神戸の中華料理店で餃子(ぎょうざ)を注文すると、みそだれが出てくることがあります。
実は、この「餃子にみそだれ」という食べ方は、神戸の食文化の一つ。神戸に来たら、ぜひ食べてみてほしいご当地グルメです。
餃子の消費量が多いところといえば、栃木県の宇都宮市や静岡県浜松市、宮崎県宮崎市などが有名です。
なので、神戸で餃子というとあまりイメージがないかもしれませんが、実は神戸では「みそだれで餃子を食べる」という食文化があり、ご当地グルメの一つとなっています。
南京町の路地裏にある「ぎょうざ大学」
みそだれ文化がいつ神戸に広まったのかについては、正式な資料が残っていないため定かではありませんが、みそだれ発祥の店とされるお店は南京町にあります。
それが、1951(昭和26)年創業の「元祖ぎょうざ苑」。
店主の頃末さんによると、店の初代・頃末さんの祖父が「旧満州で食べた餃子を日本でも広めたい」とお店をはじめ、そのときにみそを使ったタレを出し始めたのが、神戸で餃子をみそだれで食べるようになったきっかけという話もあるそう。
黒酢は独特の香りがあり、苦手な人も多かったようです。
一方、みそはみそ汁にして食べる習慣がある日本人にはなじみ深い味。実際、みそだれで餃子を食べてみると、ご飯との相性も抜群!みそだれと餃子の組み合わせがおいしいと広まるのも、なるほどと納得できる気がします。
そういう経緯もあり、神戸には餃子をみそだれで食べる食文化が根付きました。
今でもその文化は続いており、赤みそや白みそ、合わせみそなど、お店によって異なる味のたれが楽しめます。そんな神戸の街で、餃子店めぐりを楽しむのもおすすめです。
「元祖ぎょうざ苑」は、JRまたは阪神「元町駅」より徒歩5分の南京町にあります。先ほども紹介しましたが、1951年に創業、みそだれ餃子発祥の店とされるお店です。
元祖ぎょうざ苑のこだわりは、A5ランクの神戸ビーフを餡の中に9.1%練り込んでいるところ。
もともと中国では餃子は高貴な方が食べるおもてなしの料理であったこと、そして神戸ならではの餃子を作りたいとの思いから、神戸ビーフを使用することに決めたのだそう。
お店にラー油はなく、みそだれオンリーか、みそだれ+しょう油+酢で食べるのがぎょうざ苑流の食べ方。
皮はもっちりとした食感で、ジューシーながらも後味は意外とあっさりしていて箸がついつい進んでしまいます。冷凍餃子のテイクアウトもできるので、お土産に買って帰るのもおすすめです。
元祖ぎょうざ苑
住所 神戸市中央区栄町通2-8-11
アクセス JR・阪神「元町駅」より徒歩5分
電話番号 078-331-4096
営業時間 11:45~15:00((L.O)、17:00~20:30(L.O) ※21:30閉店
定休日 月曜日(祝日の場合は営業)
公式サイト https://ganso-gyozaen.com/
つづいて紹介する「ぎょうざの店 ひょうたん 三宮店」は、昭和32年に創業したお店。
「神戸で愛され、受け継がれてきた味と、味噌だれ文化を後世につなぐ」との思いのもと、創業時から変わらぬ味を大切にして神戸餃子を作り続けています。
2020年にコロナ禍をきっかけに一度は閉店しましたが、惜しむファンの声に応える形で2021年に営業を再開しました。今はこの三宮店のほかに、元町店、ミント神戸店など神戸市内に3店舗あります。
※五加皮は製造終了で販売中止
「ぎょうざの店 ひょうたん」の料理メニューは、焼ぎょうざのみと、とってもシンプル!焼き場に立てるのは、代々伝わる焼き方をマスターしたスタッフのみと、焼き加減にもこだわっています。
1人前で7個入り。みそだれは赤みそがベースになっており、味つけは濃いめ。まずは、ひょうたん特製みそだれで食べてみてください。
たれをたっぷりとつけていただくと、ビールがあっという間になくなってしまうほど!お酒が進み、1人前ならペロリと完食できてしまいます。
みそだれを楽しんだあとは、お酢と醤油を混ぜてラー油やおろしニンニクを合わせるなど、自分好みの味でも、ぜひどうぞ。
ぎょうざの店 ひょうたん 三宮店
住所 神戸市中央区北長狭通1-31-37
アクセス 阪急「三宮駅」西口より徒歩1分、JR「三ノ宮駅」より徒歩3分
電話番号 078-331-1354
営業時間 11:00~23:00(LO 22:30)
定休日 無休
公式サイト https://hyoutan-kobe1957.com/
そのほかにも白みそベースのたれが特徴の「とんとん餃子」、合わせみそだれでいただく「赤萬 三宮店」など有名店がたくさんあります。いろんなお店の餃子を食べ比べてみて、お気に入りの一品を見つけてみてくださいね。
【取材・文】中田優里奈
神戸在住のライター。関西の観光、グルメを中心に企画・取材・執筆・撮影を担当。書籍『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 京阪神版』では神戸市内13ヶ所の公園を取材。地元の魅力を発信したいという思いのもと、日頃から神戸の街を歩いてネタ探しをしています。
神戸公式観光サイト Feel KOBE
神戸の観光スポットやイベント情報、コラム記事など「神戸旅がもっと楽しくなるコンテンツ」を発信しています。
ゲストオーサー
ライター一覧