『神戸ノート』にまつわる雑学!「表紙の場所はどこ?」の疑問や歴史を深堀り。ファミリア好き・鉄道ファン注目のコラボグッズも

神戸市内の文房具屋さんに必ずと言っていいほど置いてある『神戸ノート』。スーパーやドラッグストアでもよく見かけます。

既に知ってる人も多いとは思いますが、この『神戸ノート』は神戸限定の商品です。他の地域から神戸に引っ越してきた人の中には、『神戸ノート』を見たとき「何だこれ?」と驚いた人もいるんじゃないでしょうか。

そこで今回は『神戸ノート』の認知度や使っていた当時の思い出を知るため、神戸ジャーナルの読者の皆さんに公式Instagramでアンケートを実施。予想をはるかに上回る1,600票もの回答、本当にありがとうございました!

この記事ではアンケートの結果も紹介しながら、神戸っ子なら誰もが使ったことがある『神戸ノート』について深堀りしてみます。

Index
・『神戸ノート』ってどんなの?
・『神戸ノート』の歴史
・なぜ神戸っ子はみんな『神戸ノート』を使うのか?
・表紙の場所に行ってみた!
・こんな『神戸ノート』があるって知ってる?

『神戸ノート』ってどんなの?

『神戸ノート』は長田区にある「関西ノート株式会社」が作っている、B5サイズの小学生用ノートです。現在『神戸ノート』は約20種類あり、教科によって表紙が異なります。

「音楽ノート」のようにラクガキ風のイラストだったり「二百字帳」のように文字がズラッと並んでいるものもありますが、大半は神戸の風景が印刷されているので、神戸ノートといえば、写真の表紙!というイメージを持ってる人は多いんじゃないでしょうか。

アンケートの神戸ノートの思い出を教えて!という項目でも、写真の表紙にまつわるエピソードが多く寄せられました。

・表紙の写真が神戸市内のどこかにあると知ったときは驚いた!
・大人になってから表紙の場所を発見して嬉しかった。
・表紙の場所が自分の地元!
・おばあちゃんの家が表紙に写ってる。

そのほか『神戸ノート』にまつわる微笑ましいあるある体験も。

・クラスみんなが同じデザインのノートを使ってたので、先生がよく間違えて他の人のノートを返却してた(笑)
・隣の人のノートを間違えて自分のランドセルに入れてた…。

・表紙を消しゴムでこすると薄くなるのが面白かった。つい表紙が真っ白になるまで遊んで、色付きの練りケシを作ってた。

・二百字帳の宿題がつらかった…。先に全部のマスに同じ部首だけを書いてみたりしてた!

みんなが同じノートを使っているので、たしかに他の人と混ざってしまうことは多かったかも。表紙を消しゴムで真っ白にするの、やってる子いましたよね。

二百字帳を見ると、手の側面を鉛筆で真っ黒にしながら漢字練習したことを思い出します。

『神戸ノート』には、神戸っ子の小学生時代の思い出が詰まってるみたいです。

『神戸ノート』の歴史

『神戸ノート』が作られたのは、1952年(昭和27年)。当時の日本はまだ戦後の復興期で、物資が十分にある状態ではありませんでした。

しかし1950年に「朝鮮戦争」が始まったのを機に、アメリカ軍による物資やサービスの発注が急増し、日本に朝鮮特需と呼ばれる好景気が起こります。

朝鮮特需は神戸市内の小学校に通う子どもたちにも影響し、景気が良くなった家の子どもたちが外国製の高級な文房具を使用し始めたんだそう。

その結果、外国製のノートを使用する子どもと、製本すらされていない「わら半紙」を使用する子どもが同じ教室にいる状況が生まれたみたいです。

特に神戸は港町なので、港湾関係の仕事をしていた人は朝鮮戦争に伴う物資輸送などで大きな利益を得たはず。他の地域に比べて、子どもたちの間にある格差も大きかったんじゃないでしょうか。

このような教育現場での格差を解消したいと考えた神戸市が、安くて高品質な文房具を規格化して提供できないかという依頼を関西ノート株式会社に持ち込み、『神戸ノート』が開発されたということです。

ちなみに『神戸ノート』を作っている「関西ノート株式会社」は明治の終わり頃に「飯田商店」という文具の個人商店から始まりました。1926年(大正15年)に「関西ノート株式会社」として創業し、2022年で96年。

『神戸ノート』は1952年(昭和27年)に生まれたので、会社の100年近い歴史のうち70年間『神戸ノート』を作り続けていることになりますね。

なぜ神戸っ子はみんな『神戸ノート』を使うのか?

