エサ不足・水温上昇だけじゃなかった! 瀬戸内海で『イカナゴ』が激減した原因がわかったみたい。広島大学研究グループが調査

Photo AC イカナゴ いかなご

瀬戸内海でとれる『イカナゴ』の漁獲量が近年激減しています。その原因について、広島大学研究グループが調査し、主要因が明らかになったそうです。

2017年から続く不漁

神戸ジャーナルでも毎年お伝えしているように、イカナゴのシンコ漁は厳しい状況が続いています。

漁獲量が激減したのは2017年ごろからですが、2024年は続く不漁のなかでも特に厳しい年に。

2024年3月に解禁された播磨灘でのイカナゴ漁は、史上初となる「1日限り」で終了することに。漁獲量が振るわなかったため、来年以降の資源を確保するための決定でした。

2025年3月には、イカナゴの店頭価格が「1kg 11,000円」と過去最高額を更新。前年より3,000円もアップしましたが、流通する量も少なく、早くから売り切れとなる店舗も出ていたようです。

そして今年。兵庫県水産技術センターが実施したイカナゴの稚仔、シンコの調査結果によれば、播磨灘はさらに減少し、前年より5割減となっています。

今年も分布調査が低水準だったため、休漁などの対策がとられる可能性もあります。

なぜ急激に減少?

イカナゴ 瀬戸内海 減少 広島大学 研究
瀬戸内海におけるイカナゴの漁獲量
画像:広島大学公式サイトより

イカナゴが減少した原因については、海がきれいになったことでエサとなるプランクトンが減り、その結果イカナゴの産卵量が低下した と指摘されていました。

しかしエサ環境の悪化や産卵量の減少は、通常は時間をかけて進行するものとされています。

瀬戸内海のイカナゴ減少は2017年から急激に悪化していて、明確な理由はわからなかったみたい。

そこで、広島大学大学院統合生命科学研究科の冨山毅教授、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所の米田道夫主任研究員らの研究グループは、イカナゴの低水準が続く要因を調査し、主要因を明らかにしたそうです。

研究結果の論文は国際学術誌「Marine Environmental Research」に掲載されています。
※論文タイトル:Local environmental changes boost predation risk in forage fish: application to the sand lance in the eastern Seto Inland Sea

2016年から「捕食者」が急増

研究グループは「イカナゴを捕食する魚類の増減に着目した長期データ解析」と「水温上昇と餌不足がイカナゴの行動に及ぼす影響を調べる飼育実験」を研究したそうです。

イカナゴは冬に生まれ、春~初夏にかけてエサを食べて栄養を蓄え、夏から冬まで眠る、冬眠ならぬ「夏眠」という習性があるんだそう。

そのため夏眠に入るまでに充分な栄養を蓄えられるかがポイントです。

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魚食性魚類の分布密度
画像:広島大学公式サイトより

そこで、サワラ、ブリといった「魚を食べる魚類」(魚食性魚類)14種の漁獲情報を解析したところ、2015年以前と2016年以降では状況が大きく異なり、16年からこうした「捕食者」が急増していたことがわかりました。

上記の画像は、魚食性魚類の分布密度を表していて、赤色ほど高く、青色ほど低いことを示しています。

2016年を境に、赤色が急増しているのがわかります。

またイカナゴについても、エサが充分である条件と、エサが不足している条件で飼育して行動の違いを比較。エサが不足したイカナゴは夏眠の開始が遅れることがわかったそうです。

エサが不足しているイカナゴは、充分なエサを蓄えるために活動期間が延び、それが捕食者と遭遇する機会の増加につながっていった ということみたい。

これらの結果から、瀬戸内海東部のイカナゴ減少は「エサ不足」と「水温上昇」、さらに「捕食者の増加」が重なって作用したことが明らかになりました。

2016年に捕食者が急増し、その年に夏眠に入れたイカナゴが大きく減少。その結果冬の産卵量が減少したと考えられるそうです。

環境が改善するまで十分な資源管理を

瀬戸内海に限らず、イカナゴの資源量、漁獲量は全国的に減少しているそうです。

要因は海域ごとに異なる可能性もあるため、それぞれで調べる必要があるみたい。

これまでの資源変動の研究では、水温やエサの環境など「生きものの成長や繁殖」に直接関与する要因が主に注目されてきたそうです。

しかし今回の研究により「捕食者の増減」が資源変動に影響を与える可能性があるとわかり、このアプローチでの新たな科学的検証ができるようになるとのこと。

研究チームの広島大の冨山毅教授は「環境が改善するまでイカナゴを十分に残せるような資源管理が求められる」とコメントしています。

主要因がわかったことで、新たな対策が打てるようになり、イカナゴの資源量が改善するとよいですね。

◆関連リンク
【研究成果】瀬戸内海のイカナゴが突然減った謎に迫る – 広島大学サイト

 

この記事を書いた人

あさみ

「今年こそダイエット」が口癖です。

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