本棚に並ぶ『キネマ旬報』は1983年から最近のものまで揃っていて、資料としてのボリュームは相当なもの。
神戸市内に映画館が85もあった時代の分布図。人口がまだ106万人ほどだった時代に、これほど多くの映画需要があったことは驚きです。現在とは区の名前が違いますし、いろんな意味で貴重な資料なんじゃないかと。
入口横のボードにはこれから上映予定の映画のポスターが貼られていました。上映される映画のチョイスには独自性があり、特集やシリーズ物のテーマの設定にもこだわりを感じます。
『神戸映画資料館』の所蔵品はもともと館長の安井喜雄氏が個人的に集めていたものが貴重な資料になったわけですが、数十年前はこうした映像が文化として認知されていなかったんだとか。
しかし、安井館長は資料を差別することなく収集してきたため、普通なら軽視されたり処分されたりするようなものも保存されることになり、それが結果的に貴重なコレクションへと発展。現存しないと思われていた幻の作品が発掘される原点になったそうです。
神戸新聞の記事には『ディズニー幻の短編』の見出しが。この言葉だけでも十分にインパクトがありますが、ここに3本集結していることにもビックリ。そりゃ世界的話題にもなります。詳しい内容はぜひ現地で。
会員制の資料室では、映画に関する書籍やチラシのほか、「阪神・淡路大震災の記録」として神戸市民が撮影した映像集『RECORDED KOBE 1995』を閲覧することができます。
※会員制。ヴィジター料金は100円。
一番奥のコーナーでは映画関連の書籍やDVDを購入することができます。神戸映画資料館で上映された映画に関連したものや雑誌、評論系のほか、館長・安井喜雄氏の著書もあったりします。
関西の13映画館が企画した支援プロジェクト『SAVE OUR LOCAL CINEMAS』のTシャツ。背中には神戸映画資料館のロゴも入っています。映画仲間へのお土産や来館記念の思い出に購入するのもいいかもしれません。
外に出て、改めて周囲を歩いてみると、映写機と並ぶチャップリンのポスターに出会えました。彼の作品をたくさん観ているわけでもないのに、これだけで映画の世界に浸っている感じがするのはなぜなんでしょうか。
裏側に回ると今度は渋いポスターが。昔はこんな感じの大きな広告看板があったそうですが、今ではなかなか見られなくなりました。手描きのビジュアルも貴重ですね。
「施設としては小さいですが、資料の閲覧は自由ですし、タイミングが合えば映画も観ていただく…そんな気軽な感じでお越しいただければ」とは支配人の田中範子さん。
所蔵作品が全てではないという考えで、多くの人にアピールする場所ではないながらも、今後もバラエティ豊かな作品の上映を行っていきたいとのこと。
特集上映はボリュームのあるシリーズ物を少しずつ丁寧に紹介していくようなスタイルで、映画通の人も、そうでない人も楽しめるようなラインナップになっているので、これまでとは違った映画の世界を覗きに行ってみてはどうでしょうか。
スポット名 | 神戸映画資料館 |
ジャンル | 博物館 |
料金 | 無料(映画上映等、イベントによって観覧料が必要) |
住所 | 神戸市長田区腕塚町5-5-1 アスタくにづか1番館北棟2F |
電話番号 | 078-754-8039 |
営業時間 | 10:30~18:00(上映会のある日はこの限りではありません) |
定休日 | 水曜・木曜 |
リンク | 公式サイト |
駐車場 | なし |
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神戸ジャーナル 編集部
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