放棄された「葡萄畑」と「牛舎」から。北区に『ワイナリー』ができてるみたい。ナチュラルワインの醸造も

旧牛舎を活用した神戸市北区大沢町のワイナリー建屋
画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

北区・大沢町に、放棄されかけた葡萄畑と廃業した牧場の牛舎を受け継いだ『ワイナリー』の建屋が完成しました。いま、人を迎え入れる外構づくりのための資金を、クラウドファンディングで募っています。


神戸市北区大沢町上大沢1813

手がけるのは、中央区でナチュラルワインショップ「ビバ・バン・ビバン」と、地域食材とナチュラルワインを扱う飲食店「エノテカ・ベルベルバール」を営む「Viva vin VIVANT」。ワイナリーの名前は『Domaine Tabi(ドメーヌ他火)』といいます。

「旅」の語源には「他火(たび)」という説があるそうで、自分の家の火を離れ、他者の家の火にあたること。人から人へ火が渡っていくような場所にしたい、という願いが込められた名前なんだとか。

40年の葡萄畑と、50年の牛舎を継いだ

ワイナリーの近くにある約2.4ヘクタールの葡萄畑
画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

大沢町にあるのは、約2.4ヘクタールの葡萄畑。約40年にわたって実り続けてきた樹が、高齢化と後継者不足で担い手を失い、根こそぎ切られようとしていたそうです。

その場面に「僕がやります」と手を挙げたのが、オーナーの宮本健司さん。2022年に畑を引き継ぎ、ナチュラルワインの造り手としての挑戦を本格的に始めました。

ナチュラルワインは、できるだけ人の手を加えず、その土地の酵母の力に委ねて醸すワインのこと。ここで造られるのも、天然酵母発酵・酸化防止剤不使用のワインです。

葡萄畑に立つオーナーの宮本健司さん
画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

最初の数年は苦しみの連続だったそう。慣行栽培から有機栽培への転換は技術的に難しく、気候変動にも振り回され、育てたぶどうが全滅した年もあったといいます。2024年から、ようやく自社畑での有機栽培が軌道に乗り始めました。

2年前には最初のクラウドファンディングを実施し、369人の支援で目標の136%・約545万円が集まっています。この資金で岡山の醸造家のもとでの委託醸造が実現し、神戸生まれのナチュラルワインが初めて世に出ました。

そして今年の収穫からは、いよいよ自社ワイナリーでの醸造が始まります。

建屋は完成、でも「人を迎えられない」

完成したワイン醸造室の内部
完成したワイン醸造室/画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

建屋というハードは、この春に完成済み。国の補助金・神戸市の支援・融資・自己資金と、使えるものをすべて使い、建物も醸造設備も整っています。

ただ、資材高騰と急激なインフレで建築コストが膨らみ、「醸造設備」を最優先した結果、ワイナリーの外構(建物まわりの整備)を整える資金が足りていない状態なんだそう。

雨で泥に沈んだワイナリーの未整備の路面
雨で泥に沈み、重機も通れない未整備の路面/画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

選んだのは、大沢町で50年間使われ、役割を終えて廃業した牧場でした。半世紀を重ねた建物の風合いに価値を感じ、受け継ぐことを決めたそうです。

けれど、その分だけ足場や土地の傾斜が現代の作業動線に合わず、外構を整えるには想像以上の難工事と費用がかかります。いまの状態では、重いぶどうを運び入れる「トラックのアクセス」や「荷降ろし場」を確保することすらできません。

雨が降れば地面はすぐ泥になり、清潔さが守られるべきワイナリーの中にまで泥が入り込んでしまう。ワインを口にしてもらう場所として、譲れない一線だと綴られています。

悪路・駐車場予定地・テラス予定地の現状写真3点
左:来場を拒む悪路、中央:駐車場になるべき場所、右:テラスや果樹園となるべき場所/画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

目標金額は500万円。集まった資金は、次の3つに使われます。

【① 搬入・動線の整備】
・ぶどうを安全に搬入するための外構・アプローチ整備
・ワイン醸造所と蔵を結ぶ経路整備
・足元の整備・衛生面の強化(周囲の泥対策)

【② 訪れる人を、気持ちよく迎え入れる】
・駐車場・動線・テラスの整備
・子ども連れでも安心な外構整備
・元牧場ゆえのグランド整備
・農村ゆえの安全に誘導する標識、看板(サイン)

【③ この土地を、次の世代へ育てていく】
・自社ぶどう畑に新苗の定植
・ハーブ菜園・果樹の植樹
・瓶のリサイクルのための洗浄機
・見学・体験向け設備

外構工事は2026年10月に着工し、2027年4月の完成を予定。レンガを敷く、ハーブや樹を植えるといった一歩ずつのプロセスを支援者と共有しながら進めていく考えだそうです。

同じ町内で自然栽培に取り組む「ペチカ自然農園」の藤原さんが、ここで定期的に菜園教室を開いているほか、料理人からは「キッチン設備があるなら、収穫の時期にまかないを作りに行きたい」という声も届いているんだとか。都市と農村を結び直す「開かれた場」をめざしています。

