阪神間にある灘五郷といえば、古くから日本酒の生産地として有名。そんな灘五郷をはじめ、全国の酒蔵をめぐって集める「御酒印」というものがあるのをご存じでしょうか。
そこで今回は、灘五郷の「御酒印」がもらえる酒蔵をピックアップ。酒づくりの歴史が学べる見学施設の見どころと合わせてご紹介します。
御酒印とは、御酒印帳プロジェクトに参加している公認酒蔵で商品を購入するともらえる、お酒のラベルのこと。
神社やお寺をめぐって集める御朱印と同じように、専用の「御酒印帳」があります。
御酒印帳の左ページは、登録銘柄ラベルの御酒印を貼れるようになっています。右ページには酒蔵を訪れた感想やお酒の特徴などが自由に書けるスペースがあります。全国の酒蔵を巡った旅の記録として利用するのもおすすめです。
御酒印帳はオンラインショップか、全国の公認酒蔵で購入可能。御酒印帳を販売していない酒蔵もあるため、事前に訪問予定の酒蔵のHPを確認しておくと安心ですよ。
御酒印帳についてはこちら
そんな御酒印は、日本一の酒どころである灘五郷の酒蔵でも集めることができます。今回は、その中でも「菊正宗酒造記念館」「白鶴酒造資料館」「浜福鶴 吟醸工房」の3スポットをご紹介します。
まず紹介するのは、1659年創業の「菊正宗酒造」。
徳川家4代将軍の家綱時代に、材木商の嘉納治郎太夫宗徳が、本宅敷地内に酒蔵を建てて酒造業を開始。創業以来、辛口の日本酒づくりにこだわり、キリッとしたキレのある味わいが特徴の日本酒を提供し続けています。
そんな「菊正宗」の酒づくりや歴史について学べるのが、阪神魚崎駅から歩いて10分ほどのところにある「菊正宗酒造記念館」。
こちらの併設ショップでもらえる御酒印は、「菊正宗上撰」のラベル。「菊正宗上撰」は、創業以来こだわっている本流辛口のお酒で、どんな料理にも合う食中酒として人気です。
ショップ内にある無料の「きき酒コーナー」では、加熱処理を行っていない生原酒を試飲できるかも。こちらは非売品で、記念館だけでしか味わえないお酒です。
そのほか季節のお酒の試飲もあるので、まずは味見をしてからお土産用のお酒を選んではいかがでしょうか。
お土産におすすめなのは、「百黙」シリーズ。凛とした切れ味の中に、芳醇な香りと旨味が感じられ、和食はもちろん、フレンチやイタリアン、エスニックと幅広い料理に合います。中でも「無濾過」は兵庫県でしか買えない代物です。
御酒印をゲットしたら、館内もじっくり見学してみましょう。
館内には国指定重要有形民俗文化財「灘の酒造用具」をはじめ、数多くの酒造用具が展示されています。酒づくりの流れや道具についても、分かりやすく解説されていて、じっくり見学してみるとおもしろいです。
昔の酒づくりの様子がわかる
菊正宗や日本酒のことをもっと知りたい!というひとは、樽職人が酒樽を作っている様子を見学できる「樽酒マイスターファクトリー」や、酒器を展示している「盃展示館」にも足を運んでみてください。
樽酒マイスターファクトリー
※「樽酒マイスターファクトリー」「盃展示館」の見学会は1日3回開催され、所要時間は30分ほど。予約は見学予定日の2日前まで可能です。
菊正宗酒造記念館
住所 神戸市東灘区魚崎西町1丁目9-1
アクセス 阪神「魚崎駅」徒歩約10分
電話番号 078-854-1029
公式サイト https://www.kikumasamune.co.jp/kinenkan/
続いて紹介するのは、赤いパッケージの「まる」でもおなじみの「白鶴酒造」。1743年、江戸時代に材木屋治兵衛が酒造業を開始した老舗酒造のひとつです。
そんな「白鶴酒造」の歴史を学べるのが、阪神住吉駅から歩いて5分ほどのところにある「白鶴酒造資料館」。
大正期に建造された酒蔵を利用した施設ということもあり、建物自体も見どころのひとつです。
こちらでもらえる御酒印は、資料館限定の「蔵酒」のラベル。
「蔵酒」は酒米の王様といわれている兵庫県産の山田錦を100%使用した特別純米原酒。フルーティーな香りとキレのある味わいが特徴なので、お酒をいただく時は、まず香りをかいでみてください。
