3階フロアは、「オートマタ」と呼ばれる機械仕掛けの人形が展示のメイン。産業革命によって発展した機械技術によって可能になった、当時最新の技術が生かされています。
入口にいた彼は、ミュージアムのシンボルになっている、「ギュスターブ・ヴィシー」製の「タバコを吸うダンディー・ルネ」。世界に3台しか現存しない激レア・オートマタです。
「ルネ」とは「月」の意味。顔がまん丸なのは、月をモチーフにしたからなんですね。
1890年製ですが、今も現役で動くそう。展示されているオートマタの実際の動きは、フロアのモニターで見ることができます。パイプに火をつけると鼻から煙を吐き出し、目を白黒して首を振り、ステッキを振る。動力はゼンマイ式ですが、思った以上に動きが複雑です。
劇場やサーカス興業が盛んになった19世紀末、オートマタのモチーフになったのがピエロや道化師。平行棒やはしごの上で曲芸をする動きの面白さで人気を博したそうです。
オートマタの動力源はオルゴールのゼンマイなので、演奏する音楽家のモチーフも多め。台座の中にシリンダーオルゴールが入っていて、その大きさによって可動時間、複雑さが変わります。
「字を書くピエロ」は、こくこくと首が動き、スタンドが灯る仕掛け。元はゼンマイ式だったオートマタを電動式にして、1930年に復刻したもの。羽ペンの広告用にショーウィンドウを飾られていたとか。
オートマタはデパートなどのディスプレイとしても活躍していたそうで、子どもの玩具だった人形も、動きが加わることで、人の目を引く宣伝マンの役割を担っていたんですね。
3階には、オートマタの他にも、様々なテーマごとの人形が随時入れ替わり展示されています。世界のセルロイド人形は、日本、フランス、ドイツと国が変われば肌や髪の色、表情も様々。
髪型も衣装も何だかおしゃれなフランスのベベ・ドール。しかし、西洋の人形の顔はなんでこんなにリアルなんでしょうか。数が集まると威圧感が半端ないです。
ティディベアでおなじみの「シュタイフ」のアニマルドールだけを集めたコーナーも。ビスクドールの目を見続けてきた後だと、動物の愛らしさに癒やされます。
フロアの一角には書籍のコーナーもあり、ドール関連の資料も揃っています。ミュージアムのカタログもあって、こちらは購入可能です。
神戸ジャーナル 編集部
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