神戸では「食都神戸」として「食文化を街の魅力に育てていくこと」を目指した取り組みに力を入れています。
神戸を観光するときは、神戸牛や日本酒、スイーツ、パンなどがおいしい神戸の街で、食を楽しむプランを考えてみるのもおすすめです。
そこで、今回は神戸市西区にスポットを当てて、神戸ワインと、ワインに合うおつまみを作るための食材探しに行く旅をご紹介します。
まず向かうのは、西区・押部谷(おしべだに)にある「神戸ワイナリー(農業公園)」。甲子園球場約8個分の広大な園内には、ワイン専用ブドウを栽培しているブドウ園やワイン工場のほか、バーベキュー場、パターゴルフ、ゴーカート場が楽しめる施設があります。
「神戸でブドウ?」と思われる方もいるかもしれませんが、実は「神戸ワイナリー」では1983年にブドウの栽培を始めてから現在にいたるまで、園内と西区・北区の契約農家でずっとワイン専用ブドウを作り続けています。
「雨が少なく、日当たりが良い」という瀬戸内式気候はブドウ作りに適しており、当時の第13代市長・宮崎辰雄さんが「神戸牛に合う特産品を」と提案したことをきっかけに、この場所でワイン作りが始まったそう。
園内の畑では、夏から秋にかけてカベルネ・ソーヴィニヨンやリースリングといったブドウが実ります。
園内のブドウ畑やワイン工場は見学自由。1組10名以上であれば、スタッフのガイドのもとブドウ畑や工場見学、ワインの試飲ができるワイナリーツアーに申し込むのもおすすめです(無料・有料ツアーあり、要事前予約)。
国税庁によると、令和3年時点で全国のワイナリー数は413場ありますが、その中でも「日本で」「日本の原料だけを使って」作る純粋な日本ワインを生産しているのは全体の15%ほど。「神戸ワイナリー」のワインはその15%に入っており、「神戸で」「神戸市内の原料だけを使って」作られています。
市内で収穫したブドウをそのまま園内の工場へと運ぶため、フレッシュな状態でワイン作りに使用できるのも「神戸ワイナリー」ならでは。ワインショップには、園内で製造した常時30種類ほどのワインが並んでいるので、お土産にいかがでしょうか。
「神戸ワイナリー セレクト」シリーズはワイン初心者におすすめ
また、「ベネディクシオン」の2016年産の赤ワインは、2019年に大阪開催されたG20サミットの晩餐会の場でも提供された逸品。その年で最も品質の高い畑で収穫されたブドウを手作業で選別し、樽でじっくりと発酵させて作られています。
ブドウの香りをたっぷりと楽しめるのはもちろん、熟成させることによって渋味がまろやかになり、味の奥行きも感じられるワインです。
入園料や駐車料も無料と、お財布にもやさしい「神戸ワイナリー」。弁当の持ち込みもOKなので、レジャーシートを広げてピクニックを楽しむのもおすすめです。
神戸ワイナリー(農業公園)
住所 神戸市西区押部谷町高和1557-1
アクセス 【電車・バス】神戸市営地下鉄「西神中央駅」よりバスで約10分 【車】山陽道、神戸淡路鳴門自動車道「神戸西インター」より西へ約10分
電話番号 078-991-3911
営業時間 9:00~17:00
定休日 年中無休 ※年末年始及び2月の施設点検期間は除く
料金 無料
公式サイト https://kobewinery.or.jp/
次に向かったのは「神戸ワイナリー」から車で4分ほどのところにある「農協市場館 六甲のめぐみ」。神戸市西区や北区の農産物を中心に、精肉や海産物などを販売している直売所です。
兵庫県下最大級の売り場面積を誇る店内には、新鮮な野菜や完熟果物がずらり!生産者が直接お店に商品を届けるため、フレッシュな商品が買えるところが魅力です。午前が一番品揃えが豊富とのことなので、朝イチで訪れるのがおすすめ。
「六甲のめぐみ」で販売されている農産物には、生産者の名前が記入されており、顔の見える販売を行っています。また、生産日誌の提出が義務付けられており、安心・安全にこだわった販売体制が整っています。
レタスなどもフレッシュで日持ちするとお客さんにも喜ばれている
店内には神戸牛牧場の直営店もあるので、赤ワインに合うお肉を探してみたり……。
神戸市漁業協同組合がその日の朝に垂水漁港で水揚げした地魚や、加工品が並んでいる「鮮魚コーナー」で、白ワインに合うお魚を探してみるのもいいですね。
神戸市西区の生産者が育てた「コシヒカリ」は甘くて炊き上がりもふっくらツヤツヤ
お店の外には切花やポット苗を販売している花売り場もあります。もちろん、こちらのお花も神戸市西区や北区で栽培されたものばかり!花瓶にお花を生けて飾れば、食卓がぐっと華やぐこと間違いなし。おうちご飯がより一層楽しくなりそうです。
色鮮やかなカーネーション
