博物館で神戸開港の歴史を学んでみる  Feel KOBE

1868年1月1日の正午、イギリスの戦艦「ロドニー号」をはじめとする英米の艦隊18隻から一斉に祝砲が撃たれ、神戸港は華々しく開港しました。その後、神戸に多くの外国人が訪れ、諸外国の文化を取り入れた生活様式へ。そんな神戸の街は港を中心に、どのように発展してきたのでしょうか。

スムーズにはいかなかった開港

開港神戸之図 慶応4年(1868)頃 神戸市立博物館蔵

江戸時代、長く海外との貿易は制限されてきました。ところが、1853年(嘉永6年)の黒船来航で日本は開国を迫られ、1858年(安政5年)の日米修好通商条約により開港が決定。函館や横浜、長崎、新潟とともに兵庫は開港場に選ばれ、海外との貿易拠点として開港することになりました。

「天保山魯船図」(複製)大阪湾に来航したロシア軍艦ディアナ号を描いた図(神戸市立博物館展示より)

しかし、兵庫が実際に開港したのは、それから9年後の1868年1月1日(慶応3年12月7日)のこと。攘夷運動や朝廷の猛反対があり、幕府は開港の延期を申し出るため文久遣欧使節団をヨーロッパへ派遣したという記録が残っています。この使節団の交渉により、1863年に予定していた開港は5年延期。朝廷がある京都に近い兵庫港は、横浜や長崎よりも遅れて開港することになったのです。

神戸港は国際貿易港として発展し、1893年(明治26年)には輸入額が全国第1位の港に成長しました。

神戸が港町として栄えた理由

開港以前と開港後の神戸港(神戸海洋博物館展示より)

古来、神戸は海上交通の拠点として栄えてきました。神戸が港町として栄えた理由は、いくつかあります。北の六甲山、南の和田岬が北風や偏西風をさえぎり、穏やかな海をつくり出していたこと。湾岸線の水深が深く、潮の干満の差が少ないなど、神戸の港は船を停泊させるのに適した条件を持っていたことが理由のひとつともいわれています。

また、都があった京都や商業の中心地である大阪に近く、古くから朝鮮半島や大陸との交易拠点として重宝されてきました。このように、神戸の地形や気候、立地などの良港条件が整っていたことが大きかったのでしょう。

開港後の神戸の人々の暮らし

開港によって西洋文化を取り入れた生活へと変化(神戸市立博物館展示より)

開港後、外国の文化が流入してきた神戸の人々の生活様式も変化していきます。外国人居留地には洋風の商館や住居が建てられ、兵庫県会議事堂や神戸市役所なども西洋風の建物に。女性の洋装化が一般に普及し始めたのは大正時代に入ってからですが、男性は開港後に政府官員などから洋装と靴の着用が広がり、西洋化が進んでいきました。

昭和時代初期の神戸外国人居留地(神戸市立博物館展示より)

異文化が取り入れられるようになった神戸の街には、いまも至るところにその面影が残っています。旧居留地のレトロ建築や洋食の定食屋、中華街、ジャズ喫茶……。神戸開港の歴史を詳しく知れば、神戸の街歩きをまた違った角度から楽しめるでしょう。

開港の歴史を学べるスポット

神戸開港の歴史をもっと学びたい!と思ったら、ぜひ足を運んでみてほしいのが「神戸海洋博物館」と「神戸市立博物館」です。

神戸海洋博物館

まず紹介する「神戸海洋博物館」は、神戸の人気観光エリアであるメリケンパークにある博物館。2020年(令和2年)にリニューアルオープンした同館では、神戸開港の歴史はもちろん、船の仕組みや神戸港の役割、そこで働く人々の様子についても学ぶことができます。

エントランスホールでは神戸開港150年のあゆみを感じる映像を上映

「神戸港 あゆみとはたらき」エリアでは、神戸港の歴史を年代別に紹介。戦争や大水害、阪神・淡路大震災などを乗り越えてきた港や神戸の街の様子が写真や模型、映像を通して詳しく解説されています。

神戸港の歴史がよく分かる「神戸ポートヒストリー」

2本のレバーでクレーンを操作するゲームを通してガントリークレーンオペレーターの仕事が学べる

航海士の仕事体験ができる「神戸港操船シミュレーター」

そのほか、神戸港に入港するクルーズ客船やコンテナ船、神戸港と世界を結ぶ航路網を紹介する体験型展示もあります。

Information

神戸海洋博物館情報

住所 神戸市中央区波止場町2-2(メリケンパーク内)
アクセス シティ・ループバス「メリケンパーク」・ポートループ「ポートタワー前」より徒歩3分、神戸市営地下鉄 湾岸線「みなと元町駅」より徒歩10分、JR・阪神「元町駅」より徒歩15分
TEL 078-327-8983
営業時間 10:00〜18:00(最終入館は17:30まで)
定休日 月曜日(祝日の場合は営業、翌平日休館)、年末年始
入館料 大人900円、小人(小・中・高)400円 ※併設するカワサキワールドにも入館できます
公式サイト https://kobe-maritime-museum.com/

神戸市立博物館

続いて、紹介するのは各線三宮駅・元町駅より徒歩10分のところにある「神戸市立博物館」。館内には無料で見学できる「神戸の歴史展示室」があり、神戸港の歴史や、開港後の神戸の人々の生活について学ぶことができます。

「神戸の歴史展示室」では、年代別に4つのテーマをピックアップしています。開港の歴史について学ぶなら、「大輪田泊から兵庫津へ」「兵庫津の繁栄」「開港 世界との交わり」のコーナーへ。当時の文献史料や絵図を通して、兵庫や神戸が港を中心にどのように栄えてきたのかを詳しく紹介しています。

開港地の神戸へやってきた西洋人が競馬に興じている様子を描いた「摂州神戸西洋人馬颿之図 」

明治時代と昭和時代の旧外国人居留地を再現したジオラマ模型

西洋の技術を研究して開発された国産第一号のパーマネント機も

そのほか「神戸開港シアター」待機映像では、昭和時代初期の神戸の写真をまとめた映像も放映されています。

Information

神戸市立博物館情報

住所 神戸市中央区京町24番地
アクセス 地下鉄海岸線「旧居留地・大丸前」駅より徒歩8分、各線三宮駅・元町駅より徒歩10分
TEL 078-391-0035
開館時間 9:30〜17:30(最終入館は17:00まで)、特別展開催時の金・土は19:30まで開館(最終入館は19:00まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日が休館)※年末年始や整備休館があるため最新情報は公式サイトでご確認ください
入館料 1階「神戸の歴史展示室」は無料、2階「コレクション展示室」一般300円・大学生150円・高校生以下は無料 ※特別展は展覧会により料金が異なります
公式サイト https://www.kobecitymuseum.jp/

今回紹介した2施設は、徒歩15分ほどで行き来できます。天気の良い日は周辺観光を楽しみながら、神戸開港の歴史巡りをしてみてはいかがでしょうか?

神戸公式観光サイト Feel KOBE
神戸の観光スポットやイベント情報、コラム記事など「神戸旅がもっと楽しくなるコンテンツ」を発信しています。

 

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