クルミ割り人形の隣には、ミニチュアの人形が展示されていました。ジオラマは鉱山の様子を表現していて、当時のエルツ地方の雰囲気が伝わってきます。
木のおもちゃは鉱山で働く人々が副業的に作っていたものでしたが、鉱業が衰退すると逆におもちゃづくりが本業になったそうです。
これらのおもちゃには、ろくろを回して木を削る技術が使われているのですが、そのろくろも実は鉱山で使われていた水車がルーツ。全部つながってるんですね。
ジオラマ細かいなーと思っていたら、もっと細かいのがありました。マッチ箱の中で一話完結みたいな人形がいっぱいです。これも単なる「小さいの作れる自慢」ではなく、歴史的な背景があるとのこと。
当時、木のおもちゃを輸出する際にかかる関税は重量で決められていたそうです。となると、軽い方が安くなる。じゃあ、小さい方がいいねということで、どんどん小さくなっていったのだとか。
右のクリスマスピラミッドは、ロウソクの上昇気流で一番上の羽がまわる仕組みになっています。
左のシュヴィップボーゲンは、アーチ型のキャンドル。どちらもクリスマスに飾るためのものですが、温かみがあって和みます。
動物の人形を作る際にも、ろくろの技術が使われていました。後ろにあるバームクーヘンみたいなのがそう。
輪の断面が動物の形をしているのですが、これを金太郎飴的に切り出し、手前に並んでいる馬のように削ったり塗ったりしながら徐々に仕上げていきます。
ちなみにこのバームクーヘン、図面なしで作られてます。技術と経験で作る、驚愕の職人技。その様子はビデオ上映で見ることができるので、こちらもぜひ。
同じフロアには有馬の伝統工芸品も展示されていました。人形筆のお尻から人形が飛び出すからくり細工は、おもちゃに通じるものがあります。
もともと有馬の地は木地師が開いたということもあり、昔から木工が盛んだったそう。温泉とおもちゃがなかなかつながりませんでしたが、やっと腑に落ちました。
階段を降りて5階へ移動すると、「現代のおもちゃ」をテーマにした展示が広がっていました。先ほどと違うのは、触れるおもちゃが多いこと。
上から木のボールを転がして、音や動きを楽しむこのおもちゃ。誰もが一度は遊んだことがあるはずですが、とりあえず一回やってみたくなる。
こんな感じでチビっ子にはたまらない空間になっています。奥にもプレイスペースがあって、パズル系のものや、親子で遊べるおもちゃもあったり。
海外のおもちゃが多いのですが、世界中の子どもたちが同じおもちゃで遊んでいると思うと、不思議な感じもしたりします。
こちらのスペースには乗って遊べる木馬も。奥には木製のキッチンなんかもあって、小さい子どもも遊べるようになっています。どれも木の温かみがあって良い感じ。
ドイツのメーカー『ケーセン』社製のぬいぐるみも並んでいました。目とか毛並みとか、かなりリアル。
窓際の台の上にあるのは金属のボールを落とさずにどこまで運べるかを競うおもちゃ。大人がついムキになってしまう、アカンやつです。
まずは両手で棒を持ち、閉じた状態で一番奥にボールを乗せます。2本の棒を開いたり閉じたりしながらボールを動かすのですが、これが難しい!
一番奥の穴が10点で、手前に向かって点数が上がります。一番手前の200点を出せたら「奇跡」らしいので、チャレンジしてみてはどうでしょうか。
神戸ジャーナル 編集部
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