湊川公園駅の北側「会下山(えげやま)」の住宅街に、『La mura(ラ・ムーラ)神戸会下山』という古民家レストランができてます。
国の有形文化財として登録されている古民家でいただく「発酵フレンチ」は、完全予約制のコースのみ!ランチは3500円と、足を運びやすい価格帯です。
今年オープンしたばかりの新しいお店なので「どんなお料理が楽しめるの?」「有形文化財ってどんな雰囲気?」と前のめりで足を運んでみました。
神戸市兵庫区会下山町1‐2‐15
『La mura(ラ・ムーラ)神戸会下山』は、同じく兵庫区内にある「酒のてらむら」という老舗酒店がプロデュースしているお店です。
2階建ての建物は落ち着いた色味の木造で、高い天井ギリギリまで窓があり、日差しが心地よく入っています。
エアコン・照明以外はほとんど形を変えず補強のみなので、当時の空気感をそのまま残しているんだとか。
店内には靴を脱いでスリッパで上がるスタイル。
靴箱(写真右)も当時のものを再利用しているおり、「網代(あじろ)」という模様が特徴的です。ヘリンボーンに似ていて、モダンでおしゃれな印象も受けます。
築80年余りの「国登録有形文化財」は、もともと兵庫津の石阪芳松商店のご長男 石阪さんの住宅だったそう。4年ほど前までは住んでいたようですが、その後は長らく「空き家」状態で劣化も進んでいたんだとか。
ちなみに、主屋の裏側にはかつてあと2軒おうちが並んでいたそう。1つは「石阪さんの娘さん家族のお家」として、もう1つは「お手伝いさんの住まい」として利用していたんだとか。古くから石阪家を知る人いわく、当時は超豪邸だったそうですよ。
ちなみに、会下山小公園のある側から『La mura(ラ・ムーラ)神戸会下山』がズドーンと一望できます。
実は酒のてらむらの奥様がわんちゃんの散歩中、いつも見えるこの建物に一目ぼれ。1年間、四季の移ろいと共に毎日この場所から眺めていたそうです。
「もしや人が住んでいないのでは?」と思い1年越しの想いで相談してみたところ、家主さんとつながることができ、現在に至ります。
補修前は「ジブリの世界」かのように樹々で多い茂っていたそうですが、憧れの古民家がまさか「有形文化財」だったとはという驚きと共により一層大切に繋いでいきたいという想いが芽生えたそう。
中の様子も少し見ていきます。格子の扉や引き出しの奥は当時のままキッチンとして利用しています。
真ん中のくぼんだ所は「引き戸」になっているんですが、当時はここから料理を出したりしていたんでしょうか。妄想が膨らみます。
メインのお食事スペースはこんな感じ。テーブル席が数席のみですが、ゆくゆくは2階席も利用できるようになるかも。
昔は「茶室」として利用していたそうで、床の間と、靴箱にも使われていた「網代天井」はそのままの状態なんだそうです。
さて、いよいよお食事タイム。今回は、お庭に面した個室に案内してもらいました。
お部屋を外側から見るとこんな感じ。目の前の柿の木が季節になると美しいそうですよ。
部屋の壁を見ると、下の方だけなにやら模様が。お店の人に聞くと、下半分の木材は、今回リノベーションの時にうまれた廃材を利用しているんだとか。書かれている文字は木の等級を表しているみたいです。
さて、いよいよ発酵フレンチのコースが始まります。まず食前酒として「ひめぜん」という甘酸っぱくて飲みやすいお酒をいただきます。
ノンアルコールで「葡萄のビネガー酢」も選べるそう。
「酒のてらむら」と言えば、1階~地下2階まで「日本酒」を中心に取り揃えているお店ですが、そこのプロデュースとだけあって、やっぱり「日本酒」が豊富。気に入ったものは、歩いて5分ほどのお店で買えるのも嬉しいですね。
ほかに日本産のワインやビール、ノンアルコールもあります。
このみ
花や夕焼け空を眺める時間が好きです。
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