オミクロン株から考える、感染拡大への処方箋  南 辰也

ライター:ゲストオーサー

オミクロン株の流行で、コロナウイルス感染症の蔓延がまた始まりそうな予感がしていますね。出口の見えない状況がつづいている世の中で、さまざまな対策がなされていますが、万策尽きている感じと劇的な解決法はなく、もはや何が正解かもわからなくなってきました。

オミクロン株についても、重症化率や警戒度合いの高さなど、いろいろと議論が尽きていませんが、今回は、オミクロン株についてこのまま拡がってしまうとどうなっていくのかをいろんな視点でおりまぜながら記述していきたいと思います。

オミクロン株は正しくは、SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統という、いわゆる新型コロナウイルスの新しい変異株となります。アルファ株(従来の新型コロナウイルス)と比較して、潜伏期間が短いとされています。感染してから95%の人と、99%の人が発症するまでの日数は、アルファ株でそれぞれ8.7日、11.9日、オミクロン株ではそれぞれ7.1日、9.7日と統計的に結果が出ています。

潜伏期間が短いということは、発症までにいたるウイルス増加のペースが速く、専門家の中にはデルタ株までのコロナと名前は一緒でも、オミクロン株は別物だと考える方が良いという方もいます。

悲観的な見方をすれば、感染拡大の威力がすさまじいと言えますが、少し楽観的な見方をすれば、それだけ感染力が強い一方で、重症化率はそれほど高くないということにも目を向ける必要があります。

例えば、南アフリカ共和国におけるオミクロン株感染による入院患者の解析を行った研究では、オミクロン株による感染蔓延は、これまでと比べて、重症化は少なく、また入院期間は短く、致死率は低いといった状況でした。また、日本においても最初に感染拡大が起こった沖縄についても、2021年12月の1ヶ月間で死亡者はいないといった状況になっています。

 

 

これをどう捉えるかが非常に重要であると私は考えます。世論の中でも、立場によってとるポジションは変わっています。

例えば、経済と医療の両立という問題では、飲食や演芸などの事業者の中には、「また自粛か、割を食うのは我々・・・」や、「もうこれ以上経済を止めないでくれ」というような意見を言われる方もいる一方で、「医療ひっ迫が進んでいる。これ以上感染拡大が拡がると危険」や「若者が出歩くことで感染が拡大しているから自粛をすべき」といった、それぞれの立場からもがき苦しんでいる、両極様々な意見をメディアやSNSで拝見します。

それだけ国民が関心を持っていながらも、水際作戦と言いつつ、海外から流入のオミクロン株が万策尽きたように拡がっている現状をどう捉えるのが良いのかを考察してみます。

これらの問題への処方箋として、「情報を正しく理解するリテラシーをもつ」ことを最前面に押し出したいです。専門家の中でも、あえて端的な言い方をすると、「危険か危険でないか」の議論が分かれているので、コロナ問題への明確で正確な答えを出すのは無理です。

そうではなく、自分がどうするかを自分自身の責任を持って判断することが非常に重要になります。医学的には少ないながらも各データから考えると、どうもデルタ株以前と比べると、オミクロン株は、感染力が強いものの、重症化率は非常に低いというのが事実として浮かび上がってきます。

特に基礎疾患がなかったり若年層の感染だったりすると、本当に軽症で中には無症状で済む方もいます。

だからといって、オミクロン株が全くもって危険ではないという訳ではありません。

基礎疾患のある方や高齢者にとってはオミクロン株の感染も致死的になるリスクはあります。でも、よくよく考えたら、インフルエンザだってそうです。

もちろん例外はありますが、一般的にはインフルエンザも高熱がでても、4,5日ゆっくり休んでいれば若年層であれば亡くなることはまずないですし、社会人の中には平気で仕事をこなす人もいました。

 

 

しかし、高齢者の中には、インフルエンザの感染で残念ながら命を落とされたという方は実はかなりの数で存在します。オミクロン株の場合はどうでしょうか。

感染症としてはインフルエンザと同レベル以下であるという意見もあります。もし、感染による影響がインフルエンザと同程度だとすれば、オミクロン株の感染拡大とともに、オミクロン株そのものの影響よりは、それに付随する過剰な行動または行動抑制が別の悪影響を及ぼし、その影響度合いが非常に高いことが一番懸念されます。

そもそも我々は、コロナウイルス感染症が蔓延する前には、実は感染症とうまく付き合ってきていました。

それは「インフルエンザ」というものへのリテラシーが高かったからではないでしょうか。「新型コロナ」に関してもしっかりと知識を身に着け、その情報を「どうやって自分の生活に活用するか」を自問自答することが、唯一の処方箋だと思います。

メディアやSNSがこれだけ発展したため、いろんな意見が耳に届きます。もちろん、意見交換は重要ですが、自分の意見と違うものを真っ向から否定するのもフェアではありません。

情報は同じなのに、なぜ受け取り手の考えが違うのか、相手の立場から一考してみると、また自分自身の情報の取り方も変わり、よりよい生活につながるのではないでしょうか。

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医療法人社団澪標会 理事長/しおかぜメモリークリニック 診療部長。淡路島に生まれ、幼少から神戸のまちに羨望のまなざしを向けつづけ、晴れて神戸で医師として診療に従事することに。臨床の傍ら、医療の正しい理解をモットーに発信を続けてます。

 
ゲストオーサー
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