ミニシアター『パルシネマしんこうえん』を完全レクチャー!神戸唯一の「名画座」ってどんなところ?

最近「映画」観ましたか?

映画を見るとなったら、最新作を大きな映画館に見に行くか、見たいものをサブスクで探すか…

そんな人が多いかと思われますが、みなさん『ミニシアター』って知っていますか?

「映画の街」と言われることもある神戸には、実はこじんまりとしたミニシアターがたくさんあるんです。

「聞いたことはあるけど、行ったことはない」
「どんなところか分からないし、使い方もよく分からない…」

そんな声に応えるべく、今回は兵庫区・湊川にある映画館『パルシネマしんこうえん』をピックアップ!

なかなか出会えない「名画座」の楽しみ方を完全レクチャーします。

Index
・ミニシアターとは
・神戸のミニシアター

・パルシネマしんこうえんって?
・利用方法&楽しみ方をご紹介!
・まとめ

ミニシアターとは

そもそも『ミニシアター』って聞いたことはありますか?

「小さい映画館なんだろうな」という想像はつきますが、やはり数が少ないだけに知らない人も多いんじゃないでしょうか。

大辞泉によると、ミニシアターは次のように定義されています。

独自に選んだ映画を上映する映画館。規模が小さく、座席数300以下のものをいう場合が多い。単館劇場。デジタル大辞泉より)

厳密に「これはミニシアター/これはミニシアターじゃない」と分類できるものではないのですが、スクリーン数が少なく、規模の小さい映画館を指すようですね。

「単館系映画」とも呼ばれるちょっとマイナーな作品や、ロードショーが終了した旧作映画を上映することも多いみたいです。

対してショッピングモールに入っているような、スクリーンがいくつもある大型の映画館は「シネマコンプレックス」、通称「シネコン」と呼ばれています。

複合映画館。一つの建物に映画館が複数併設されているもので、客の嗜好(しこう)にきめ細かく対応できるなどの利点がある。欧米に多くみられたが、日本にも平成5年(1993)に導入されて以降、数が増えている。シネコン。シネプレックス。デジタル大辞泉より)

映画館によって特色はありますが、ざっくり「規模感」と「作品のテイスト」が異なるようですね。

神戸のミニシアター

シネコンの台頭・レンタルビデオやDVDなどの普及によって、全国的にミニシアターは減少の一途を辿っています。

でも神戸では、ミニシアターは意外と身近な存在だということを知っていますか?

現在、神戸市内には「合計10館」の映画館があります。

そのうち、シネコンは[kino cinéma 神戸国際/OSシネマズミント神戸/109シネマズHAT神戸/OSシネマズ神戸ハーバーランド]の4館。

一方でミニシアター(ここでは3スクリーン以下をミニシアターとしています)は[シネ・リーブル神戸/元町映画館/パルシネマしんこうえん/Cinema KOBE/神戸映画資料館/カナートホール]の6館。

映画館の数でいうと、なんとシネコンよりもミニシアターの方がたくさんあるんです。

なお神戸アートビレッジセンター(KAVC)の「KAVCシネマ」は、2022年3月をもって映像事業を終了しています。

なぜ神戸にはたくさんのミニシアターがあるんでしょうか。そこには、古くからの神戸と映画の関係が影響しているかもしれません。

実は、日本で最初に映画が上陸した街は神戸だという説があるんです。

「日本初の活動写真」が神戸で一般公開されたとして、神戸市は次のように紹介しています。

神戸と映画のかかわりは、明治29(1896)年11月25日に、日本初の活動写真(キネトスコープ)が花隈の神港倶楽部で一般公開されたことに始まります。

キネトスコープは、スクリーンに映像を投影するものではなく、箱の中のフイルムをのぞき窓から見るものでした。

昭和31年(1956)に制定された映画の日(12月1日)は、神港倶楽部での公開が12月1日までだったことにちなんでいます。

「映画の日」の由来が神戸だ、というのは驚きですね。

そんな結びつきもあってか、他の街と比べて小規模な映画館がたくさんある神戸。

その中で今回は、兵庫区・湊川にある神戸市内唯一の完全な名画座『パルシネマしんこうえん』をご紹介します!

パルシネマしんこうえんって?

『パルシネマしんこうえん』は、昭和46(1971)年に開館した「名画座」です。名画座、という響きに懐かしさを覚える人もいるんじゃないでしょうか。

ロードショー終了作品から厳選された映画が、昔ながらの「二本立て」で上映されています。

「二本立て上映」とは、1スクリーンで2つの作品を交互に上映するスタイルのこと。

こんな感じで、「作品A」と「作品B」を交互に、1日「4~5回」の上映があります。

シネコンでは当たり前の「入替え」というシステムがないので、1回分の料金で映画を「2本」見ることができるんです。

途中、休憩時間に外出することもできるので[映画 → ごはん → 映画]というゆったりした過ごし方もできちゃいます。

「ミナエン商店街」という、湊川公園の下にあるこれまたレトロな商店街の一角にある「パルシネマしんこうえん」。

先ほど『神戸市内唯一の完全な名画座』とご紹介しましたが、常設の映画館のなかで

①旧作映画のみ ※基本的にロードショー作品(新作映画)は上映しない
②2本立て・入替えなし ※一部例外あり

という「古き良き名画座」のスタイルを残しているのは「ここだけ」なんです。

一見ちょっと入りにくい?でも一度行ってしまえば「ゆるっと」「ラフに」映画を楽しめる穴場スポットなんですよ。

利用方法&楽しみ方をご紹介!

