兵庫県産の『養殖ノリ』が、生産枚数・産出額ともに2年連続日本一になったそうです。
さまざまな漁業が発展してきた兵庫県
兵庫県は北は日本海、南は瀬戸内海に面していて、太平洋にも開けた立地です。
多くの川が流れ込む日本海や瀬戸内海では、さまざまな海産物がとれるため、昔からいろんな漁法が実施され、漁業が発展してきました。
育てる漁業では、陸上の水槽で卵から育てた稚魚や稚ガニを放流して、大きく育ててからとる「栽培漁業」、養殖ノリなどをはじめ魚・貝・海藻などを漁業者が育てる「養殖業」のほか、大きな川ではアユなどの稚魚を毎年放流してます。
19年連続日本一だった「佐賀県」の不作続く
養殖ノリの生産量では、19年連続日本一を誇っていた佐賀県を抜き、2023年に兵庫県が日本一になりました。
佐賀・福岡・熊本・長崎の4県にまたがる「有明海」が大不作だった影響だそうです。
2024年度の漁期(2023年12月~2024年5月)の養殖ノリの生産実績では、漁期終盤まで安定した生産が続いたことから、兵庫県が生産量・産出額ともに2年連続で日本一に。
生産量は前年比4%減の12.3億枚でした。
全国の生産量は過去10年と比較して3割減の約49億枚だったそうで、国内のノリ需要量とされる75億枚を大きく下回りました。
全国的に雨が少なかったことと、栄養塩不足などで有明海の不作も続いているみたい。
そのため業務用ノリ需要が高まり、兵庫県産ノリの単価はおととしの2倍近くまで高騰。産出額は過去最高を2年連続で更新する260億円に達したそうです。
ちなみに今年2月に淡路島西岸沖で油の塊が確認された影響で、養殖ノリ約5,500万枚が廃棄されることになりましたが、この影響について県漁連は「生産量の約1割が減った可能性がある」とみています。
瀬戸内海でもノリの色落ちなど課題
兵庫県の養殖ノリは主に瀬戸内海で行われています。昭和40年代(1965年ごろ)から盛んになり、11月~翌5月まで、ノリを育てる網を海に浮かべる方法で養殖しているんだとか。
しかし瀬戸内海では栄養塩類(特に窒素)が不足しているそうで、これによって「ノリの色落ち」が課題なんだそう。
そこで県は豊かな海づくりのため「栄養塩類の管理計画」を策定して、県内の下水処理場・工場から海域に流れる栄養塩類(窒素)の供給量増加に取り組んでいます。
あえて「きれい過ぎない下水」を流して、ノリの成長に欠かせない窒素やリンを含んだ栄養塩レベルを維持する、という考え方みたい。
こうした試みにより、加古川市や明石市周辺の漁場では、色艶のある高品質のノリが安定して生産できるようになったそうです。
「2年連続の日本一」というと嬉しいニュースではあるものの、全国的な不作や生産者を悩ます魚による食害など、手放しでは喜べない状況なんだそう。海の栄養回復のための取り組みは続きそうです。
◆関連リンク
・兵庫県の水産業 – 公式サイト
あさみ
「今年こそダイエット」が口癖です。
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