旧居留地は、三宮・元町エリアの海側およそ500m四方のエリアです。
街はオフィスビルだけでなく、洗練されたファッションビルが建ち並び、流行の発信地になっているのは、神戸人ならご存知のとおり。
いつも何気なく歩き「雰囲気が良いなぁ」と感じていましたが、「良い雰囲気はどうやって形づくられているんだろう?」と、意識したことはありませんでした。
今日は周りの景色や建築物をゆっくり見ながら、お散歩をしていきます。
まずは神戸市立博物館からスタート!
街を南北に走る「京町筋(きょうまちすじ)」沿いに立つと、どっしりと存在感のある建物が目に入ります。学生のころ、はじめて博物館を見たとき「外国の建物みたいでカッコいい!」と感動した記憶がよみがえりました。
元銀行だったこの建物は1935年(昭和10年)に竣工。「新古典様式」と呼ばれる建築で、正面に並ぶ大きな円柱は「ドリス様式」というそう。近くで見ると迫力がありますね。
昭和初期の名建築と評されていて、その美しい佇まいを、近づいたり離れたりして鑑賞します。
博物館の1階には神戸の歴史展示室が常設されていて、誰でも無料で入場できます。神戸の歴史をもっと詳しく知りたい人は、ぜひ訪れてみてください。
次は博物館から西へ1分ほどのところにある、旧神戸居留地十五番館へ。
十五番館は、1880年(明治13年)ごろにアメリカ大使館として建てられ、旧居留地エリアでは最古の洋館だそう。国の重要文化財に指定されています。
現在はレストラン「TOOTH TOOTH maison 15th」として営業中。窓から店内のお客さんが食事を楽しんでいる様子がチラッと見え、今度はわたしも館内に立ち寄ってみたいところです。
2階建て木造レンガ造りの「コロニアル様式」という建築で、南側に開放的なベランダがあるのが特徴。
一度は阪神・淡路大震災で全壊しましたが、倒壊前の部材を70%使い、1998年(平成10年)に再建されました。
建物の西側にあるプレートを読みながら「よみがえった姿は大勢の人に喜ばれただろうな」と、しばらく想いを馳せてみます。
そのまま西へ3分ほど歩き、商船三井ビルディングへ向かいます。
ビル北側に到着すると、港町神戸っぽいイカリマークが!
どうやらこのマークはインスタ映えスポットのよう。まだ見たことがない人は、どこにあるか探してみるのも楽しいかもしれませんね。
1922年(大正11年)4月に竣工。旧居留地のシンボルといわれ、レトロなビルはどこを切り取ってもフォトジェニックです。
正面上部には、半円形の「ペディメント(屋根にデザイン上の小屋根を設けたもの)」がデザインされているとのこと。
下から見上げても上部があまり見えないので、ビルの南の道路「海岸通り」を渡ってみることにします。
まさにシンボルにふさわしいビル!という風格。
繊細な装飾がされたペディメントの半円がよく見えます。装飾は「メダリオン(立体的な飾り)」と呼ばれるものだそう。
当時は珍しかった大規模なオフィスビルは、2022年に創立100周年を迎え、今も現役のオフィスビルとして使われています。
歩道に戻りふと自分の足元を見ると、黄色っぽいレトロ調のレンガがさりげなく敷き詰められているのに気づきます。
街全体のやわらかい配色やレトロな印象は、こんな細やかな部分でも表現されているんですね。
さて、そろそろ喉がかわいてきたころ。
来た道を北西へ2分ほど歩き、ブルーボトルコーヒー 神戸カフェで休憩します。
白い壁の前には看板があり、水色のボトルマークが目立っていますね。お店の正面は階段ですが、サイド側にはバリアフリーの通路もあリますよ。
この日は「アイス アメリカーノ」698円(税込)を注文。
店内かテイクアウトにするかですこし迷うと、すかさず店員さんが「持って出られるようにテイクアウトの容器にお入れしますね!」と気を回してくれ、優しい気配りがうれしいですね。
店内は天井が高くシンプルなインテリアで、すっきりとした印象。座席は通常のイスのほかに、スツールや円形テーブルがあり、ひとりでも複数人でもゆったり座れそうな配置がされています。
店内に広がるコーヒーの香ばしいかおりに、ホッとひと息つきました。
おしゃれなカフェでゆっくりくつろいで、散歩はそろそろ終盤です。
カフェを出てすぐ東にある「明石町筋(あかしまちすじ)」まで戻って・・・
レトロな街灯を眺めつつ、通りを3分ほど北上すると目的地が見えてきます。
旧居留地38番館に到着!
こちらは1929年(昭和4年)に銀行として竣工されました。設計は日本で多くの建築物を残したウィリアム・メレル・ヴォーリズさんです。
建物正面の「イオニア式(古代ギリシア式)」の4本の円柱が目を引きます。経年を感じる壁面も、レトロな雰囲気がありますね。
先にご紹介した商船三井ビルディングと同じ「アメリカン・ルネッサンス様式」の建築なのだそう。
38番館は、1980年代に旧居留地が神戸らしい街として再生するきっかけとなった象徴的な建物の一つ。
1960年代の高度経済成長期の東京への本社機能の流出や、1980年代初めにポートアイランドができ、地元企業がそちらへ移転。同時期、ショッピングの中心地が三宮エリアへと移り、旧居留地エリアの空室が増えた時期があったんだとか。
当時、倉庫として使われていた38番館は海外ブランドと提携し、1987年(昭和62年)に店舗として改装オープン。
それが成功したのをきっかけに、旧居留地ならではの近代建築や歴史的景観が見直され、保存するだけでなく活用しようという流れができたそうです。
今は街路樹がつくる木陰の下を、たくさんの人が行き交っています。
そのまま少しだけ北へ進むと、今回のお散歩の最終地点、大丸神戸店に到着です。
ちなみに読み方は、昔ながらの関西流で「だいまる こうべみせ」と読むのだとか。
北東側の店舗前には時計台とベンチがあり、気候が良いときは小休憩している人も。
店舗は阪神・淡路大震災後で被災し、建て替えられた比較的新しい建物ですが、旧居留地にふさわしい洋風でレトロなデザインにされています。
とくに柱は神戸市立博物館と同じ「ドリス様式」で、街の雰囲気とぴったりのものになっていますね。
西側の端っこまで歩いてみると、神戸外国人居留地跡の碑を発見。
1967年(昭和42年)4月25日、神戸開港100周年を記念して設置されたモニュメントだそう。
扇形の部分は神戸港の形を、5つの穴は、アジア、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの五大陸を表しているそうです。
何度も行き来している道ですが、モニュメントに気づいたのは今回がはじめてでした。
明治~昭和まで、当時最先端の建築が並ぶ街並み。
そんな歴史を感じるレトロな街並みは、ただ美しくおしゃれなだけでなく、誰かの尽力で今の姿があるのだとわかりました。
これからも訪れたときは街を大切にしていきたいな、と思います。
旧居留地は比較的コンパクトな街ですが、今回だけではご紹介をしきれないほど、見どころがまだまだあリますよ。
歴史を感じられるレトロな街並みを、ぶらりとお散歩してみませんか?
なんか、他の記事は写真の雰囲気が違うような。
綺麗な写真…実物を見に行きたくなりました。
お洒落な町並み
雑誌の撮影に最適です(^_^)