ほんとに神戸っ子はみんな『神戸ノート』を使っているの?ということで、神戸育ちの皆さんにむけて『神戸ノート』を使っていたかどうかのアンケートを行いました。その結果がコチラ。

Q. 神戸育ちのみなさん!『神戸ノート』使ってましたか?

「はい」が90%、「いいえ」が10%で、およそ9割『神戸ノート』を使っていたという結果に。一部ですが「大人になっても使ってる」という人もいるようです。

アンケートで「全国みんなが『神戸ノート』を使ってると思ってた」「他社のノートを使ってる転校生を見て衝撃を受けた」といったエピソードが集まったことからも、神戸っ子のほとんどが『神戸ノート』を使ってきたのがうかがえます。

神戸育ちではない皆さんにむけても、『神戸ノート』を知っていたかどうかのアンケートを実施しました。その結果はコチラ。

Q. 神戸以外で育ったみなさん!『神戸ノート』知ってましたか?

「知ってた」が57%、「神戸に来て知った」が18%、「なんだそれ?」が12%という結果。3割の人は神戸に来るまで『神戸ノート』を知らなかった or  今も知らない状態みたいです。

ちなみに神戸育ちではないけど「使ってた」と答えた人の出身地としては「明石・加古川・大阪」といった回答が多く見られました。神戸の近くに住んでいた人は『神戸ノート』のことを昔から知っていたり、使ったりもしていたのかもしれません。

『神戸ノート』のほかに知っているノートとして、アンケートで名前が多く挙がったのがジャポニカ学習帳です。

・「ジャポニカ学習帳」を使ってる転校生を見て教室中がザワついた。
・神戸に転校してきたとき、「ジャポニカ学習帳」じゃないノートを見てびっくりしました!
・憧れから「ジャポニカ学習帳」を購入してみたものの、結局『神戸ノート』に戻っていた。

国内4割のシェアを誇り「日本PTA全国協議会」からの推薦も受けているこの商品。「ジャポニカ学習帳♪」という歌が流れるテレビCMを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

しかしこの「ジャポニカ学習帳」も神戸市内の文房具店では少ない種類が並んでいるだけで、なかには扱ってないお店すらあります。

では各学校や先生が「『神戸ノート』でないとダメ!」と子どもたちに伝えているかというと、そんなこともないようです。なぜ神戸っ子はみんな『神戸ノート』を使うんでしょうか。

理由はいくつか想像できますが、まずPTAや地元の自治会が新入生にお祝いとして『神戸ノート』を贈呈した、その後も子どもたちが同じ商品を使い続けたのではないかというのが挙げられます。

たしかに新入生はノートの使い方から覚える必要があるので、先生としては全員がまったく同じノートを使っているほうが指導しやすいんじゃないでしょうか。

ノートを一冊使い終わって買い替えるときも、新しい種類のノートを買うよりも使い慣れた『神戸ノート』を選びたくなりますよね。それに『神戸ノート』は神戸市内のいろんな場所で手に入れやすいです。

アンケートでは「運動会のご褒美は『神戸ノート』の自由帳だった」という情報も寄せられました。

次は『神戸ノート』が販売開始された時期にも注目してみます。『神戸ノート』が1952年(昭和27年)に生まれたのに対し、「ジャポニカ学習帳」が登場したのは1970年(昭和45年)なので、『神戸ノート』よりも20年ほど後になってから。

「ジャポニカ学習帳」が有名になる頃には、既に神戸っ子の間に『神戸ノート』がすっかり普及していたということも考えられるんじゃないでしょうか。

表紙の場所に行ってみた!

『神戸ノート』の表紙には、神戸の風景写真が印刷されてます。なかには昭和40年代に撮影されてからずっと変更されてないものも。表紙の場所のいくつかに、実際に行ってみました!

「れんらくちょう」の表紙の場所は東遊園地。海側の噴水広場に置かれているオブジェ「愛・仔馬の像」がヒントになりました。

現在はオブジェの右側に「神戸市役所」の30階建ての庁舎が見えてますが、表紙にはもっと低階層だった頃の庁舎が写ってます。市役所は1957~1995年まで「8階建て」だったので、その期間に撮られた写真でしょうか。

市役所の手前にあるロケットみたいな細長い物体も気になります。これは1970年の日本万国博覧会のとき「欧州共同体館」から神戸市へ寄贈されたもので「光の彫刻塔」という名前なんだそう。現在は北区の「しあわせの村」に移設されてます。

