有馬にある温泉寺で坐禅と中国風精進料理「普茶料理」の体験ができることをご存知ですか?
そもそも坐禅や普茶料理ってなに?と思った方、ご安心ください。住職が一つ一つ丁寧に説明してくださるので、知見が広がり、新たなリフレッシュ法を身につけることができるかもしれません。
目の前に広がる大雄宝殿
太閤・秀吉も愛した日本三古泉の一つ、有馬温泉。数々の文豪や著名人にも愛され、現在でも昔ながらの情緒あふれる温泉街が広がっています。
そんな有馬にある温泉寺に到着すると、歴史を感じる佇まいの本堂が目の前に広がります。温泉寺は、禅宗の一宗派、黄檗宗の寺院で、724年に行基が建立した、薬師如来を祀る有馬最古のお寺です。
1995年の阪神淡路大震災で半壊しましたが、2003年に再建され、現在に至ります。
緑が生い茂っており、空気がおいしいのも有馬ならでは。柔らかな風に包まれながら本堂で手を合わせ、寺務所に伺うと浅野住職がお出迎えしてくださいました。
最初は、坐禅体験から。
坐禅の前に、身につけている帽子や靴下、そしてアクセサリーや時計などを外します。大雄本殿の中に入って、座布団を一人ずつ受け取り、薬師如来像の前でまずは座り方を教わりました。
本堂のご本尊 薬師如来
足は半跏(左右どちらかの足を、もう一方の足のももにのせる)、手は合爪(右手の上に左手を置き、親指の爪を合わせる)で臍下丹田(へそ下三寸)の前に置き、目は半眼(約90cm前方に視線を落とし、閉じない)、呼吸は腹式呼吸(数息観)と一つ一つ姿勢を調えていきます。
三回の木魚の音で始まり、引馨(いんきん)という鐘の音が鳴るまで、精神を統一させ、自分と向き合います。静まりかえった本殿で、呼吸が落ち着き、心に静寂が訪れるのを感じることができました。
坐禅の姿勢
本来は、線香一本の燃焼時間(30〜40分程度)が坐禅を行う時間の目安だそうですが、今回の体験では10分×2セットを行いました。
説明の中で伺った、「坐禅は、みんなで行うもので、苦行ではない。」という住職の言葉が印象的でした。
体験前はうまく精神統一できるか少し不安でしたが、初心者に寄り添った住職の説明のおかげで、リラックスしてのぞむことができ、案外あっという間に時間が過ぎました。
心も頭も何だかリセットされたような、スッキリした気分に。
坐禅体験を終えると、待ちに待った普茶料理を頂く時間。
本堂向かって右脇の建物の中に案内されます。襖絵や掛け軸が素敵な室内には、見た目も豪華な普茶料理の数々がすでに用意されていました。
普茶料理は中国風精進料理で、不殺生の教えに基づき、肉、魚など動物性のものが使えません。そうしたものに似せて作る「もどき」が特徴の料理です。
住職が一つずつ丁寧に料理を説明してくださるのですが、どれも手が混んでいて、一品一品想いを込めて作っていただいた様子がうかがえます。
中でも、「鰻のかば焼きもどき」は、本物と見間違えるほどのクオリティ。材料は、お豆腐、山芋、海苔など。見た目はもちろん、味も、まるで鰻を食べているのではないかと錯覚してしまうほどでした。
ごまで目をつけて、かえるに似せたそら豆など、チャーミングな飾り付けもあり、見た目にも楽しめるお料理です。
普茶料理
全てで7〜9品ほどありましたが、至る所にこだわりが感じられ、とても豪華でそして優しく、お腹も心も幸せいっぱいになりました。
浅野住職による普茶料理の説明
浅野住職は、同宗大本山、萬福寺で普茶料理の調理を担当する典座長などを10年以上務めたそうで、そんな住職自らが腕を振るってくださるこちらの普茶料理は、格別でした。
有馬の地で、ゆったりと時間が流れるのを感じながら、心を整え自分と向き合い、身体に優しいお食事を頂くことで、リフレッシュできること間違いなし。
普段はなかなかできない特別な体験をしてみませんか。
坐禅と普茶料理の体験をご希望の方は、事前にお寺へお電話にてお問い合わせください。
温泉寺
住所 兵庫県神戸市北区有馬町1643
アクセス 神戸電鉄「有馬温泉駅」徒歩約10分
電話番号 078-904-0650
坐禅・普茶料理 電話にて要事前予約
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元記事:心と体を整える。有馬の「温泉寺」で坐禅と“普茶料理”を体験 – Feel KOBE 神戸公式観光サイト
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