街から近い里山「神戸市北区」で、のんびりドライブ旅はいかが?  Feel KOBE

神戸と聞けば、ポートタワーのある港や旧居留地の街並み、夜景を思い浮かべる人も多いはず。一方で中心部の三ノ宮から車で30分も走れば、茅葺き屋根の古民家のある里山が広がる……神戸にはそんな一面もあります。

神戸市の実に44%の面積を占める自然豊かな「北区」。連休が続くこれからの季節、都会のすぐ近くにある里山へドライブ旅に出かけませんか。ご家族みんなで楽しめるコースをご紹介します。

時間がゆっくり流れているような、茅葺き屋根のベーグル屋さん「はなとね」

屋根は2、3年のうちに総葺き替えの予定で「その様子も見てもらえたら」と。メンテナンスには地域に頼もしい茅葺き職人さんの存在が

茅葺き屋根の古民家で、材料にこだわったベーグルを作られている「はなとね」さん。週に3日、木・金・土のみ営業されています。

オープン時には定番ベーグル8種、季節のベーグル約10種とスチームベーグル3種が並びます

お子さんを自然豊かな土地で育てたいと、お店も兼ねた築260年を超える古民家に西宮から移住されたご一家。以前から米粉と豆乳をメインに、卵と牛乳を使用しない蒸したスチームベーグルを作られていました。淡河では写真の小麦粉で作ったベーグルも販売され、こちらも卵と牛乳は不使用です。

米粉は淡河産を使い、夏には前の畑で採れたトマトや大葉も。他の材料もしっかり選んだものだけを使って「大切な人に毎日でも食べて欲しい」という想いで、素材の味を生かしたベーグルを作られています。

営業日以外は里山暮らしを満喫されていると思いきや、ご主人は夕方4時から翌朝の10時までお一人でベーグルを焼かれ、それを週に何日もこなされています。人気のベーグル店を支えるスケジュールはなかなかハードですが、それが職人気質であるご主人のお仕事スタイルとのこと。珈琲もご自身で豆から焙煎するこだわりです。

手前は蒸したスチームベーグル。チョコ&チョコ・抹茶・黒糖きなこ

いろんな具材を挟んだベーグルサンドも!どれにしようか迷ってしまう

人気の「車麩のベーグルサンド」はイートイン限定

中の車麩にコク深い自家製和風だしがジュワッとしゅんでいて、たまりません。ザクっとした食感と、ベーグルのモチモチを思い切り頬張る幸せ。おだしのコクの秘密は、国産のニンニクとショウガなのだそう。

「──雨が降る前には鳥が森に帰っていくんです。だから『もうすぐ雨降るな』とか、虫もいるけど草の匂いにホッとするし、冬はめちゃくちゃ寒いけど、そのぶん春が嬉しく感じる。夏はカエルが鳴いて。。。気づいたら自然と共生しながら暮らしてますね。ほんとに、ここはいい場所ですよ」

春を感じさせる陽気の中、縁側に座り奥さまが話してくださいました。

淡河という土地で優しいベーグルを作り出すご夫婦、敦隆(あつお)さんと紀子さん

そんな淡河へも車だと三ノ宮から30分。ぜひベーグルと一緒に、そこに暮らしている人たちや、ゆったりとした時間が流れている里山も込みで味わってほしい。日本人のDNAが共鳴して、帰るころには何かがリセットされているような……そんな場所でした。

ベーグルはお座敷や縁側、お庭でイートインもできます。ぜひ美味しい珈琲もご一緒に。縁側とお庭はワンちゃんの同伴もOKです。

「行こう!」と決まったら、毎週日曜日の21時から月曜日のお昼12時の間に、こちらのフォームからベーグルを予約しておでかけするのがオススメ。(個数に上限あり)

http://hanatone.jp/reservation/reservation.html

Information

はなとね

住所 神戸市北区淡河町神田143-2
営業曜日 木曜・金曜・土曜 10:00~16:00
駐車場 10台程度あり
公式サイト http://hanatone.jp/index.html

さて美味しいベーグルで幸せになった後は、2020年に完成した「BE KOBE」のモニュメントを、つくはら湖に探しに行きましょう!

