例年、6月から7月にかけて見ごろを迎えるアジサイの花。実は、1970年に神戸市制80周年と日本万国博覧会の開催を記念して、市民アンケートを行い一番人気が高かったことから、「神戸市民の花」に指定された花でもあります。
青やピンク、紫など色とりどりのアジサイ。その可憐で美しい姿を見るために、梅雨の季節、雨の日でもでかけたくなります。
今回は、そんなアジサイの花が楽しめる「神戸市立森林植物園」「六甲高山植物園」「神戸市立須磨離宮公園」の見どころを紹介します。
まず紹介するのは、神戸の中心部から車で約25分ほどの場所にある「神戸市立森林植物園」。神戸電鉄北鈴蘭台駅からは、バスの無料送迎もあります。
総面積142.6ha、甲子園球場約37個分の広大な園内には、世界各地の約1,200種に及ぶ植物が植栽されています。
木々に囲まれた緑豊かな場所で、自然を満喫したいひとにおすすめのスポットです。
そんな「神戸市立森林植物園」のアジサイは、なんといっても数が多いところが自慢!
「あじさい園」や「アナベルの丘」などには25種350品種、約5万株のアジサイが植えられており、あまり見かけないような珍しい品種のアジサイを観察することもできます。
アジサイの色も青や水色、ピンク、紫、白と多種多様。
ちなみに、アジサイの花の色は土の酸性度によって変化するといわれていて、酸性のときには青くなり、アルカリ性のときには赤っぽくなるのだそう。場所による色の違いにも注目しながら、散策してみるのもおもしろそうです。
ハート型のアジサイも発見!
こちらのアジサイは「シチダンカ(七段花)」という六甲山の特産種の一つ。かつて、江戸時代にドイツ人の医師・博物学者のシーボルトが「日本植物誌」に取り上げていましたが、長い間見つけられず、「幻の花」といわれていたアジサイです。
その後、1959年に六甲山で再発見されてからは、「神戸市立森林植物園」や「六甲高山植物園」でも見られるようになりました。
園内でも有数のフォトスポットの「アナベルの丘」。白いアジサイが一面に咲く光景は圧巻の一言です。映える写真を撮りたい!という方は、ぜひこちらへどうぞ。
園内にある「森のカフェ ル・ピック」では、期間限定で「あじさいゼリーソーダフロート」を販売中。歩き疲れたら、休憩がてらに立ち寄ってみるのもおすすめです。
また、案内スタッフによる散策会や講習会が楽しめます。「森の中のあじさい散策」のイベント開催中(2023年6月10日〜7月17日)は無休で開園。土日祝日は朝の8時から開園しています。
神戸市立森林植物園
住所 神戸市北区山田町上谷上字長尾1-2
電話番号 078-591-0253
公式サイト https://www.kobe-park.or.jp/shinrin/
続いて紹介する「六甲高山植物園」は、海抜865mの六甲山頂付近に位置します。
北海道南部に相当する冷涼な気候を生かして、園内には世界の高山植物や寒冷地植物、六甲自生植物、山野草など約1,500種が自然に近い状態で栽培されています。
5月中旬から6月中旬に見ごろを迎えるヒマラヤの青いケシは、植物園でも人気の花の一つ。
涼しい高山地帯に咲く花で、暑さに弱いため、屋外展示は難しいそうですが、「六甲高山植物園」では約100株ほど見ることができます。
そんな「六甲高山植物園」では6月から7月にかけて、コアジサイやヒメアジサイ、シチダンカなどのアジサイが見ごろを迎えます。
コアジサイは装飾花がなく控えめな印象を受けますが、根強いファンも多い人気の品種です。
下から眺めると紫色に透き通った花柄がキレイ
「ヒメアジサイ」(写真提供:六甲高山植物園)
こちらのヒメアジサイは、NHKの朝ドラ「らんまん」のモデルとなっている植物学者の牧野富太郎博士によって命名されたアジサイです。「六甲ブルー」と呼ばれる鮮やかな青色が美しく、かつては六甲山の道のいたるところに咲いていたのだとか。
そのほか「アジサイ園」には、深山八重紫や海峡といったヤマアジサイ系の花も多数咲いているので、要チェックです。
また、「六甲高山植物園」は、植物学者・牧野富太郎博士がたびたび訪れた植物園ということもあり、「ROKKO森の音ミュージアム」と合同で牧野博士の魅力に迫る特別企画展を開催中です(2023年3月18日〜8月15日)。
牧野博士直筆の手紙や色紙など貴重な資料の現物を多数展示しているので、この機会をぜひお見逃しなく!
六甲高山植物園
住所 神戸市灘区六甲山町北六甲4512-150
電話番号 078-891-1247
公式サイト http://www.rokkosan.com/hana/
最後に紹介する「神戸市立須磨離宮公園」(以下、須磨離宮公園)は、山陽電車「須磨寺駅」から徒歩約10分ほどの場所にあり、神戸の街と大阪湾を一望できる公園です。
宮殿をイメージしたという「噴水広場」は、須磨離宮公園の人気スポットの一つ。毎年春と秋には、さまざまな品種のバラが咲き、多くの来園者で賑わいます。
写真提供:神戸市立須磨離宮公園
そんな須磨離宮公園では、「あじさい園」などに12種約2,000株のアジサイが植栽されています。
見ごろは6月中旬から7月上旬にかけて。セイヨウアジサイやガクアジサイ、アナベルなど様々な彩りのアジサイが見られます。
「アナベル」(写真提供:神戸市立須磨離宮公園)
「カシワバアジサイ」(写真提供:神戸市立須磨離宮公園)
こちらの「カシワバアジサイ」は、柏の葉のような形の葉と、横長に咲く花の形が特徴的なアジサイ。白く、可憐な花でとってもかわいいです。
写真提供:神戸市立須磨離宮公園
アジサイの花は、「あじさい園」以外に、みどり滝やもみじ道、連絡橋付近などにも咲いています。
園内のあちこちにベンチがあるので、お弁当を食べながらじっくりアジサイ鑑賞を楽しむのもおすすめ。たくさんある花の中で、これだ!と思うお気に入りの一輪を探してみてはいかがでしょうか?
神戸市立須磨離宮公園
住所 神戸市須磨区東須磨1-1
電話番号 078-732-6688
公式サイト https://www.kobe-park.or.jp/rikyu/
花や緑に囲まれた自然の中を散策すると、どこか心も晴れやかになります。
梅雨の時期はじめじめとしていて、少し気分も憂うつになることもあるかもしれませんが、雨の日のアジサイもまた風情があって素敵ですよ。
「ちょっと気分を変えたいな」というときは、ぜひアジサイを目当てに、おでかけしてみてはいかがでしょうか?
【取材・文】中田優里奈
神戸在住のライター。関西の観光、グルメを中心に企画・取材・執筆・撮影を担当。書籍『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 京阪神版』では神戸市内13ヶ所の公園を取材。地元の魅力を発信したいという思いのもと、日頃から神戸の街歩きをしてネタ探しをしている。
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