そのほかにも、米粉を使ったお好み焼きを販売している食の応援団の屋台や、六甲山麓牛乳ソフトクリームがいただける「VEGE KITCHEN(ベジキッチン)」などのお店も。小腹がすいたときは、おやつとしていただいて、次の目的地へ向かいましょう。
農協市場館 六甲のめぐみ
住所 神戸市西区押部谷町高和字性海寺山1557-1
アクセス 【電車・バス】神戸市営地下鉄「西神中央」駅より、神姫バス20・75・80・81系統「農業公園」 【車】阪神高速7号北神戸線「前開」出口より北へ約900m、2つ目の信号を左折、加古川方面へ約3.5㎞
電話番号:078-997-9955
電話番号 078-997-9955
営業時間 9:00~16:00
定休日 年末年始・2月施設点検時
公式サイト https://www.jarokko.or.jp/food/fmarket_store/megumi.html
最後に向かったのは六甲のめぐみから車で約7分、田園風景が広がる櫨谷(はせたに)町にある「boulangerie dannapan(ブーランジェリー ダンナパン)」。「安心・安全なパン」をコンセプトのもと、2020年にオープンしたパン屋さんです。
「自分の畑で育てたものをパンに使いたい」というシェフと、近隣で雑貨店を営んでいた奥さんの商業圏内から近い場所をとの思いが、ぴったりと重なったのがこの西区・櫨谷だったそう。3年ほどかけてようやく見つけた理想の場所で、奥さんの雑貨店「ア・ラ・フェット(a la fete)」と一緒にお店を営んでいます。
「選ぶ楽しさを味わってもらいたい」との思いから、店頭には常時30〜40種類のパンを用意。100%国産小麦に自家製酵母、自家農園の無農薬野菜と果物、水はNSFインターナショナル認証の浄水器を使用するなど、おいしいパンを作るためのこだわりが詰まっています。
なかには櫨谷町にある「増田牧場」の牛乳や、「池田製餡所」のあんこ、「curry稜」のカレールーといった地元の食材も使ったパンも。
一番人気のクロワッサンは、北海道産の小麦粉と四つ葉バターを使用しており、外はサクッと、中はもっちりとした食感がたまりません!
また、海外で人気の「ニューヨークロール」から着想を得て作った「櫨谷ロール」も、お店の看板商品の一つ。ロール状に焼き上げたクロワッサンに、さまざまな味のクリームがたっぷり入っていて、おやつにぴったりです。
オリジナルカスタードクリームがたっぷり入ったプレーン味
中でもワインにおすすめなのが、ハード系のパンです。低温で長時間ゆっくり発酵させたバゲットは、小麦のうまみと甘みが感じられる味わいに。薄くスライスして、クリームチーズやスモークサーモンを乗せれば、あっという間におつまみが一品完成しますね。
そのほか、金曜日限定のオーガニックビーツパウダーで仕上げた「クロワッサン・フランボワーズ」や、土曜日限定パリの味を再現した「バゲットサンド」など、曜日限定の商品も要チェックです。
店主の内山さん。気さくで、とっても話し上手な方です
SDGsの取り組みの一環として、当日焼き上げたパンのネット販売も行い、開店してから廃棄するパンはゼロを継続しているという「dannapan」。売り切れ次第お店が閉まってしまうので、ホームページからパンの事前予約をしておくと安心です。
なお、車で来店する場合は、以下のページから駐車場の事前予約をした上で、ご来店ください。
https://www.dannapan.com/2
boulangerie dannapan
住所 神戸市西区櫨谷町池谷722-1
アクセス 神戸市営地下鉄「西神中央駅」から徒歩15分、神姫バス「櫨谷小学校前」停留所から徒歩2分または「櫨谷中央」停留所から徒歩5分
電話番号 070-9000-9683
営業時間 10:00~17:00 ※完売次第閉店
定休日 火〜木曜日
公式サイト https://www.dannapan.com/
西区はたくさん観光スポットがあるわけではありませんが、自然に囲まれた「神戸ワイナリー」でのんびり過ごしてワインを買い、「六甲のめぐみ」や「dannapan」で、その日の夕食の食材を買って帰る。そんな過ごし方ができる場所です。
ご紹介した3つのスポットは、三宮から車で30分ほどの距離。ドライブを楽しみながら、西区の街で素敵な休日を過ごしてくださいね。
【取材・文】中田優里奈
神戸在住のライター。関西の観光、グルメを中心に企画・取材・執筆・撮影を担当。書籍『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 京阪神版』では神戸市内13ヶ所の公園を取材。地元の魅力を発信したいという思いのもと、日頃から神戸の街歩きをしてネタ探しをしています。
神戸公式観光サイト Feel KOBE
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