「やっと来れた」感が特別。密がない自然の中に身をおいてみよう

そもそもみなさん「BE KOBE」のモニュメントをご存じでしょうか。神戸開港150年を記念して2017年にメリケンパークに設置され、2019年には「ポーアイしおさい公園」に。そして2020年に「つくはら湖」に3つ目が設置されました。

「BE KOBE」という言葉は、2015年の震災20年目のプロジェクトの中で生まれた「神戸の様々な魅力の中で、一番の魅力は人である」という思いが集約された、“シビックプライド・メッセージ”なのだそうです。※シビックプライド:都市に対する誇りや愛着のこと。

インスタ映えするスポットとして観光名所になって、親しんでもらう目的もあるとのこと。なので、まんまと見に行こうではないですか!

思うに、つくはら湖の「BE KOBE」の特別感は、他にはない「BE KOBEに着いた!」と気分がアガることかもしれません……なぜなら他の二箇所と違い、車ですぐ近くまでは行けないからです。

つくはら湖は呑吐ダムの貯水湖で三木市と北区山田町にまたがり位置します。左端の赤マーク「つくはら湖パーキング」からモニュメントまでが徒歩20分

ツーリング途中のライダーで賑わう「つくはら湖パーキング」。こちらにもモニュメントにもトイレはないのでご注意を。自動販売機はこちらにだけありました

パーキングに車を置いて「BE KOBE」まで20分お散歩しました。途中4組ほどの人たちとすれ違って、山登りのようにご挨拶されてホッコリ。そして湖を眺めながら歩くと思ったより早く到着した気がしました。

駐車場を出て左側に歩いていきます。サイクリングロードなので道幅も広く歩きやすい

あっ「BE KOBE」が見えてきました!気分がアガります

到着です!橋の向こう側から歩いてきました。奥に見える高い二本の橋は山陽自動車道

こちらからのアングルもステキです。木製だから風景に溶け込みますね

通りすがりのサイクリストにモデルをお願いしたら、偶然にも地元が近く盛り上がる(笑)。自転車を溝に立てて撮影できます

「BE KOBE」がある「つくはら大橋休憩所」。トイレや自動販売機は設置されていません

そしてちょうど令和4年3月19日から5月29日まで、地図の右端に位置する「つくはらサイクリングターミナル」を拠点に含めた「神出(かんで)山田自転車道シェアサイクル」の試行が実施されます。

これは神戸市が新たに始めた「KOBE Rail&Trail」の取り組みのひとつ。「つくはらサイクリングターミナル」「谷上駅」「栄駅」の三拠点で、レンタルクロスバイクの乗り捨て利用が可能になります。

※クロスバイク:ハンドル部分がまっすぐで、ロードバイクよりも乗りやすく街乗りもできる自転車。クロスバイクのご紹介サイト
https://www.bike-plus.com/beginners/before-buying-bike/crossbike-buying-guide-182.html

「つくはらサイクリングターミナル」は、シェアサイクル実施中の土日祝のみ営業。普段はサイクリストのためにトイレのみ解放しています(令和4年3月現在)

「神出山田自転車道」は、このターミナルのある北区山田町から西区神出町までの19.3kmにおよぶサイクリングロード。つくはら湖周辺はその一部になっているので本格的なサイクリストもよく見かけました。

ターミナルから「BE KOBE」まで自転車なら9分です。この機会にサイクリングもプランに含めてはいかがでしょうか。

シェアサイクルについては神戸市のサイトをご覧ください
https://www.city.kobe.lg.jp/a83166/kandeyamadacycleroad_sharecycle.html

Information

BE KOBEモニュメント

住所 神戸市北区山田町衝原(つくはら大橋休憩所)
アクセス 「つくはら湖パーキング」から徒歩20分。「つくはらサイクリングターミナル」から自転車で9分

古民家や里山をゆったり満喫して、サイクリングやウォーキングで体を動かした後は、美味しいはちみつを使った料理やスイーツを堪能できる、はちみつのテーマパーク的レストランのご紹介です。

みつばちを通して「自然との共生」を考えてみる。神戸養蜂場

みつばちが地球上から姿を消したら、人類は4年間しか生存できない──そんな話を聞いたことはありませんか。

蜂は近年世界中で激減していて、保護対策が強化されないと、約2万種もある植物種が、これからの数十年で地上から消えてしまう話もあるそうです。それはみつばちによって花粉が媒介されているからで、それほど私たち人間にとってもみつばちは大切な存在なのですね。

