市長は反対してるけど、結局、神戸の小中学校では『組体操』をしてるのかしてないのか。今秋は92校が実施予定

最近とても気になっている『組体操』。

神戸市でも、やるやらないの議論がありまして、やらない派の神戸市長は、8月、教育長に「組体操の実施見合わせ」の要請をしたりしています。

教育委員会は、「教育の安定性の確保」などの観点から首長からは独立した組織と位置付けられていますので、神戸市長からお願いベースということになります。

実際は、今秋も92校(55%)で組体操が行われ、年度を通した実施率は62%となり、減少傾向にありますが半数以上で「組体操」が行われているという状況です。

今年度の実施状況
【小学校】163校中123校 → 実施率75%
【中学校】82校中28校 → 実施率34%
【合計】245校中151校 → 実施率62%

事故が発生している状況で「安全でない」ということが議論のスタートで、組体操の中でも、「タワー(左)」「ピラミッド(右)」という組体操が議論の中心です。ただ、他の技でも事後は起きているそうです。

やるやらないの話を整理すると以下のようになるんじゃないでしょうか。

組体操を「やめる」派の見解
・死亡事故や後遺症が残る事例があるので、リスクが大きい。
・学校行事として強制的に参加を求められるが、リスクが大きい。
・教育効果が薄い。

体を動かす行為自体、リスクはゼロにはならない訳で、そういった意味で、野球やサッカーなど体育会系のクラブ活動でも一定の事故があります。

一方で、クラブ活動ではなく強制参加の学校行事として、体育会系のクラブ活動と同様のリスクを負うことが適切かどうかという「やめる派」の主張は重要な論点かと思います。

練習過程などの計画段階においても、携わる教員の心理的負担や訴訟リスクなど、子どもも教員も疲弊するという理論も一定当てはまるような気もします。

組体操を「やる」派の見解
・練習過程も含めて、チームワークが生まれ、教育効果が高い。
・適切な安全への配慮を行った上で、組体操自体が否定されるものではない。
・タワー、ピラミッドなどは、段数や高さ制限などをすれば、十分に安全が確保できる。

すべてのリスクを排除することはできませんが、過保護になってすべてやめるべきというのは、子どもの成長にとってマイナスだという見解かと思われます。

車の運転も事故がありますが、安全対策は常に行うのであって、車社会自体が否定されることはありません。先程のクラブ活動も同様でしょう。

先ほどもありましたが、義務教育の強制参加の行事という中において、リスクが相応かどうかというのは重要な論点になると思われます。


つまり、どちらも正しい事を言っているように思いますし、現状の実施率が半数程度ですので、それぞれの学校でも「やる」「やらない」の議論は活発なんだろうなという気がします。

神戸で組体操を実施している学校も、高さ制限を行い、十分な安全対策を行った上で実施しているという状況だと思います。

少なくとも、子どもやその保護者、教員、学校運営に関わる地域の人など、子どもの教育に関わるすべての人が十分に議論することが重要なんじゃないかな。

教育ってつまり何なのか。難しいテーマですね。

 

この記事を書いた人

カズマ

神戸ジャーナル 編集長

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