現在オブジェの左側にある建物は子ども本の森。こちらは2022年3月にオープンしました。

ついに3月25日オープン!安藤忠雄建築の『こども本の森 神戸』を一足先に見てきた

2022年3月22日

ちなみに「れんらくちょう」の裏表紙は風見鶏の館です。

「社会科」の表紙の場所はメリケンパークです。イースター島のモアイのような石像を海側から撮影すると、表紙と同じアングルになりました。

この石像は「BE KOBE」モニュメントのすぐ西側にある「神戸海援隊の碑」。幕末に「海軍操練所」で学んだ若者をイメージしているんだそう。「海軍操練所」は勝海舟の申し立てにより幕府が神戸に設けた、海軍の養成機関・工場です。

表紙の写真で「川西倉庫」がある場所には、現在は高層マンションが見えてます。マンションのすぐ海側には水族館のátoa(アトア)が2021年10月にオープンしました。

新港第1突堤にできた水族館『átoa(アトア)』に行ってみた。平日昼間も賑わってる

2021年11月16日

ちなみに「社会科」の裏表紙の裏面には、神戸市の地図が印刷されてます。『神戸ノート』ならではって感じですね。

「百字練習帳」の表紙の場所は、見開きにすると分かりやすいかもしれません。裏表紙に神戸ポートタワーが写ってます。

ポートタワーは2021年9月から改修工事が行われているので、表紙と同じシルエットを確認することができません。リニューアル後には屋上に展望施設が作られ、タワーの頂上付近をぐるっと歩いて港を見渡せるようになります。表紙にあるタワーとは少し様子が変わりそうですね。

「ポートタワー」西側のデザインシートが、ついに完全復旧。2か月半ぶり

2022年7月20日

表紙の写真がどの方角から撮られたのかは「阪神高速道路」の写り方から判断できそうです。「阪神高速道路」がポートタワーよりも左側にあるのを見ると、写真は西側から撮影された模様。

今は「神戸ハーバーランドumie」があるあたりから撮ったのでしょうか。

「帳」の文字の下にある周囲よりも背の高い建物は「神戸商工貿易センタービル」だと思われます。「神戸商工貿易センタービル」は1969年に「霞が関ビルディング」に次いで日本で2棟目に竣工した、高さ100mを越す高層ビル。現在も使用されてます。

現在ポートタワーの後ろには「神戸海洋博物館」「ホテルオークラ」の建物が見えますが、表紙の写真には両方とも見当たりません。

反対に、表紙の右下に写っている「神戸国際港湾博物館」は1987年に閉館しましたが、建物自体は今も残っており「中突堤中央ビル」として使われてます。「神戸国際港湾博物館」は「神戸海洋博物館」の前身となったそう。

『神戸ノート』を眺めるだけでもハーバーランド周辺の変化をたくさん見つけられますね。

他教科の表紙が撮影された場所も確認しておきましょう。

「算数帳」の表紙は錨山(いかりやま)から海側を見たときの風景のようです。以前はポートアイランドのない写真だったのが、更新されて今のデザインになったそう。

「国語帳」の表紙を見てみると、手前にオブジェがあって奥には神戸ポートピアホテルが写ってます。「ポートライナー 中埠頭駅」の西側、「神戸パークシティ」というマンションのあたりで撮影されたと思われます。

「自由帳」の表紙の場所は王子動物園です。白鳥がいた獣舎は展示変更で既になくなってます。

「5mm方眼罫」は2020年に新しく登場したノートです。こちらの表紙も王子動物園で撮影されました。パンダのタンタンが写ってます。

ちなみに表紙を王子動物園のタンタンにしたきっかけは、同じく王子動物園の白鳥が表紙になっている「自由帳」だったらしいんです。

というのも、「自由帳」に使われている白鳥の獣舎は既になくなっているので「写真を変えられないか?」という話が王子動物園側からあったのですが、お客さんなどに話を聞くと「白鳥の図柄が気に入ってるから変えないでほしい」という声も多く、変更しないことに。

代わりに、新しく企画していた「5mm方眼罫」の表紙に王子動物園のタンタンを採用することになったという流れ。タンタンの帰国後もこのデザインは継続されるそうです。

新しい「神戸ノート」の表紙に、王子動物園の「タンタン」が仲間入り。気になるアレコレも聞いてみた

2020年6月16日

最後に「理科の記録」。表紙の場所は「神戸総合運動公園」の中にあるユニバー記念競技場です。

表紙に大きく写っているのは聖火台で、写真はその裏から撮られたみたいです。

『神戸ノート』が家にある人は今の風景と見比べてみると、街の変化が分かって楽しめるんじゃないでしょうか。

こんな『神戸ノート』があるって知ってる?

