始まりは江戸時代!? 神戸の無形民俗文化財『かねたたき』に行ってきた。須磨・多井畑の豊作を願う伝統行事

ライター:ゆう

須磨区の山側にある多井畑地域で、その年の豊作を願って行われた伝統行事『かねたたき』が、2024年9月15日(日)に開催されました。

今回は、この多井畑に古くから伝わる伝統行事に潜入!神戸市の無形民俗文化財にも指定されているお祭りです。

兵庫県でも数少ない、平安時代中期に始められた念仏踊りの一種「六斎念仏踊り(ろくさいねんぶつおどり)」の原型を残していて、めずらしいお祭りなんだとか。

念仏踊り(ねんぶつおどり)は、念仏を唱えながら踊る日本の伝統芸能で、さまざまな様式で全国に分布している。踊り手と歌い手が分かれているものと、自ら念仏を唱えながら踊るものがあり、後者は踊念仏とも言う。

歴史の古い神戸のお祭りなので、どんな内容なのか、ぜひ見てみてください!

『かねたたき』は、その年の豊作を願い、旧暦の8月13日の夜に集落内を回って、日本最古の厄除の霊地と言われる「多井畑厄除八幡宮」に、長さ4mほどの棒の上部に紙を貼り合わせたカラフルな箱状の「行燈(あんどん)」を奉納する伝統行事です。

その年の神事の当番を担う人の家に集まってからスタート。3人ほどで支えた行燈(あんどん)を先頭に、多井畑厄除八幡宮に向かいます。

ちなみに、行燈(あんどん)の大きい箱状になった4面には、「今月今日(こんげつこんにち・実に重みのある大切な日)」「若中(村の若者たち)」「御神燈(ごしんとう・神前に供えるあかり)」「五穀成就」と書かれています。

小学2年生から中学2年生まで、約60人ほどが参加。大きい子は太鼓をたたき、小さい子はかねをカンカンと鳴らし、古くから伝わる唄をうたいながら、列をなして歩きます。

子どもたちが着ているのは、代々受け継がれてきた「カスリ」という着物。白い手ぬぐいを頭に巻き、白い足袋と草履を履いて行進するので、本格的な伝統行事を体験できますよ。

子どもたちは1週間前から集まって、唄や、太鼓・かねの鳴らし方などを練習したんだとか。唄は20~30曲ほどあり、昔の言葉ということもあって覚えるのも大変なんだそうです。

多井畑かねたたき保存会をはじめとする地域の皆さんに守られながら、子どもたちに大事に引き継がれているお祭りなのがわかりますね。

多井畑厄除八幡宮に到着!それぞれもとの順番に並び直して、体制を整えます。

周りには、『かねたたき』を見に来た人でいっぱいに。子どもたちの姿や、あまり見る機会のない「行燈(あんどん)」を思い思いに写真におさめていました。

準備が整ったら、再スタート。道中と同じように、唄をうたいながら、太鼓やかねを鳴らして、ゆっくりと多井畑厄除八幡宮の本殿へと100段ちかくある階段を登っていきます。

地元の人たちに長く愛されているお祭りだからこそ、家族だけでなく、近所の人も一目見ようと外に出てきていて、階段の端にもズラッと並ぶほど多くの人で賑わっていました。

本殿の前に到着すると、行燈(あんどん)を中心に円を作って、ゆっくりとぐるぐると回ります。続々と子どもたちが登ってきて、だんだんと大きな輪っかに。

子どもたちがうたう唄、太鼓とかねの音、行燈(あんどん)を地面に突く音、そして多井畑厄除八幡宮があわさって、一気にお祭りの雰囲気になってきます。

とくに、力強い太鼓の「ドンドン」という音が響いていて、マイクを持った数人の子どもと一緒に、子どもたち全員が揃って大きな声で唄をうたい、力をあわせて作り上げていました。

2,3周ほど回ったあと、行燈(あんどん)を奉納して、終了。最後に、集合写真を撮って、子どもたちは折り詰め弁当と参加賞をもらいました。

いかがでしたか?神戸市の無形民俗文化財にも指定されている伝統行事『かねたたき』に行ってみました!

『かねたたき』の発祥は定かではありませんが、江戸末期には行われていた記録が残っていて、とても長い間大事にされてきたお祭りなんだそうですよ。

もともとは、多井畑厄除八幡宮ちかくの地域に住み信仰する氏子男児(8歳から15歳)が参加するお祭りでしたが、15年ほど前から周辺の新興住宅地の子どもたちも参加できるように。女の子も一緒にできるようになって、時代にあわせて少しずつ変化しながら続いています。

神戸市の公式YouTubeには、6年前に撮影された『かねたたき』の動画も。雨の日なので少し違う部分もありますが、より雰囲気が感じられると思うので、ぜひ見てみてくださいね。

ちなみに、今回『かねたたき』が行われた多井畑厄除八幡宮では、8月末に「竹あかりアートプロジェクト」というイベントも開催。多井畑西地区の竹を活用したライトアップイベントで、こちらも地元の人たちが多く参加していましたよ。

【動画あり】2日間で約3,000人が来場!『竹あかり』を使った神戸の「ライトアップイベント」に行ってきた ~多井畑厄除八幡宮~

2024年8月29日

多井畑西地区の竹を活用して「竹あかり」を作るワークショップイベントは10月にも開催されるので、気になる人は特設サイトをチェックしてみてください。

第3回 KOBE AUTUMN FESTIVAL
【日時】2024年10月26日(土)
【場所】新港第二突堤北道路(神戸市中央区新港町7)

◆関連リンク
須磨・垂水の自然豊かな都市型里山『多井畑西地区』 – 特設サイト
多井畑厄除八幡宮 – 公式サイト

 

この記事を書いた人

ゆう

神戸で生まれ育った神戸っ子。趣味は、自然に癒やされながらの散歩とサイクリング。プリンが大好物のよく笑う人です。

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