個性豊かな神戸の「ミニシアター」  Feel KOBE

1896年11月に日本初の活動写真であるキネトスコープ(箱の中のフィルムをのぞき窓から見るもの)が花隈で一般公開されたことから、「日本映画史のはじまりの地」ともいわれている神戸。

そんな神戸の街には、個性豊かなミニシアターがあります。そこで、今回は「元町映画館」「シネリーブル神戸」「パルシネマしんこうえん」の3つの映画館をご紹介します。

商店街の一角にある「元町映画館」

まず紹介するのは、JR・阪神元町駅から徒歩6分ほどのところにある「元町映画館」。

元町商店街内にあるミニシアターで、2010年に映画好きの有志たちがオープンさせた映画館です。発起人の堀忠さんの本職は医師。映画館の運営に関する知識はなかったそうですが、「映画館をつくりたい」との思いのもと、いろいろな人に呼びかけ、開館にこぎつけました。

資金もあまりなかったため、ボランティアを募って天井や壁のペンキを塗ったり、閉館になった映画館から譲り受けた備品を設置したりと、手づくり感満載という点も、元町映画館ならでは。

座席数は66席。通常、映写室は客席よりも高いところにあることが多いのですが、「元町映画館」は建物の構造上、映写室は客席と同じ高さの場所にあります。最前列は前に遮るものがない上、スクリーンから程よく距離があるので観やすいと、常連客にも人気なのだそう。

実は「元町映画館」は『ドライブ・マイ・カー』でカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した濱口竜介監督が、神戸在住時代に客として訪れたミニシアターでもあります。

そういうご縁もあり濱口監督の代表作『ハッピーアワー』が初めて劇場公開されたのも、この「元町映画館」なのです。

監督や俳優のトークイベントも定期的に開催(施設提供写真より)

学生の料金は1,000円。「若い方も、ぜひ気軽に映画を観に来てください」と代表理事の高橋さん。

映画を観た後は、映画の余韻に浸りつつ商店街散策もたっぷり楽しむ、なんて過ごし方もおすすめです。

Information

元町映画館
住所 神戸市中央区元町通4丁目1-12
アクセス JR・阪神電車「元町」駅西口より、南西へ徒歩6分
電話番号 078-366-2636
営業時間 ︎作品によって異なる
休館日 ︎大晦日12/31のみ
公式サイト https://www.motoei.com/

3スクリーンで多種多様な映画を上映している「シネリーブル神戸」

続いて紹介するのは、地下鉄湾岸線「旧居留地・大丸前駅」または「三宮・花時計前駅」徒歩約5分、神戸朝日ビルの地下1階にある「シネ・リーブル神戸」です。

同館はミニシアターの中でも珍しく3スクリーンがある映画館で、1日に10作品ほどの映画が上映されています。

「作品のジャンルも多種多様なので、お好みの作品を見つけやすいと思います」と話すのは支配人の多田さん。

各スクリーンの座席は、シネマ1が141席、シネマ2は79席、シネマ3は102席あり、中でもシネマ1には「odessa(オデッサ)」という音響設備を導入しており、質の良い音とともに映画を楽しめます。

サウンドシステムの音響監修は関西在住で映画音楽なども手掛ける音楽家・原摩利彦さんが担当。ロビーに流れる朝昼夕と3パターンの音楽も原さんが手がけており、映画が始まるまでの時間も、ゆったりと心地よく過ごすことができます。

ロビースペースも広々している

また、シネ・リーブル神戸にはフードやドリンクを販売している売店もあります。中でもイギリス・ロンドン生まれのコーヒーブランド「COSTA COFFEE(コスタ コーヒー)」の本格コーヒーを提供。おいしいコーヒーと一緒に、映画鑑賞を楽しんではいかがでしょうか?

Information

シネ・リーブル神戸
住所 神戸市中央区浪花町 59 神戸朝日ビルディング B1F
アクセス 地下鉄湾岸線「旧居留地・大丸前駅」または「三宮・花時計前駅」徒歩約5分
電話番号 078-334-2126
営業時間 ︎作品によって異なる
定休日 ︎無休
公式サイト https://ttcg.jp/cinelibre_kobe/

50年以上の歴史がある神戸の名画座「パルシネマしんこうえん」

最後に紹介するのは、兵庫区の湊川にある「パルシネマしんこうえん」。

神戸の中心部である三宮からは地下鉄で約10分、湊川公園駅をおりて徒歩2分ほどのところにあるミニシアターです。

「パルシネマしんこうえん」ができたのは昭和46年。現在3代目館長の小山さんの祖父が始めた映画館で、50年以上の歴史があります。

上映は2本連続で行われ、間に休憩が入ります。

立て続けに2本観てもいいですし、途中で外へ出かけてから時間をあけて2本目を観るのもあり。もちろんお目当ての1作品を観たら帰っても問題ありませんが、1本観ても2本観ても料金は同じ!

時間に余裕がある方はぜひ2本一緒に観てみるのがおすすめです。

というのも「目当ての映画ではなく、別の映画の方がおもしろかった」というお客さまも多いようで、新たな作品との出会いを楽しめるのも「パルシネマしんこうえん」ならではの魅力だからです。

ちなみに、上映する作品はすべて小山さんがセレクトしたもの。

「2本続けて観るおもしろさが感じられるように」との思いから、同じような作品ではなく、同じテーマでも違った切り口や描かれ方をしている作品を選んでいるそう。

映写室の見学も可能。運がよければ動いているフィルム映写機が見れるかも

夜通し3本の映画を観ることができる「オールナイト上映」や、サイレント映画に合わせたピアノ伴奏上映などのイベントも楽しいので、映画好きは要チェック。また、結婚式の前撮りやイベント会場としてスペースの貸し出しも行っています。

「映画だけでなく、映画館ごと楽しんでいただければ」と笑顔を見せる小山さん。初めての方も気負わず、ぜひ気軽に足を運んでみてください。

Information

パルシネマしんこうえん
住所 神戸市兵庫区新開地1-4-3
アクセス 地下鉄「湊川公園駅」東改札口の東5番出口より徒歩2分、神戸電鉄「湊川駅」東改札口の東5番出口より徒歩2分
電話番号 078-575-7879
営業時間 ︎作品によって異なる
定休日 ︎無休
公式サイト http://www.palcinema.net/

今は自宅でいろいろな映画を観ることができる環境が整っていますが、やはり大きな画面と、音響設備が整った映画館で観る映画は、臨場感や迫力が違います。

何気なく観た映画が、自分の人生に大きな影響を与える、なんてこともあるかもしれません。

週末は何しようかと思ったら、ちょっと気になる映画館へ足を伸ばしてみませんか?

【取材・文】中田優里奈
神戸在住のライター。関西の観光、グルメを中心に企画・取材・執筆・撮影を担当。書籍『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 京阪神版』では神戸市内13ヶ所の公園を取材。これまで取材した神戸の観光スポットやホテル、店舗は200カ所以上。地元の魅力を発信したいという思いのもと、日頃から神戸の街歩きをしてネタ探しをしている。

神戸公式観光サイト Feel KOBE
神戸の観光スポットやイベント情報、コラム記事など「神戸旅がもっと楽しくなるコンテンツ」を発信しています。

 

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1 個のコメントコメントを残す
  • 雑草カメラマン

    こんにちは
    大阪在住の者です

    シネ・リーブル神戸と元町映画館は
    何回か行きましたが
    パルシネマしんこうえんは
    未だ行ったことがありません
    時間の有る時に 是非行きたいです

    2023年9月2日1:31 PM 返信する