地域へのICT普及・浸透・スマートシティの創造を目指す「地域ICT推進協議会(略称:COPLI/会長:永吉一郎)」が「2024年度 COPLI セミナー」を実施し、会場に集まった総勢60名でITを活用した神戸の地域活性化について考えました。
約2時間のセミナー後には懇親の場として「忘年会」も実施。会員同士の交流もさることながら、来年度から入会を検討している企業やIT企業への就職を視野に入れている学生などの参加も見られ、親睦を深める有意義な時間となったようです。
今回はセミナー中に発表のあったコンテンツをまとめてご紹介します。
Index
セミナー「現代日本語最大のバグ ー ローマ字」
登壇者:松田謙次郎 氏(神戸松蔭女子学院大学 文学部英語学科 教授)
今回のセミナー内では「ローマ字」に注目し、日本文化におけるローマ字の捉えられ方とその変化について話されました。
小学生の頃に授業で学んだ記憶がうっすらある人も多いだろう「ローマ字」は、規格(表記ルール)が複数あり今もなお統一されていません。
日常生活においてもパスポートで名前を表記する際など迷った経験のある人多いのではないでしょうか。
戦後の日本政府は「将来漢字は消えてローマ字
1980年代のワープロ普及をきっかけに、日本文化でのローマ字のあり方は変わっていきます。
今後もますますDX化が進んでいくと思われますが、「IT✕言語」が切っても切り離せない関係性の中で、ローマ字表記の規格が統一されていくことは今後必然的だと松田さんは考えているそうです。
「街の回遊性」と「ナイトタイムエコノミー」について
登壇者:田中真一 氏(株式会社デンソーテン)、高橋裕子 氏(NIGHT CULTURE KOBE 推進協議会 代表 / 株式会社U)、福岡壯治 氏(神戸電子専門学校)
神戸市が2022年に設立した「KOBEスマートシティ推進コンソーシアム」の活動の一貫として、COPLIの委員会のひとつ「スマートシティ推進委員会」ではBe Kobe Fun!というサービスアプリの実証実験を進めてきました。
スマホに無料の専用アプリを入れて神戸の街を移動するだけでポイントが貯まり、「割引クーポン」や「無料引換券」として利用できる期間限定のサービスです。
街の回遊性を高めることを目的に始まった取り組みですが、利用者が多く期間を延長して実施中。現在ダウンロード者数は10,000人を超えています。
ユーザー属性や利用時間・利用場所などのデータを獲得できたことで、新たな課題も明確化し解決に向けた取り組みにも役立てています。
特に特徴的だったのがアプリの利用時間が圧倒的に昼間に偏っているという点。街全体としての課題にもなっている夜間の経済活性化という点も改めて認識するきっかけとなりました。
夜の経済活動=ナイトタイムエコノミーを活性化するべく動いているのは、NIGHT CULTURE KOBE 推進協議会 代表を務める 高橋裕子さん。
「神戸は夜に行く場所がない」との意見も多く、まだ知られていない夜の神戸の楽しみ方を発信していく必要があると高橋さんは話します。
株式会社DIIIGが提供するデジタルマップに、神戸らしいエッセンスを取り入れ、KOBE& “Night Life Map”を作成。
マップを開くと「KOBE BEEF/神戸牛」や「SAKE/日本酒」「vegan」など神戸らしさがあり海外観光客を意識したキーワードが並び、クリックすることで関連するお店一覧が見られます。
オーナー色の強い個店が多いところも神戸らしさの一つではあるものの、各店舗ごとに活用しているメインのプラットフォームが異なるので、そのお店をフォロー・Bookmarkしている人でないと”今”の情報にたどり着きにくいという点にも注目したんだとか。
「今日こんな美味しい食材入ったよ!」とか「いつもより早く店あけてまーす!」みたいなタイムリーな情報が、まさにお店を探し中の人に届きやすいよう、紐づけるSNSやサイトはお店が「一番情報発信で活用しているプラットフォーム」に。
魅力がないのではなく埋もれてしまっている。だからこそ、今ある神戸の資産を活かして街の回遊性を高めるために、ITをうまく取り入れて「届きやすい形」にしていく必要がありそうです。
会員講演①デジタル大臣賞を受賞、その後の展開
登壇者:横山哲也 氏(CiPPo株式会社)
国内では多くの「アプリ」が量産されており、近年、行政課題の一つにもなっています。
例えばチャットツールの代表格としては「LINE」が存在しますが、カジュアルすぎる・プライベート感が強すぎるなどシーンにそぐわないと判断された場合などに、新たな独自アプリを作成するケースなども多いみたい。
フォーマルなシーンのチャットツールとして使えて、他にも多機能な「スーパーアプリ」を提供しているのが「CiPPo株式会社」です。
ニュースやイベント、災害、求人など「情報」を集約して発信することをはじめ、決済システムや電子回覧板、プレミアム商品券などの機能も合わせ持つことで、デジタル化をシンプルに進めていきます。
会員講演② 世界10億IDの人流解析とデジタルマッププラットフォームで観光DX
登壇者: 秋國寛 氏(株式会社DIIIG)
オリジナルのデジタルマップが作れるサービスを提供している「株式会社DIIIG」からは自社サービス「DIIIGのデジタルマップ」の紹介がありました。
情報過多の現代においてマップ機能を用いて「情報」をできるだけ一本化し、わかりやすい形で届けられることを目指しています。
デジタルマップはデザイン、機能などすべてアレンジが自由自在。ルート案内機能も備わっていたり、最大32言語に対応していることから海外の観光客への活用も視野に入れています。
すでに自治体やメディアなど多くの団体の活用事例が紹介されており、おでかけ情報に限らず「防災マップ」としても活用され始めています。
地域ICT推進協議会(COPLI)では、定期的に地域のICT(情報通信技術)に関連するセミナーを開催しています。
神戸のIT企業同士のつながりや情報交換などができるので、IT企業にお勤めの方や、IT業界に興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。
学生は「無料」で参加できるので、将来IT企業に就職したい、就活でIT業界について調べているなど気になる方はぜひ。
◆関連リンク
・地域ICT推進協議会 – 公式サイト
このみ
花や夕焼け空を眺める時間が好きです。
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