無料試飲コーナーでは、資料館でしか飲めない限定酒をはじめ、直営店限定の日本酒など常時3種類のお酒を無料で試飲できます。じっくり飲み比べをしてから、気に入ったお酒を購入して御酒印をゲットしましょう。
ショップで買える「純米大吟醸 白鶴錦」は、「山田錦に勝るとも劣らない酒米を生み出す」という思いのもと、手がけているオリジナル米「白鶴錦」を使用した日本酒です。
ここでしか買えない希少な品なので、お土産にぴったり。すっきりとした飲み口で、冷やして飲むと食がすすみます。
御酒印をゲットしたら、人形の展示が特徴的な資料館へ。本当に人がいるのかと見間違えてしまうほどリアルな人形で、昔の酒づくりの作業内容が再現されています。
展示付近には、各行程を分かりやすく紹介した映像も流れており、酒づくりの様子をたっぷりと学ぶことができます。
人形は当時実際に働いていた蔵人たちがモデル
白鶴酒造資料館
住所 神戸市東灘区住吉南町4丁目5-5
アクセス 阪神「住吉駅」徒歩約5分
電話番号 078-822-8907
公式サイト https://www.hakutsuru.co.jp/community/shiryo/
最後に紹介するのは、阪神魚崎駅より徒歩10分のところにある「浜福鶴」。
1808年に初代・小山屋又兵衛が、灘や伏見で酒造技術を学んだあとに、さいたま市で酒造業をスタート。その後、灘に拠点を移し、現在まで伝統の酒づくりが続いています。
見学施設を備えた「浜福鶴 吟醸工房」でもらえる御酒印は、「浜福鶴」を代表する「空蔵(くぞう)」のラベル。
「空蔵」は阪神淡路大震災のときに蔵が全壊し、絶望感が漂っていたなか生まれたお酒。
震災後、「灘を代表する本物の酒づくりに挑戦したい」「地元で愛される酒づくりをしていこう」と、ゼロからスタートを切った「浜福鶴」。
たくさんの人々に支えられて酒づくりを続けられていることへの感謝の気持ちを忘れないように、「空蔵」には、「空(ゼロ)からの再出発」という意味が込められています。
無料試飲コーナーには、「空蔵」の他、女性に人気の「柚子日和」など常時5種類のお酒が並びます。お好みのお酒を、ぜひ手に取ってください。
純米吟醸生原酒 空蔵 山田錦
有料試飲コーナーでは「空蔵」シリーズの飲み比べもできます
その他、旬のしぼりたての味を堪能できる生原酒の「限定生原酒仕込シリーズ」や、江戸幕府大奥の御膳酒として愛飲された「七ツ梅シリーズ」など、個性豊かなお酒が取り揃えられているので要チェックです。
お気に入りのお酒を見つけて、御酒印をゲットしましょう。
また、こちらの施設は、ガラス越しに酒づくりの現場を見学できるのが特徴。酒づくりが始まる10月から6月ごろまでは、実際に機械が動いている様子を見ることができます。
ふつふつと醗酵する「酒の声」を聞いたり、発酵中のもろみの甘い香りをかいだりできる「醪(もろみ)造り体感コーナー」があるのも、「浜福鶴」ならでは。どんな音や香りがするのかは、現地で確認してみてください。
浜福鶴 吟醸工房
住所 神戸市東灘区魚崎南町4丁目4-6
アクセス 阪神「魚崎駅」徒歩約10分
電話番号 078-411-8339
公式サイト https://www.hamafukutsuru.co.jp/
今回紹介した蔵以外にも、神戸では「沢の鶴資料館」や「神戸酒心館」でも御酒印がもらえます。御酒印を集めながら、灘五郷の酒蔵めぐりを楽しむのもおすすめです。
お酒が飲めない方も、酒づくりの歴史や、杜氏、蔵人たちの知恵や職人技を学ぶことで、日本酒に興味がわくかもしれません。ぜひ一度訪れてみてください。
【取材・文】中田優里奈
神戸在住のライター。関西の観光、グルメを中心に企画・取材・執筆・撮影を担当。書籍『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 京阪神版』では神戸市内13ヶ所の公園を取材。地元の魅力を発信したいという思いのもと、日頃から神戸の街歩きをしてネタ探しをしている。
神戸公式観光サイト Feel KOBE
神戸の観光スポットやイベント情報、コラム記事など「神戸旅がもっと楽しくなるコンテンツ」を発信しています。
元記事:御酒印を集めて楽しむ!灘五郷の酒蔵めぐり – Feel KOBE 神戸公式観光サイト
ゲストオーサー
ライター一覧