神戸の畑から生まれた4種のワイン

リターンの中心は、2024年・2025年に神戸で収穫・醸造したオリジナルワイン。品種はシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンで、微発泡から樽熟成まで4種類が揃います。いずれも各750mlです。

シャルドネ 2025(白/微発泡)のボトル
画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

シャルドネ 2025(白/微発泡)
洋梨、白桃、エルダーフラワーの香り、爽やかな果実味と浅い塩味、スッキリとした酸。

カベルネ・ソーヴィニヨン ロゼ 2024(ロゼ/微泡)のボトル
画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

カベルネ・ソーヴィニヨン ロゼ 2024(ロゼ/微泡)
野いちごやトマトの香り、プチプチと緩やかな泡と出汁のような旨味、アセロラのような酸。

シャルドネ 樽 2024(白/樽熟)のボトル
画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

シャルドネ 樽 2024(白/樽熟)
林檎、アカシア、ハチミツの香り、浅い旨味とキレイな骨格を感じるミネラルと酸、熟成されるも良し。

カベルネ・ソーヴィニヨン ルージュ 2024(赤/樽熟)のボトル
画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

カベルネ・ソーヴィニヨン ルージュ 2024(赤/樽熟)
コケモモ、マルベリー、黒果実の香り、軽やかな均整のとれた味わいと酸、家庭料理との相性よし。

ワインのリターンは1本8,000円から。選べる2本15,000円、3本22,000円、12本85,000円といったセットのほか、オリジナルエコバッグ5,000円、ワイン1本+エコバッグ12,000円、ワイン1本+Tシャツ18,000円、2本+Tシャツ25,000円も用意されています。

お礼メールと活動報告が届く応援コースは3,000円・10,000円・50,000円・100,000円の4段階。企業向けには、醸造所の壁に社名をペイントしたプレートを設置する法人協賛が50,000円から500,000円まで5段階あり、看板職人の廣田碧さんが手がけるそうですよ。

ワインの受け取りは、クール便での配送か、ワイナリーでの直接引き取りが選べます。引き取りを選ぶと、宮本さんの案内でワイナリーや畑の見学ができるのがうれしいところ。引き取り日は10月10日・11月14日・12月12日の全3回(いずれも13:00〜16:00)が予定されてます。

葡萄畑で収穫体験をする参加者
画像:Viva vin VIVANT公式クラウドファンディングページより

畑での収穫体験は8月後半に
募集期間中には、自社畑でシャルドネの収穫体験も実施されます。収穫のあとは、畑を眺めながらのランチとワインの試飲つき。

【開催日】2026年8月23日(日)・30日(日)
【場所】神戸市北区大沢町上大沢付近
【参加費】10,000円(ランチ+ワイン試飲付き)/20,000円(ランチ+ワイン1本)
【申込期限】23日参加は20日(木)19:00まで/30日参加は27日(木)19:00まで
※詳細の住所・アクセスは該当支援者にメールでお知らせします。
※1名の参加枠(ひとりぶんの料金)。お連れの人は追加料金(大人1名 10,000円)で参加可。子どもは保護者同伴で参加無料、小学生以上はランチ代500円。

ちなみに、無料のボランティアとしての収穫参加も例年どおり募集されるそうです(募集はSNS等で告知)。

このほか、10月31日(土)には収穫祭(40,000円のリターン・昼〜夕方予定)、2027年3月6日(土)には剪定枝の葡萄畑でバーベキュー「カルソッツイベント」も予定されています。

プロジェクト名
【神戸・大沢町】放棄された葡萄畑と牛舎から 人が集うワイナリーへ

実行者
Viva vin VIVANT(オーナー:宮本健司さん)

目標金額
5,000,000円(All-in方式/目標未達でもリターンは届く)

支援状況
1,945,000円・支援者67人・達成率38%(2026年8月18日時点)

募集終了
2026年8月18日時点で残り36日

支援方法
CAMPFIREのプロジェクトページから

特記事項
※20歳未満の者による飲酒は法令で禁止されています。20歳未満の方は酒類を含むリターンは選択いただけません。
※目標金額を超えた場合はプロジェクトの運営費に充てさせていただきます。
※天候や葡萄の状態により中止・変更となる場合があります。 中止の場合は、代替提案をさせていただきます。
※引き取りは宮本が直接お迎えするため、あらかじめ設定した対応日から事前予約制でお選びいただきます。
※食品表示はお届け商品のラベルに記載されます。開封前に必ずご確認ください。
※詳細の住所・アクセスは該当支援者様にメールでお知らせします。
※お披露目会は別途ご案内いたします。

市街地から車を走らせた先の畑と牛舎から、どんなワインが生まれるのか。気になった人はプロジェクトページをのぞいてみてください。

◆関連リンク
Viva vin VIVANT – 公式Instagram

 

この記事を書いた人

やよい

「推し」のライブによく出没します。

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