、お悩みを3つに絞ってご紹介していきたいと思います。
食べ物を食べることが出来なくなるのは認知症の初期症状としてよく挙げられます。ただ、食べられないと言ってもその理由は様々。食欲がない、一人の食事が寂しい、箸の持ち方がわからない、料理が作れない、やる気(アパシー)がない 等。
家にこもっていては、足腰はどんどん衰えていきます。一人で外を歩くのは本人だけでなく、家族も不安ですし、認知症の患者さんは、年齢的にもほかにも病気を抱えているケースは決して少なくありません。
なかなか外に出たり、人と接点を持つことが億劫になってくると家にこもりがちになってきます。そうすると、人と会話をする機会も減り、外からの刺激がなくなります。最近はコロナの影響で人との接触を避けているために、病状が進行しているケースもあるようです。
進行を遅らせるために治療やリハビリをすることは、今、できること一つ一つを大切にする ことなのだと思います。
当たり前にできていたことが「できなくなる」苦しみやもどかしさは患者さん自身だけでなく、家族の精神的・体力的大きな負担にもなります。大切な家族だからこそ少しでも長く元気でいてほしい。その想いはきっと誰しもが感じていること。
ただ、完治しない病気を前に無力感を感じてしまうことや、介護に心が疲れて優しくできない日もあるかも。
重度認知症デイケアは、家族と患者さんが少し心にゆとりを持てるそんな時間を作ってくれる場所なのかもしれません。
認知症医療専門/夜間診療対応
しおかぜメモリークリニック 公式サイト
【住所】神戸市中央区多聞通2-1-9
【電話番号】078-335-7570
【診療時間】月~土 9:00~22:00
【休診日】日曜日・祝日
診察 ご家族も一緒にリラックスして受けてください。病状だけにとどまらず、患者さまの生きてこられた人生を理解するために生まれ故郷の話や学校、職業の話など、ご活躍されていた過去のお話を踏まえて、全人的なアプローチで問題の解決に取り組みます。もちろん、各種心理検査など科学的に有用な客観的評価を用いた、正しい診断を心がけております。患者様一人一人に適した医療をテーラーメイドで提供いたします。
訪問診療 当院では訪問診療に力を入れています。訪問診療とは、体調が悪いときにだけ医師が診察に伺うものではなく、 お一人で通院が困難な患者様のご自宅や入居されている施設に、医師が定期的に診療にお伺いし、計画的に健康管理や治療を行うものです。 定期訪問に加え、緊急時には365日×24時間体制で対応させていただきます。また、急な体調悪化など、必要に応じて臨時往診や入院先の手配などを行います。当院は在宅療養支援診療所の指定を受けています。近隣の病院様とも連携がございますので、認知症はもちろんのこと、身体疾患に関してもなんなりとご相談ください。
各種検査(血液検査・心電図・CT・MRI) 当院は近隣の神戸大山病院等と協力し各種画像検査実施した上で、確定診断を行っております。また、血液検査は自院での実施が可能ですので、身体疾患による認知機能低下などは比較的早急な結果の説明が可能です。また、訪問診療の患者様に関しては、血液検査など、簡易な検査であればご自宅で施行させていただきます。※画像検査は連携機関にて実施
心理検査 認知症患者さまの心理的な側面を各種心理検査にて多角的にとらえていきます。患者さまの訴えでだけでなく、客観的な評価を基に表出がされにくい深層心理からアプローチを行います。(心理検査例:長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE、ADAS、WAIS-Ⅲなど。)
各種の心理臨床検査を医師や臨床心理士が丁寧に行います。
処方 当院は院外処方になっております。近隣の薬局へ処方箋をお持ちください。訪問診療の方は、薬局様によってはご自宅への配送が可能な場合もございます。なんなりとご相談ください。