神戸のクリエイターへインタビュー『絵という明かりを日々の景色へ』イラストレーター・みしま あきひろ ~CREATORS LETTER~

神戸市内で活躍するクリエイターの情報を発信する『CREATORS LETTER』。

クリエイターと企業をつなぐウェブサイト「KOBE CREATORS NOTE」と連携して、デザイナーやディレクター・カメラマンなどさまざまなクリエイターの作品や活動への想いをご紹介していきます。

みしま あきひろ  イラストレーター 

1994年 神戸市須磨区生まれ 須磨区在住。2016年 神戸芸術工科大学 ビジュアルデザイン学科卒業。

「神戸」を題材に、表現やお仕事をさせていただいてきました。日々の豊かさの間を少しでも、広げる一人になれればと思っております。

[受賞歴]
「第1回定例市会(神戸市)ポスターデザイン」 最優秀賞 (2017)
「第56回(兵庫)県展 デザイン部門」 兵庫県立美術館賞 (2018)
「Any kobe 公募展」カワチ画材賞 (2021)

[活動歴]
「こうべ海の盆踊り」ポスターデザイン (2017)
「ルミナリエワークショップ」講師担当 無印良品神戸BALにて (2018)
「絵から音へ祈りの音楽会」須磨寺にて企画 (2020)
「hiromichi「薄明」」ジャケットデザイン (2021)
「個展 水面と暮らして」Gallery Bricolageにて (2022)
「アート映画 ぼくは音をみつけたよ」企画・監督・制作 (2022)
「AnyKOBE 神戸北野天満神社奉納」絵画奉納予定 (2022)

なぜ、「イラストレーター」をやっているのか?


個展「水面と暮らして」

自分自身「イラストレーター」と名乗り続けているのは、「イラストレーション」という言葉の由来が「イルミネーション」という事もあり、絵って「明かりを描くような事」なのかもというのがはじまりです。
大昔に暗闇で描かれていた洞窟壁画の様に、この世界に絵という明かりを添えれたらいいな。

そんな気持ちで「イラストレーター」と名前には愛着があります。あと、自分の名前に「明」という言葉があることも大きな理由だと思います。

「場所や物事」に「明かりを添える」っていう考えると絵を描くって筆や絵の具という物を使って描くという方法だけでなく、物を置き換えてみたら、「いろんな描き方」があるって考え方になって。

そうすると自然に自分の表現の幅を広げてくれたり、物事についてリラックスして向き合うことができる、呼吸することと近づいていく気がしますね。


詩画集

「明」だけでなく「音楽」というテーマもあります。楽器は特に演奏できないですが、絵で音楽をしているイメージです。

音楽を聴いてて、心が動いた時や心が揺さぶられて共鳴する瞬間って、すごいことなんじゃないかって思うんですよ。

誰一人同じ人生なんてないのに心が共鳴し合うことは、鑑賞者と表現者のセッションの様な感じがしていて、そんな「音楽」という表現に少しでも近づきたいですし、目指し続けたいです。

神戸で活動する理由


個展風景

神戸というまちは海があり山があって、いろんな角度から見ても豊かな景色が広がってます。

高校以外は神戸だったので、いろんな友人や仲間がいます。いっしょに仕事したり、面白いものいっしょに作ったり居心地がいい感じです。

このまちで出会う人も志の高い方ばかりで、かっこ良く尊敬できる大人が多くて、そんなまちで物事を紡ぐ面白さはあります。自分もそんな素敵な大人に近づきたいですし。

それから神戸には芸術祭やイベントもあり「AnyKobe」や「下町芸術祭」などにも参加させていただきました。3年ぐらい続けて北野の夏に展示させて頂いてます。

今年の7月には北野にある「ArtGalleryBlicolage」さんでも展示させていただいたり、9月には「神戸北野天満神社」さんに絵を奉納もさせていただくことになったりと、神戸で紡がれた様々なご縁に感謝しかないですね。


大正筋シャッターアート

家族4世代神戸で生きていて、祖父は「ミシマミシン」というミシン屋さんをしていました。曽祖父は洋裁学校もしていたそうです。

僕は1994年1月19日神戸生まれ、神戸育ちです。1歳の誕生日の2日前が「阪神淡路大震災」でした。

年齢を重ねるごとに、自分と向き合う「誕生日」の2日前が震災の日だったということで、毎年色々考えさせられます。ちょっとでも自分が生きることでまちへの貢献できればと思っています。

