1997年にオープンした『神戸ファッション美術館』は、ファッション(衣・食・住・遊)をテーマにした日本初の公立美術館です。
ファッション都市宣言をした神戸の拠点施設ということで、現代ファッションや西洋の宮廷衣装、世界各国の民族衣装などを公開しているほか、ファッション関係の書籍や雑誌を集めたライブラリーなどを備えています。
2017年には神戸新聞グループが指定管理団体として参画し、ファッションにこだわらず芸術・写真など文化全般をテーマに展示することで、来館者数を伸ばしてきました。
もくじ
● 一般の人も気軽に使用できる素敵なホールやギャラリー
● 普段お目にかかれない写真集や雑誌が満載のライブラリー
● 特別展・コレクション展は趣向を凝らした展示で毎回大盛況
● 実は仮想体験からリアルなドレス着用まで楽しめる体験型施設だった!
● スポット情報
神戸市東灘区向洋町中2-9-1
神戸新交通六甲アイランド線(六甲ライナー)のアイランドセンター駅で下車し、改札口を出て階段を降りると、左手に巨大なUFOのような建物が現れます。
今にも飛び立ちそうなこの佇まい。UFOという表現が大袈裟ではないことがわかるかと思います。このインパクトですので、まず迷うことはないでしょう。
この『神戸ファッション美術館』では、多彩なアートを紹介する「特別展示」と貴重な収蔵品を活用した「コレクション展示」を随時開催していて、入館料は「特別展示」の展示内容によって変わります。
また、「特別展示」と「コレクション展示」がそれぞれ単独で開催される場合もありますので、あらかじめホームページで確認してから行くことをおすすめします。
普通は1階から順に回ることが多いと思いますが、メインどころの展示が1階にあるため、今回はおいしいところを後に残す作戦で、5階からスタートしてみます。
5階にある通称オルビスホール。UFO的な円盤形部分にあたる円形ホールです。椅子を全て出すと424席にもなるイベントホールで、名器スタインウェイを使ったピアノの発表会や劇団のお芝居などに使用されています。
料金も良心的で、大学生は何と無料! 個人的な発表会なんかにも使用されていますので、機会がある人は利用してみるといいかもしれません。
展示会などで使用する時は、ステージそのものを撤去して平面空間にすることも可能です。客席部分を70cm下げると中央がせり出したランウェイが出現します。
ファッションショーに最適で、名誉館長であるコシノヒロコさんのショーも開催され話題になりました。また、六甲アイランドはコスプレイヤーの聖地であることから、コスプレ専門のファッションショーも開催されています。
4階のギャラリーは服飾デザインや絵画を展示することができます。海外の方も活用されているようで、最近では韓国の大学教授も展示会を行なったとか。
同じ4階にはセミナー室もあります。第1セミナー室は96席で、研修や講演会、ワークショップなどが開催でき、人材育成や交流の場として活用されています。この日はファッション学科の学生さんが講義を受けていました。
また、神戸ファッション美術館の所蔵品を間近で鑑賞できる「服飾文化セミナー」は、有料ですが申し込めば誰でも参加できます。
ファッション資料室には立体的な資料が保管されています。一見シンプルな倉庫のようですが、全資料を合わせると5万点ほどあるそうです。
こちらは教育的な目的での使用が基本となり、10名以上での団体で事前予約が必要。もちろん、個人の方でも10名揃えば利用できます。
資料保管棚の自動開閉のスイッチを押すと鮮やかな色合いの生地がずらりと現れました。海外のものということで、色や柄が日本のものとはちょっと違います。デザインを学ぶ学生が参考にしているそうです。
別の棚には、神戸の老舗子供服メーカー「ファミリア」が移転の際に寄贈した子供服がいっぱい。これも手に取ってじっくり見ることができます。かなり前のものなので、今の大学生の目には新鮮に映るようです。
ほかにも、ベベ、ディアプリンセスなどが所蔵されていました。
港町であることから「マリン」つながりで世界中のセーラー服(水平の制服)が700点ほど所蔵されています。これらは外国の海軍で実際使われていた制服と同じモデルです。こちらも日本とは違う感覚のデザインが多く、見ていて飽きません。
神戸ジャーナル 編集部
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