垂水区にある『神戸徳洲会病院』を運営する医療法人徳洲会に対し、神戸市は2月20日、医療法に基づく改善措置命令を出しました。同法による改善命令が出るのは兵庫県内では初めてだそうです。
神戸市垂水区上高丸1-3-10
徳洲会グループは全国で病院・診療所・クリニック・介護施設などを展開していて、合わせると全国の総事業所数は400施設に上るんだそう。
兵庫県内の関連施設では、垂水区の「神戸徳洲会病院」のほか、高砂市に「高砂西部病院」があります。
行政指導も改善みられず、より重い行政処分に
改善命令が出された「神戸徳洲会病院」では、2023年に、カテーテルの治療後に複数の患者が死亡する事例があり、これについて十分な調査を行っていなかったことに加えて、再発防止策の協議などを行わずに対応を終了していたことがわかり、神戸市は8月に行政指導を実施しました。
その後も9月に、糖尿病のある入院患者が適切な治療を受けられず死亡したほか、10月には、吐血した入院患者に対して検査を行ったものの、出血元が不明のまま調査を終了後に死亡。安全調査委員会での検証が必要とされたにもかかわらず、保健所が指摘するまで調査・検証を行わなかったことが判明しました。
さらに今年1月には、心肺停止状態で搬送された患者に血圧を上げる薬剤(昇圧薬)を投与していた際に、残量が少なくなり、薬剤の交換が必要でしたが、職員同士で意思疎通が取れずに薬剤の注入が途絶えてしまい、死亡したという事例もありました。
このように、行政指導中であるにもかかわらず患者の死亡事例が続いており、調査・検証が必要な事例も調査を行っていないなど、医療安全上の不備が度重なっていることから、今回より重い「行政処分」(改善措置命令)に踏み切ったそうです。
これまでの動き
2023年
6月 神戸市に匿名の告発文が届く
7月 3回の立ち入り検査
8月 文書による行政指導
9月 患者が死亡
10月 患者が死亡
11~12月 3回の立ち入り検査
2024年
1月 患者が死亡/立ち入り検査
2月 改善命令
市は「患者の安全を最優先にした体制」に改善するよう命令
神戸市は今回の行政処分にあたり、病院側に対して、今年3月上旬までの改善計画書の提出を命令。
今後も定期的に立ち入り検査を行うそうで、命令に従わない場合は「業務停止」などの罰則の対象となります。
併せて8月末までに、「患者の安全を最優先に考えた組織体制」にするために必要な改善措置を実施・完了することを命じています。
25年2月に、垂水体育館などの跡地に新病院を開院予定
「神戸徳洲会病院」は2025年2月に、現在の病院から南に歩いて15分ほどのところに、新病院の開院を予定しています。
もともと「垂水養護学校」や「垂水体育館」があった跡地で、産科・小児科救急を含めた救急機能をもつ「急性期病院」として整備されるとのこと。垂水区で唯一「小児科病床のある救急病院」になるという計画みたい。
今回の行政処分を受けて、新病院の計画も変更されるのでしょうか。行政指導よりも重い「行政処分」(命令)は、かなり重大な事態である場合に出されるもので、病院側にはしっかりとした改善対応が求められます。
◆関連リンク
・医療法に基づく医療法人徳洲会に対する行政処分(改善措置命令)の実施 – 神戸市
・神戸徳洲会病院 – 公式サイト
徳洲会は猪瀬知事に不正な献金してからいい噂を聞きませんね。