昨年に震災でも被害が大きかった長田の大正筋商店街のシャッターアートを描かせいただきました。だからなんだと思われるかもしれないですが、表現者として何かを変えれることは信じたいです。

少しでもまちの明かりの一つになったらと願いを込めて、このまちで描いてます。

神戸で生きてるものとして、少しでも素敵な神戸を継承できる様にみんなでまちの未来を紡いでいきたいです。

代表的な作品と想い


神戸市会ポスターデザイン

イラストレーターで生きていこうと思ったきっかけが、神戸市会ポスターを任せていただいたことでした。

ポスターを電車の中吊りや神戸市内の各所に掲載していただき、自分の育ったまちに自分の絵があるという喜びと共に不思議な体感でした。

全部で4枚デザインした「市会ポスター」には、いろんな神戸への想いを込めています。

最初にどんなイメージにするかを考え、市議会という真面目で固いイメージを少しでも柔らかく表現することが、市政に興味を持つ一歩に近づくと考えました。

最初の1枚目は、首をかしげる男の子を描き「神戸市会って何だろう?」って見る人と一緒に疑問という興味持ってもらうデザインで描きました。

2枚目は「新しいKOBEがここからはじまる」というテーマのもと、市庁舎を灯台に・眺める人を船に見立てて、新しい未来という灯台みつめています。

3枚目と4枚目は「新しい神戸みつけた!」をテーマにデザイン。カモメに乗って様々な視点で景色を見渡す絵や、ポートタワーの望遠鏡で遠くを覗く絵を描き、日常生活に様々な視点の意識に繋がるように意識しました。

神戸の未来に興味を持ってもらえる機会の一つになっていたら嬉しいですね。


アート映画「ぼくは音をみつけたよ」上映会風景

今年完成した アート映画「ぼくは音をみつけたよ」という作品は、主人公がラジカセを手に音を通して、悲しみを越えていろんなものと出会い生きていくお話で、映画を観た方にとって日常生活の豊かさが広がっていくことを祈った映画作品です。

イラストレーターですが、映画を作りました。実写と絵を交えた作品で、映画としてもアート作品としても成立する唯一無二の作品になったと思います。

共同監督には「元町映画館」などでも上映される数々の映画作品を手掛けておられる向田優さんをはじめ、映画音楽ではhiphopアーティストのHiromichiさん、irodoriのSean Rodriguezさんなど、様々な人と場所に支えられながら、絵を描く向き合い方とは、違うプロセスでつくっていきました。

神戸北野美術館さん、大本山須磨寺さん、須磨離宮公園さんなど撮影地はすべて神戸です。

撮影は「神戸フィルムオフィス」さんのご協力もいただき、改めて多くの人に関わっていただいて完成できた作品だと感じています。

この作品に関わってくださったみなさま、改めて感謝を申し上げます。もっとこの作品が沢山の人に届く様に、精進していきたいです。

これからの活動と目指す世界


企画「絵から祈りの音楽会」イベント風景

今年の9月には、北野と元町で行われる芸術イベント「AnyKobe」の企画で、神戸北野天満神社にて絵を奉納させていただいく予定です。また、先ほどご紹介したMADE IN KOBEのアート映画「ぼくは音をみつけたよ」も、今後いろんな場所で発表していこうと思います。

ずっと夢でもある「絵本の出版」も動いていきます。

綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、絵を通して少しでもこの世界を豊かにしたいと思っています。この信念の元に描き続けたいです。


企画「海で描く」life painting

神戸を絵で捉えた時、いろんな綺麗な絵の具があって、筆があるなと思います。

まちというキャンバスにどんな絵を描くんだろう。どんな願いを込めるのだろう。

これから出会う方も今まで出会った方も、みんなで未来を紡ぎ描いていきたいです。

自分一人の力ではできる限界があるけど、今を生きる人間として人間の表現する力の可能性を信じたいです。

いろんな困難を乗り越えてきたからこそ、神戸から世界へできる表現があると信じています。こんなにもこのまちには素敵な人達がいるんですから!

最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。この神戸のまちでお会いできるのが楽しみです。これからも神戸でどんどん描いていくので、よろしくお願いします。

みしま あきひろ  イラストレーター 
mishimaakihiro | Kobe Creators Note|神戸クリエイターズノート


神戸市内で活躍しているクリエイターと企業がつながる「KOBE CREATORS NOTE」。興味がある人は、ぜひ、サイトへ。

 

この記事を書いた人

このみ

花や夕焼け空を眺める時間が好きです。

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