“アジア”。
それは一言で表わせない奥深さがあります。中国や韓国のように日本と近しいアジアから熱帯雨林気候の東南アジア、パキスタン、スリランカまで…。
それぞれに信じる神がいて、習慣も言葉も食生活も、本当に多種多様。そんなアジアの多民族が入り混じる神戸には未知なる魅力で溢れています。今回は、神戸で出会える個性豊かなアジアングルメをご紹介。
珠玉の美味を求め、いざ神戸旅へ!
平塚小夕里
女性誌、カルチャー誌、ウェブ媒体を中心に執筆、取材コーディネイトを行う。得意分野は人物インタビューに加え、日本の神社旅や茶道をはじめとする伝統文化など。ライフワークは自然観察をしながら世界をめぐること。アラスカ、アリゾナなど訪れた国は数多い。
神戸の中心地からほど近い、六甲山系山麓の高台と自然林から成る“諏訪山公園”。その麓に、地元の人々が朝粥を楽しむ中華粥店「杏杏 諏訪山工房」があるとの噂をキャッチ。
赤と白の2色で構成されたアイコニックなロゴは、創業者自らデザイン
午前9時の開店とともに、カウンター席に腰掛け、定番の朝粥セットを堪能。鶏出汁のしっかり効いたお粥と食後にはたまご饅も。心身に優しく染み渡る美味しさに、癒されます。
朝粥セット ジャスミン茶とともに
たまご饅の優しい甘さにファン続出。手土産にもできます
この店の本店は県庁前の同名店。そこは、華僑2世の女性が日本人夫とともに、幼い頃から親しんだ中華粥の美味を神戸で広げたいとの熱意から開店し、25年目を迎える人気店なんです。その創業一家の長男、遠藤弘基さんが切り盛りするのがこちら、ということで味はお墨付きでした。
“杏杏の朝粥を食べてから、諏訪山へトレッキング”というのが地元の人々の定番コース。フランスの観測隊が金星観測をしたことから名付けられた広場“金星台”が中腹にあり、眼下に神戸の絶景も望めます。その広場は、太極拳に勤しむ中国人グループも集うなど、市民の憩いの場として愛されるスポットにもなっているそう。
広場“金星台”
神戸の絶景
また、店主の遠藤さんはソムリエ・酒ディプロマ取得者。金星台をさらに頂きへ向かえば夜景で有名なヴィーナスブリッジもあり、夜景を堪能した帰り道にも、神戸産ワインや灘の銘酒で一献、なんて楽しみも待っていますよ。アテになりそうなメニューも充実し、もちろんシメには中華粥をどうぞ。
焼売に神戸産の葡萄、シャルドネ種100%で醸された白ワインをペアリング
さて、店を後にしたならば、山の名の由来にもなる諏訪神社にも参拝をしたい。広場とは方向の違うルートでさらに上へと登れば現れる神様。撫でることでご神徳を授かると伝わる玉“なで稲荷”に触れ、旅の無事をお祈りして。
諏訪神社境内には、中国語による古い看板がずらり
本殿から少し下ったところに鎮座するお稲荷様。神前には“なで稲荷”というありがたい玉が
杏杏 諏訪山工房
住所 神戸市中央区諏訪山町1-16
TEL 078-252-1107
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)
公式HP http://www.xingxing.jp
※営業時間はHPで確認を
日本初のイスラム寺院「神戸ムスリムモスク」がインド、タタール、トルコ系の人々の寄進により、1935年に建造。以来、創建当時の美しい姿のままで残されているのも、神戸の見どころの一つなんです。
神戸ムスリムモスク
こうして神戸にはイスラム信仰者も数多く暮らすので、秀逸なハラル(ムスリムの戒律に合わせた食)レストランが集まっているのも特徴。今回は、世界3大炊き込みご飯との一つとして知られる絶品“ビリヤニ”を求め、パキスタン出身のイリヤス・アリさんが営む「アリズハラルキッチン」へと向かいましょう。
モスク前のストリートを東へ10分ほど。パキスタンの美味、本場のビリヤニやトマトとフレッシュ玉ねぎをベースとするパキスタンカレーなどを提供する、ハラルレストランが佇みます。ビリヤニとはカレーに半茹でのお米を入れて作られる手間暇のかかったハレの日の料理。
ランチメニュー ベジタブルビリヤニ。辛さはお好みで調整可能
ベジタブルビリヤニのランチセットに伴う、サモサ。エキゾチックな辛さが魅力のオリジナルソースで
丁寧に煮込まれた絶品、エビカレー。粉と水のみでシンプルに仕上げたローティパラタと共に
“ジュマー”と呼ばれる集団礼拝日である多くムスリムが集まる金曜日には、おかわり自由な特別ランチが用意され、お祈りの後に立ち寄ったであろう、ヒジャーブ(イスラム教独自の女性が顔を覆うスカーフ)をまとったイスラム女性たちが食事をする光景も見られます。
店内には遠いパキスタンを彷彿させる、ある旋律が。アリさんにその旋律について尋ねれば「コーラン(イスラム教の聖典)」であるとのこと。重ねてイスラム教とは?を聞けば粛々と「万物の創造主により創られた教え」と書かれた書をプレゼントしてくれました。
モスク前にはハラル食品店「キタノグロッサリー」もあり、ハラルを始めインドネシアなどのベジタリアン食材などが所狭しと陳列。併せて訪れれば、さらに異国情緒を満喫できそうです。
Ali’s Halal Kitchen
住所 神戸市中央区中山手通1-20-14
TEL 078-891-3322
定休日 不定休
※営業時間は電話で問い合わせを
このコンセプトは良いですね。あちこちグーグルマップに保存しちゃいました。
新長田~駒ヶ林のベトナム料理店・食材店も是非紹介して下さい。
なぜあの辺りに集中しているのかも調べて欲しいです。
神戸で海外旅行、素敵な企画ですね。シリーズ化してほしいです。