神戸養蜂場には、養蜂やみつばちの環境について学ぶコーナーがあり、近隣の小学校が課外授業で訪れるスポットにもなっています。そしてレストランでは、はちみつを使ったお料理やスイーツを楽しむことができます。ランチどきに伺ってみました。

ランチはパスタかピッツァ(料理長さんはピザではなくピッツァとおっしゃる!)、または一品料理を選び、サラダ・スープ・カレー・パンなどはビュッフェ形式になります。私はマルゲリータのセットにプラス220円で、ガトーショコラも追加してみました。ピッツァはトマトソースが美味しくて一枚をペロリ。モーニングとディナーは、土日祝のみの営業になります。

ドリンクは青い蜂をイメージした「ブルービーレモネード」。手前のレモンのはちみつコンポートを入れると色が変化する仕掛けが。1,628円(デザート含まず)

料理長曰く、一番人気のピッツァはオープン以来ダントツで、クワトロフォルマッジとのこと。プロがチョイスした、チーズに合うはちみつを食べる直前にかけるピッツァですか……次回はソレと心に決めました!

みつばち食パンに百花蜜、はちみつバターを堪能  ハニートースト 825円

はちみつが入ったレアチーズケーキ。パッションフルーツのソースがアクセント 500円

スーパーフードとしても人気のコムハニー(巣蜜)をクロワッサンにサンド  715円

レジを挟んで向こう側にショップや展示物コーナーがあります

一番人気のはちみつ、オリジナルブレンド蜜の「華甘露」

パンの一番人気「みつばち食パン」。焼かずにそのまま、もオススメとのこと

不動の人気「はちみつバター」
厳選された非加熱はちみつを中心に、兵庫県産や他県産、外国産など種類も豊富です

スタッフの方の説明を聞きながら試食して、好みのはちみつを選ぶのも楽しい。それぞれ全く味が違っていて驚きました

みつばちを知ってもらうパネルは啓蒙活動のひとつ。蜂の書籍コーナーもありました

地元神戸とコラボの地名の入った「LIFE STYLE HERB TEA」。お茶に合うはちみつとセットになっていてお土産にもグッド

みつばちが一生で集める蜜は、わずかティースプーン一杯なのだそう。

「その自然の恵みをいただいていることや、みつばちたちの貢献、未来にはちみつを残す取り組みなど、お食事の合間に少し想いを馳せてもらえたら」と支配人さんは話します。地元の契約農家さんの野菜を使ったり、フードロスなど環境への配慮といった社会的な活動にも注目してみてください。

テラススペースは、店内が混みあう時に利用される方も多いとのこと

テラス席ではピッツァやナポリタン、オムライス、ドリンクがいただけます。3月下旬から10月は屋外のバーベキュー場がオープン予定(状況により開催時期は変更有り)。どちらもワンちゃんの同伴OKです。

Information

神戸養蜂場

住所 神戸市北区山田町小部ヲモ谷1-1
アクセス 神戸電鉄鈴蘭台駅よりバスで10分「水源池前」(阪急バス)・「水源地」(神姫バス)下車すぐ
駐車場 96台
TEL 078-592-7007
営業時間 平日10:30~18:00(平日はモーニングとディナー営業はなし)
     ランチ11:00~14:30(L.O)
     カフェ14:00~17:00(L.O)
     SHOP 10:30~18:00
     土日祝 8:00~21:00
     モーニング 8:00~10:00(L.O)
     ランチ 11:00~14:30(L.O)
     カフェ 14:00~16:30(L.O)
     ディナー 17:00~20:00(L.O)
     SHOP 8:00~21:00
定休日 水曜日
公式サイト https://kobe38honey.com/

【文】うえのゆうこ
神戸市在住の取材・インタビューライター
神戸のタウン情報誌取材記者。好奇心旺盛、心のままに自分の視点で言葉を紡ぎます。趣味のソフトバレーボールのポジションはアタッカー。最近キックボクシングジムに通い始め「強くなりたい」と密かに思う。プリンと大野智が好き。

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