「二本立て」「入替えなし」「外出可能」という、今ではあまり出会えない上映スタイルの『パルシネマしんこうえん』。

ここからは利用方法&楽しみ方をご紹介します!

せっかく『パルシネマしんこうえん』に来たなら、絶対に2本とも観るのがおすすめ。

今回は、【①午前中の回を鑑賞 → ②③上映中に外出→ ④夕方の回を鑑賞】というスケジュールでいきたいと思います。

まずは、こちらの券売機でチケットを購入。

一般 1300円と、映画2本分としてはかなりおトク

学生なら1000円以下で1日映画館に浸れちゃいます。

スタッフの方にチケットを渡して、上映スケジュールなどの紙をもらいます。

こじんまりとした受付カウンターも、なんだか安心感がありますね。

階段を降りて、シアターに向かいます。

シネコンに慣れていたら、受付からシアターまでの距離の近さにびっくりしてしまうかもしれません。

上映中は、階段下のロビーで座って待っている人もちらほら。

上映開始の直前にふらりと立ち寄るのももちろんOKです。

シアターに入るとこんな感じ。客席は135席あり、結構ゆったりしています。

座席は自由席なので、好きな場所に座りたい場合は上映前に早めの時間に行くのがいいのかもしれません。

平日の昼間は比較的、年配の方が多いそうです。休日は学生や若いカップルなど、年齢層が少し下がるんだとか。

熱心なファンが集う!というよりも、喫茶店のような感覚で訪れている人が多いような気がしました。

ローカルな施設にありがちな「新参者の居心地の悪さ」みたいなものは全く感じないのでご安心ください。

クッションや座布団のサービスなんかもあります。

ブランケットはよく見かけますが、ここまでリラックスできるのはミニシアターならでは。

座席を決めて、飲み物を準備して(上映中は飲み物のみ可)、居心地を整えて、さぁ準備は完璧です。

今回の1本目の映画は「流浪の月」。

1本目を観終わりました。ここから次の上映までには10~20分の休憩があります。

飲み物を買う人や、持参した昼食を館内で食べる人も。

このまま2本目を見るのもいいですが、今回はお昼ごはんがてら、いったん外出します。

受付で【名前/戻る時間】を伝えて、「外出札」をもらいます。

外出は当日のみ可で、戻ってきたら外出札を返却するという流れです。

湊川商店街がすぐ先にあるので、お昼ごはんスポットには困りませんよ。

のんびりと昼ごはん・お買い物を楽しんだら、さっそく「パルシネマしんこうえん」に戻ります。

2本目を見終えたらちょうど晩ご飯ぐらいの時間になるので、たっぷり丸1日楽しめるのがいいですね。

今回の2本目は、フランス映画「メイド・イン・バングラデシュ」でした。

上映される映画は大体週替わりになっています。

予定表を見て目当ての作品を見に行くもよし、ふらりと訪れて知らない作品との出会いを楽しむもよし。

上映作品は支配人がセレクトしているそうで、共通のテーマがあるとき、長編と短編の組み合わせのときなど…

「”2本立てで映画を見ること”の面白さを若い人にも知ってほしい」と支配人は言います。

1度訪れただけだと「映画を2本見たなぁ」と思うだけかもしれませんが、回数を重ねるごとに「2本立て」の魅力にハマっていくそうです。

シネコンやサブスクではなかなかできない体験なんじゃないでしょうか。

ちなみに「パルシネマしんこうえん」では、希望するとなんと『映写室』を見学できるんです。

「上映中」に案内してもらえるので、1つ目の作品を鑑賞 → 休憩中にスタッフの方に声をかける → 2本目の上映中に見学、という流れがおすすめ。

現在は「デジタル映写機」での上映が主流だそうですが、運が良ければ昔ながらの「35mmフィルム映写機」が回っている様子を見ることができるかもしれませんよ。

気になる人は、どの映画がフィルム上映なのかを事前に聞いておくといいそうです。

取材時は「デジタル映写機」が稼働していました。

ぼんやりと映像が映っているところの先に、映画館のスクリーンがあります。

映画館の要と言える映写室。関西はもちろん、全国的にも映写室の見学ができるところはかなり少ないみたいですよ。

まとめ

今回は、神戸のミニシアターのなかでも『パルシネマしんこうえん』をご紹介しました。

シネコンが多くなっている今、「二本立て」「入替えなし」「外出可能」という『名画座』は貴重な存在なんじゃないでしょうか。

「逆に新鮮!」という世代もいれば、「今もこんな昔ながらの名画座が残っているのか!」と驚く世代もいると思います。

ちなみにパルシネマしんこうえんでは現在、開館50周年を記念して『パルシネマ映画祭』が開催中です。

いつもより盛りだくさんのラインナップで、期間中はイベントも開催されます。会期は11月16日(水)まで。

これをきっかけに、いつもとは違う映画体験をしにいきませんか?

【スポット名】パルシネマしんこうえん
【ジャンル】映画館
【料金】一般 1300円/シニア(60歳以上)1100円/大学・専門学生 900円/小中高生 800円(その他割引などは公式サイトから)
【住所】神戸市兵庫区新開地1-4-3
【電話番号】078-575-7879
【定休日】なし
【リンク】公式サイト / Instagram / Facebook / Twitter
【駐車場】なし
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この記事を書いた人

ふうか

基本どこへ行くのも徒歩で移動します。

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1 個のコメントコメントを残す
  • 匿名さん

    この映画館の上に遊園地があったなんて知らないでしょうね(笑 射的やミニレールがありました。観覧車はなかったです。

    2022年11月10日4:17 AM 返信する