小学校で使われているB5サイズの『神戸ノート』について紹介してきましたが、他にもいろんな種類があるんです。

B7サイズの『神戸ノート』

通常の3分の1ほどの大きさで、B7サイズの『神戸ノート』もあります。メモ帳なので中身は全部白ですが、通常のものと同じ材質・手法で作られているそう。

『神戸ノート』の中でも代表的な15種類の表紙をモチーフにしていて、3冊セット×5種類で販売してます。価格は1セット360円(税別)。

子どもの頃『神戸ノート』を使っていた人にも、神戸ならではのお土産としても良いですね。

ファミリアとのコラボ

2021年10月からファミリアがデザインした「英語用ノート」が販売されてます。表紙にプリントされてるのは、神戸の街並みを表現した刺繍です。

コラボレーションを記念して、デニムバッグやクリアファイルといった、「英語ノート」と同じデザインの雑貨も登場しました。

「英語ノート」はファミリアショップでは取り扱っておらず、市内の文房具店などで販売中。「英語ノート」以外の雑貨については「神戸本店」「さんちか店」またはファミリアオンラインショップから購入できます。

「ファミリア」×「神戸ノート」のコラボノートが発売されるみたい。デニムバッグ・クリアファイルなど『神戸限定アイテム』も

2021年9月5日

「ファミリア」×「神戸ノート」のコラボシリーズに新商品が登場するみたい。タオルハンカチとパスケース

2022年9月6日

「阪神電車」とのコラボ

表紙は「5700系高速神戸行き」と「8000系須磨浦公園行き」の2種類で、中は罫線なしの自由帳です。こちらは鉄道甲子園オンラインショップで購入できるみたいです。

「北神急行線」とのコラボ

「北神急行線」の市営化を記念して2022年に発売されました。表紙に写っているのは「西神・山手線6000形車両」と「海岸線5000形」で、市営化記念のヘッドマークも印刷されてます。

横型のB7サイズが珍しいですね。「地下鉄 三宮駅」やオンラインショップでの販売でしたが、「数量限定」のため既に売り切れ状態になってます。

「北神急行線」市営化記念。神戸ノートなどの『オリジナルグッズ』が数量限定で発売。9月1日からオンライン販売も

2020年8月27日

オリジナル『神戸ノート』

好きな写真や文字を入れた、オリジナルの『神戸ノート』が作れるって知ってましたか?

サイズは「B7~A5」から選べて、小ロットから注文できます。価格は何色使うか、中身をどんなノートにするかなどで変わるとのこと。

卒業記念や運動会の景品などとして使われることも多いそうで、神戸らしい記念ノートになりそうです。

『神戸ノート』は「長年にわたりスタンダードであり続ける力を持ったデザイン」に授けられるグッドデザイン・ロングライフグッドデザイン賞を2017年度に受賞してます。

審査委員の評価には「使った児童が大人になり、また自分の子供にと受け継いできた歴史に脱帽」という言葉が。

アンケートでも『神戸ノート』の歴史を感じさせてくれるようなエピソードが集まったので、一部ですがご紹介します。

・今でも自分の子どもたちが『神戸ノート』を使ってます。
・自分も使ってたから、子どもたちが小学生になったときにデザインが変わってなくて感激しました!
・『神戸ノート』なくして小学校生活は語れないと思う!!

『神戸ノート』は時代や世代を超えて愛される、神戸ならではの文化だと再確認できました。

◆関連リンク
関西ノート株式会社 – 公式サイト

 

この記事を書いた人

やよい

「推し」のライブによく出没します。

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4 件のコメントコメントを残す
  • ケンケン58

    懐かしい

    2023年11月21日11:14 PM 返信する
  • 山の子

    1952年、昭和27年に使用がはじまったことが分かるように Since 1952 みたいな印刷を入れてほしい。 1940年生まれの人から使っていたって事になるので、もう
    変えることはできないでしょうね。

    2022年10月16日7:32 AM 返信する
  • みぽりん

    64歳の私も神戸ノートを使ってました。
    当時は神戸ノートと言う名称は知りませんでしたが、懐かしいです。

    2022年10月14日9:42 AM 返信する
  • きゃさりん

    子供が小学生の時に,夏休みの自由研究で神戸ノートの表紙の景色の場所に行き,撮影をしました。神戸ノートの工事にもお邪魔して、ノートを作る機械を見せてもらいました。

    2022年10月13日2:26 PM 返信する